平松洋子のレビュー一覧
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久しぶりに東京に出て美術館に行く。
その時間だけでも至福な時間で、
「あぁ、私、この時間を求めていたんだ。」と、自分の心がひたひたと水が注がれていくみたいに満たされていくのが分かった。
完全予約制の展覧会だったので、待ち時間の間最寄りの本屋に寄り、ぼーっと本を眺める。地方の本屋は満遍なく色んなものを揃える傾向があるけれど、東京の本屋はその本屋なりの個性的なコンセプトが感じられたりして、小さな本屋でもすごく楽しい。
そこで出合った久しぶりの平松さん。
この人のエッセイは美味しそうで、読んでいて食べることの大切さと喜びを感じられる。そして背筋をスッと伸ばしたくなる。
あぁそう言えば、私仕事が立て込んだりしてキュウキュウとしてると、本屋に行ってばーっと本買って読んで自分を癒すことをしていたっけ。平松さんはそんな中よく読んだ本だった、と思い出した。そして癒された。
新しい生活。自粛。悲しいニュース。行き詰まっていく感じ。
いつもと違う雰囲気を抱えて「みんなも同じなんだから」とそこに慣れなきゃと言い聞かせて、きっと人はすごく自分に無理を課しているんだと思う。そんな中自分を取り戻したというか、うーん、自分を少し客観視する視点をもらえた感じ。
変わってしまったこの状況が大きく変わるわけでもない。ただこの少しだけ日常からズレるこの時間が、今の私にはどうしても必要だったみたいだ。 -
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ネタバレ野蛮な読書とは何か。
丁寧に作られた食事を楽しんだ後、頂きものの「カステイラ」の包みを開けて、箸でそのまま食べるような読書だそうです。
”野蛮を許しあえる関係は、余裕のないガチンコ勝負とはちがう。もちろん、ただの粗野ともちがう。いってみれば、おたがいを知ったうえでの懐のふかさの競い合い(化かし合い、含む)。”
分かるような分からないような。
とにかく著者は、他分野に渡って造詣が深い。
そして基本的に丁寧な人なのであろう、本の読み方も非常に丁寧。
新刊本ではない、何度も読みこんだ本を、丁寧に、深いところまで読み取って紹介する。
だからタイトルに騙された、と私は思った。
こういう文章を書く人だと知っていたら、このような書き方をするのであれば、明治の文豪の文章を読むような、ちょっと力の入った読み方をしたと思う。
けれど「野蛮な」読書というので、全く無防備にこの本を手に取ってしまった。
う~わ~。
野蛮なんてとんでもない。
次から次へとするすると紡がれる、本や絵画や映画に関するあれこれが、気がつくと見事に織りあわされて差し出される。
「春昼」というタイトルで書かれたエッセイ、いや随筆と言ってしまおう、で、泉鏡花に辿り着くまで16ページも費やしている。
全部で18ページなので、実質1ページ程度しか「春昼」という作品には触れていない。
室生犀星からの、小川のような文章のたゆたいが、既に「春」なのである。
んむむむ。
”書店の棚のあいだを巡りながらほしい本を何冊も腕のなかに重ねてゆくとき、私はそっと神様に問うてみる。
(贅沢してもいいですか)”
これだけは、私にもわかる! -
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総勢11名の情勢が、酒にまつわる、まあ総じてどうしようもない、どうかしている経験とその反省と言うか自らを省みて飲酒の鋼材と何故に人は記憶を失うまで泥酔しなければならないのかをシリアスに語るエッセイ集。非常に秀逸。
なかでも山崎オナコーラさんの「ひとりでお酒を飲む理由」には身につまされてなるほどなるほどと、自分にとってのお酒の立ち位置、のみならず人との関わり方、一人でいることの楽しみ、みたいなものを的確に表現されていて膝を打つ思い。
しかしまあ、みんな記憶をなくすんだね。ちょっと心配していたけれど、まあ、酒飲みなら普通だわな、うんうん。
三浦しをんさん、角田光代さん、平松洋子さんといった大好きな作家のみなさんの文章が読めて幸せだ。
これは酒好きのバイブルだな。酒場巡りしている女の子たちには是非読んで欲しいなあ。 -
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ネタバレ東京に住んでいる間に一度、浅草で、浅草の今半ですき焼き食べた~い!と騒いでおりましたが、叶わぬ夢でした。
が、この本で夢は叶いました。
やっぱり素敵だ、今半ですき焼き。
著者の平松洋子。
最初に彼女を知ったのは読書エッセイだった。読んでないけど。
しかし気がつくと、彼女は食べ物系エッセイの一人者になっていた。
「本の雑誌」で立ち食い蕎麦屋について連載しているのを時折読んで、外食中心の生活をしている人なのかと思っていたけれど、この本を読む限り、この人たぶん料理が得意だ。
ジャムも餃子の皮も自分で作る。
家の台所に電子レンジはない。
子育てしながら仕事を持ちながらのこれは、すごい。
よほど料理が得意で好きじゃなくては出来ないと思う。
でね、簡単に作れそうで美味しそうな料理が結構あって、ちょっと手元に置いておきたい本になりました。
そのうち読書エッセイの方も読むぞ。 -
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読み終わったあと
「あ~食べたい!」と猛烈に思ってしまった。
おでん
カリーブルスト
奥渋の台湾料理「麗郷」
トマトの手ちぎり
なすそうめん
さんまのコンフィ
きのこ鍋
田部井さんの干し柿
鯨
そして、アボカド円月殺法に驚かされ!
(今晩やってみよう~)
さらにさらにとん蝶まで登場するとは!!びっくり!
あと、ぬるいお味噌汁は笑った~
実は私、以前同じような経験があるのだけど…
「ぬるいので温め直してください」と言ったら
同席していた男性たちが全員ドン引き。
でもさ、ぬるいお味噌汁ってなんかイヤじゃない?
ぬる~って感じで。
熱いか冷たいかはっきりしてほしいのよね。
このがっかり感…
わかるわ~。 -
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ネタバレ12人の女性作家などの酒に関するエッセイです。「泥酔懺悔」、2016.9発行(文庫)。面白かったです。①三浦しをんさん、30代から泥酔すると記憶を失う。朝起きると下半身裸で便器を抱いた形で寝ていたと。飲酒の習慣に並ぶのは読書ぐらいとか。②角田光代さん、飲み始めたら途中でやめられない。とことん飲んで記憶がなくなる。覚えていない泥酔時間、角田さんはどうなっているのか?w。③大道珠貴さん、女のひとのグラスについた口紅を指二本で拭うしぐさ、あれ。あの指をあとどこへなすりつけるんだろう、すごうく、気になる。
12人の女性作家の酒にまつわるエッセイ集。「泥酔懺悔」、2012.11刊行、2016.9文庫。私の懺悔度ベスト3選定は: 角田光代さん「損だけど」、三浦しをんさん「下戸一族vs飲酒派」、平松洋子さん「18の夜の話」。