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いつ、なにが起きるかわからない――
緊急事態宣言? それならばと余った牛乳を大量に煮詰め、「日本版チーズ『蘇』」に挑戦。巣ごもりの気晴らしには「ふきのとうの春巻き」「山椒の実の牛すじ煮込み」、知人から届いた新鮮なほやで「ほや飯」を作ってみる――
コロナが変えてしまった世の中でも、人の信頼、味を守る工夫をみつめ、
考えながら進む人は強い。食べる現場はここにある!
気になる「いわしバター」って?
「クッキングパパ」も絶賛した平松さんオリジナル傑作レシピ「パセリカレー」
ってどんな味?
美味しいレシピ満載!「週刊文春」人気連載最新刊
解説・石戸論
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Posted by ブクログ
「サンドウィッチは銀座で」など、これを食べにあそこへ、というタイトルでずっときたシリーズ。新刊は「いわしバターを自分で」。このタイトルだけで、コロナ禍の日々のことだ、と気付く。
あのなんとも息苦しかった日々、毎日怯えたように、萎縮して暮らすしかなかった期間。
2020年5月半ばだったろうか、スーパーでカゴを持ったまま、売り場に立ち尽くしたことがあった。なんにも思い浮かばない。何を食べたいのかわからない。何を作ればいいのか、何を買えばいいのか、皆目見当がつかない。外食がほぼ不可能で、ちょっとした息抜きもできないから心に余裕が生まれない。
あの絶望感は忘れられない。
平松さんも同じように迫り来る閉塞感を味わっていた。店から消えるマスク。閉まってゆく飲食店。破綻していくあれやこれや。負けじと見つける細々した楽しみ。
読みながら「そうそう」とうなずきまくった。
蘇、作った作った。応援したくてテイクアウトもたくさんした。
八百屋のおにいさんの声のところで、「素晴らしい、こういう人はちゃんといたんだ」と涙が出た。そしてそれをちゃんとキャッチする平松さんもやはり素晴らしい。
あの日々が遠くなりつつある今、生活者の視線と確かな筆力で淡々と綴った(しかも「生きる」ことに直結する食にまつわる)エッセイは、もはや現代史に遺るであろうあの日々のことを後世に伝える歴史書だ。生活のことは歴史に残りにくい。けれどあの右往左往と、そこををくぐりぬけたことは確かに記録されねばならぬ、と思う。
灰色のような日々だからこそひとしおに嬉しく感じる、旬の野菜や到来物のまぶしさと共に。
Posted by ブクログ
この人の文章力や取材力に魅せられて、最近時々読んでいる。
本書はコロナ禍の、特に最初の緊急事態宣言の頃に書かれた文章を多く載せる。
鰯バターや、パセリカレーのレシピも魅力的だが。
きゅうりが干せるということも目からうろこだが。
やはりあの頃の閉塞感がよみがえって、ちょっとつらくなった。
いや、自分など、失職の心配もなく、今思えばのんきな身分だったと思う。
本書で取り上げられている生産者や町の食堂の経営者をはじめとする食に関わる職業の人たちが、その間どんな苦労をしていたか、どんな知恵を巡らせていたか。
そのことに思い至って、改めてため息が出た。
本書で紹介されている枝元なほみさんの「夜のパン屋さん」の試みは、最近新聞記事でも見かけた。
協力してくれるベーカリーから閉店間際で売れ残った商品を集め、夜の街頭で売るという試みだ。
売るのは、ビックイシューを売っていた人たち。
ということは、コロナ前後から、このプロジェクトはずっと継続していたということだ。
なんというパワフルな人だろう。
自分の場所でできることを探して、着実に前に進んでいる人がいる。
世の中にはすごい人がいるものだなあ、と思う次第だ。
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小説・文芸
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