平松洋子のレビュー一覧
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平松洋子さんと谷口ジローさんのコンビによる食のエッセイ第二弾である。今回もまた方々で様々な食を求めて食べ歩いている。
本当に様々な種類の、様々な土地の食をめぐるエッセイである。中には餃子の王将や東京駅のエキナカなど、我々にも馴染みのある場所が選ばれていて、平松さんの視点でそれらがまた新たな見方を付与されて紹介されている。
平松さんの食への誠実さ、そこでの出会いを大切にする様などは非常に快い。エッセイに通底するそうした真心は、読書をより楽しいものにしてくれていた。
今回も星五つで評価している。このシリーズは今少し続いてもらいたいものである。 -
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表紙のシンプルさに、ガツーン!
海苔弁のシンプルさをダイレクトに伝えているわけだが、私のような素人が描こうとしたら、欲張って、どうにかして断面を見せようとか思ってしまうんだろうな…
もちろん、平松洋子さんの食のエッセイなのだが、1編ごとに安西水丸氏のイラストが載っており、それは文章との絶妙の相性を見せている。
一方、平松さんの文章の方といえば、この人の食べ物の描写はどこまで高みを目指すのだろうと驚く。
あらゆる食材を描いて、(いろいろ読ませていただきましたが)かぶらない。
そして、美味しさの描写もかぶらない。
たとえば、さんまの描写、『ぎらりと光る蒼い刀が並ぶ』
たしかに秋の刀の魚とは書く -
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相変わらず平松洋子のエッセイは美味しい。しかも、このエッセイ集にはユーモアと蘊蓄もたっぷり詰まっている。安西水丸のイラストと共に綴られた食のエッセイ83編と文庫版のあとがきにかえて、平松洋子と安西水丸の対談を収録。
どのエッセイも絶品なのだが、最も関心したのは『かまぼこ板の美学』冒頭の“ちくわは穴を食べるものだと思う。”という一文。何と哲学的で深い視点であろう。
また、『奥州のぬか釜ごはん』で、岩手県奥州市の『農家レストランまだ来すた』が紹介されているのも嬉しい。平松洋子も胆沢区の絶品天日干しの新米の羽釜炊き御飯を味わったかと思わずニヤリ。次のエッセイ『ピーマンうどん』も同じ奥州市が舞台な -
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様々な食にまつわるエッセイである。正確に言えば、飲食店に関するエッセイというべきかもしれない。
本当にこの方はグルメだと感心させられるが、お値段もそれ相応の料亭から立ち飲み屋、ビアホールに社員食堂まで、ありとあらゆる飲食店を取り上げ、エッセイに描いている。食べるものも様々であり、中には熊肉のような珍しいものもあるが、ごく普通のメニューが特に目につくところだろうか。
エッセイごとに挟まれている谷口ジローさんの掌編漫画もまた味わい深い。特に最後の「百年も、二百年も」に置かれた漫画などは本当に洒落ている。
やや筆が踊り過ぎている嫌いもあるが、良いエッセイだった。堪能させていただいた。星五つ -
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ネタバレどちらかというと食にまつわるエッセイで知られた平松洋子さんのジャンルにとらわれない書評集『のようなもの』。
のようなもの、というのは正統な書評集とはいいにくいからだ。
普通、主題の本を決めたらそれにまつわる感想やエピソードなどで構成するのが、普通の書評ならこの本は一冊から五冊十冊と広がっていく連想ゲームのようなエッセイなのだ。
たとえば冒頭、向笠千恵子さん(この人も有名なフードライター)が『日本の朝ごはん』で紹介されているさかもとという民宿に宿泊し、そのすばらしい経験を書きながら読んでいる本の内容にふれていくのだけれど、無理が無い。
これはかなり難しいテクニックの書評…というより読書日記だ。
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第28回講談社エッセイ賞受賞作。
最初のエッセイ『能登とハンバーガーと風呂上がり』の冒頭、京都土産のカステイラを箸で食べるくだりで、平松洋子流の野蛮の定義を披露し、そこからのサラサラと流れる小川のように読者を読書の世界に誘う手腕は見事である。衣食住や日常に絡めながら、紹介される本は103冊。この103冊のジャンルは様々であるが、いずれも旧作であり、実にお洒落な本ばかりである。相変わらず、食べ物の描写もお見事であるが、今回は平松洋子の知の世界というのも味わうことが出来た。
平松洋子作品を最初に読んだのは、谷口ジローとの共著『サンドウィッチは銀座で』であり、この一冊で、平松洋子の美味しい文章の