平松洋子のレビュー一覧
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平松さんの文章、だんだんと渋い味が出てきた気がします。
もの静かに日常を見つめ、ひっそりと切り取る、それだけで美しい作品になる…そんなかけらの数々。
物を書く、特にエッセイを書かれる方は皆そうだけど、どうして昔のことを良く覚えているのだろう。
その、一つ一つが、素敵な文章になる。
普通の人が、目にとめることをせずに見逃してしまう事を、そっと引き出しにしまっておく注意深さが、小さい頃から備わっていたのだろうか。
そうだとしたら、もしも全く同じ人生を歩んだとしても、一生が違った意味になって行くのかもしれないなあ…
「いろいろなことが楽しく思い出される一生だった」とほほ笑むのと、「何も変ったことが無 -
Posted by ブクログ
平松さんの本はこれまでに何冊か読んだが、すべて食べ物に関するものだった。
この本は、食がテーマというのではなく、生活の中で見聞きし、感じたことが書かれている。
食べ物のエッセイは、いわば『動』のエネルギーにあふれ、元気が外へ向かってほとばしっているような感じであるが、この本は、『静』
思いのエネルギーが深く内面に向かっている。
こもっているというのではなく、内面を深く探っているというか。
「あるもの」と「ないもの」のお話でもある。
象徴的なのが、レース編みのこと。
レース編みは、編み地の部分と、何も無い部分の組み合わせでなり立っている。
失われた靴下や手袋の片方。
古びた店が取り壊されたあ -
購入済み
美味しそうなだけじゃない!
調理器具にスポットを当てた本。
使う人、使う国の解説もあり、雑学的な面白さもあります。
料理をする人なら自分も使ってみたい!と思わせる興味深い調理器具がてんこ盛りなので、あれこれ想像を膨らませながら読めました。
一点残念なのが、電子化にあたり挿絵が省かれてしまったこと。
文字だけでは形が想像しにくいものも沢山あり(なにしろ見たことも聞いたこともない器具ばかり)、挿絵があればなーと何度か思いました。 -
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「読みたい」力を掻き立てる、洋子さんが日常に平行して野蛮に103冊の本を紹介していくエッセイ。
フードジャーナリストなだけあって、食の描写が凄いんです。書評も秀逸…。叶恭子の本が紹介されたと思ったら官能小説を紹介したり、平松さんの気取ってない柔らかな文章、クスッと笑えるユーモア。
個人的に"わたしの断食1週間"での断食中のひもじさと断食後の食への感謝と断食中の夜に読む正岡子規が印象的だった。
自分の表現力じゃこの魅力は伝わらない…贅沢すぎて感無量!読みたい本がまた増えました。読書好きな方(そうでない方も)是非是非是非是非絶対読んでみて下さい!平松洋子さんのような母親がい -
Posted by ブクログ
読書にまつわる少し長めのエッセイ。読書だけでもないし、生活だけでもない。平松洋子さんの文章は初めて読んだけれど、構成と比喩がダイナミックで迫力がある。「わたしの断食一週間」で子規の『仰臥漫録』を読むっていうのはよーくわかる。私はやたら恋愛ものが読みたくなった、断食中。食を意識せざるを得ないからストレートに食の本に走るか別の欲求で埋めるかは性格が出るところだろうと思う。あと、「クリスティーネの眼差し」!写真集についての章が素晴らしい。実際写真見たことあるのは森山大道ぐらいだけど、恐ろしい鴉の写真を、是非見たいと思いました。宇能鴻一郎って芥川賞作家だったのか、知らなかった。
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ネタバレ美味しいものを食べるより、美味しくものを食べよう
俺が最近心がけていることなんだけど、そりゃ美味しいものを美味しく食べるのが一番で、できればそうしたい。
この本を読むと、美味しそうな食べ物がたくさん出てきて、ほんでまた平松さんが美味そうに食べよるねん。美味しく食べる描写がまた上手いねん。
少々寝の張る食べ物でも「とてもお安い」と言い切るあたりに、経済力の差を感じてちょっと引き気味のところもあるんだけど、妬みでひねくれる心をこれでもかと逆なでるような、美味いモノ美味い食い方、上手い描写の連続で
逆なでもエエもんやとか思ってしまう。
谷口ジローの挿絵(漫画)がまたエエのよなぁ。
何よりも食い