平松洋子のレビュー一覧
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平松洋子さんの食エッセイ。最近では、端から文庫本で出版されるんだ。一つのエッセイが3ページ。以前はもう少し枚数があったと思うし、北海道に豚丼やさんま祭りの取材に行ったりしてたのに。
文春はもっとページと取材費を平松さんに提供して欲しい。
さて、さほど長くない文章だけど、どれもぐいぐい引きずり込まれる語り口、だけど切れ味が良くて、しつこさががない。
僕は大阪単身生活5年目、東京の家族の元に帰るときは、当然蓬莱の豚まんが土産。平松さんは新幹線の棚の上にずらり、と書いているけれど、僕は座席の足元に置いている。やっぱり匂いがね、他の乗客に迷惑になると思うので。ホント美味しんだけどね。
しかし、平松 -
Posted by ブクログ
著者の作品を読むのは初めてだったのですが、食にまつわるエッセイストとしてたくさんの本を上梓されていて、25年以上のキャリアがある方ということで、洗練された文章に目を浄化されながら読みました(笑
雑誌の連載を纏めた本なので、15の短編に分かれていて、アスパラガス、鴨狩りから鰻屋、ケーキ屋まで割と広めのテーマが並んでいて、このチョイスを見るだけでも面白く感じます。
グルメを食べ歩いて感想を連ねる形ではなく、丁寧に取材していく中で、例えば食材がテーマであれば作り方から入って、作り手の苦労や喜びに触れられていて、1つずつの短編がまるでテレビのドキュメンタリーを見ているかのように、引っ掛かりなく入って -
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「ひさしぶりの海苔弁」に続き読む。
あとがきに、「食べ物は無数の記憶や物語をもたらす。」とある通り、自分の食の記憶を掘り起こしたり、平松さんの文と対話したりする読書だった。
平松さんの文章は、威勢がいいけど、すっきりして、押し付けがましさがない。
神戸の昭和の佇まいのお好み焼き屋でビールを飲んでる図なんて、渋いなあ。こういうのが似合う人はなかなかいないと思うよ。
沢山の柚子を仕込む台所仕事とか、筍料理とか美味しそうだなあ。
「ひさしぶりの‥」にも深夜の料理の話があったが、
(引用)はっと我に返ると、深夜に台所に立ってごそごそやっていることがある。ワインを飲んで相当楽しくなっているときで -
Posted by ブクログ
ネタバレつくづく平松さんのエッセイは大人の女性の文章で、一歩引いた目線で静かに物事を捉えておられるな、と感心する。
今回も気になる文章が多数。
「ほんとうにだいじなものは、記憶のなかにこそ静かに潜んでいるのかもしれない」
「現在を支えているのは、おびただしい過去の堆積である。だからこそ、たったいまを生き抜けば現在は更新され、明日へ連なってゆく」等々。
真夏の暑い日に平松さんが作られた、刻んだトマトの入った冷たい茶碗むしをつるんと食べてみたい。
私の地元を「雲の美しい土地」と書いておられて、なんだか嬉しい。
風と共に何処からか雲が低く湧き広がっていく様子が目に浮かぶ。
平松さんのように空を見上げて雲