田房永子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本の女性が果たしてきた(男性に課せられてきた)役割の変遷、それに伴う母娘関係の難しさが紐解かれ、学生時代は男女平等と教えられたのに実際は不平等な社会に直面する女性の生きづらさが語られています。
私自身も多くの違和感を感じてきました。
なぜ、男性はでかい仕事ができる総合職が勝ち組、女性は負担がそこそこで家事育児と両立しやすく、夫の転勤にも同伴できる一般職が「賢い」選択とされるのか。
なぜ、男性が雑用するととても感謝されるのに、女性はやって当たり前なのか。
なぜ、女性だけ結婚や出産のタイミングを考えて異動したり転職しなければならないのか。
なぜ、女性だけ結婚していたり子供がいると昇進や転職に不利なのか。
なぜ、男性は女性が感じる生きづらさがピンとこないのか。
これらすべて、男性がつくった「仕事に全振りする男性とそれを支える女性」をスタンダードとする仕組みに女性が無理やり合わせているからだと改めて理解しました。
「男」になって総合職として働くか、「男の妻」として一般職として働くか。いずれにしても、男が中心。
職場を見渡すと20代〜30代前半の男性は家事育児を担うのが当たり前となっていて、上野さん田房さんの論調よりは進歩を感じますが、それでも半分以上を担う男性は少ない。
自分自身の中にも、夫に半分超を任せることに心理的なストッパーがあります。自分自身の意識も変えていきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ会話調で書かれているのでなかなか刺激的な表現ではあるが、今まで女性が感じていなもやもやを分かりやすい言葉で言語化されているので、とても読みやすい。
印象に残った言葉:
・おっさん的想像力の撲滅→性犯罪の話で男に「自分の娘や彼女が被害に遭ったらと考えて行動しよう」っていう話し方、それ自体が女性が男性の所有物という感覚であり、おっさん的想像力になっている
・夫(男)には既得権益があり妻(女)はその不平等にキレるという構図→社会構造上の問題であり、家庭の問題として捉えずにしぶとく議論することが大事
・男は既得権益を保有していることを無自覚的に認識しており、女に奪われると感じているが、女は別に尊重して欲しいだけで既得権益の山に立ちたいわけではなく、ぶっ壊したいだけ。 -
Posted by ブクログ
自分の中に存在していた不可思議な「男性嫌悪感」を紐解き、自身の心の傷を癒やし理解したことで、夫との関係性も改善された、という話。
田房さんの書籍は何冊か持っているが、自分の生臭い部分と対峙する覚悟・決意には毎度驚嘆し、勇気をもらえる。
私も所謂毒親の元で育ち、男性嫌悪感を抱いたり鬱病になって過去の自分と向き合う経験をした。
結婚した夫を愛おしく思う一方で、男性である夫に対し謂れのない怒りや憎しみを抱き、そんな自分に戸惑ったり、2人の息子を持ったことで、自分の思っていた"男性像"と現実の"男性"が全く異なることに気づき、男性学や性犯罪者の本を読み漁ったりもした。
しかしそんな自分の心理と対峙することは本当にハードで、自分を保つのに精一杯になることも多く、育児と同時進行で進めるのは中々大変であった。
そんな大変な作業を精力的に進め、しかもその内情を明け透けに執筆してくださるのはとてもありがたく、自分も頑張ろうと思える。
田房さんには今後も是非、面白い本を執筆していただきたいです。 -
Posted by ブクログ
2021.1.13
「母がしんどい」の漫画で知っていた田房永子さん。エッセイを読むのは初めてだったけれど読んでとても良かった。
女性の妊娠、出産、育児に関する伝統的儀礼のようなおかしなアレコレに対する疑問にうなずくこと多々。こういうの、読みたかったー!
子育て支援センターなどで、子供が褒められたりすると謙遜して「でもうちの子暴れん坊だから」とか「でも〇〇だから」って否定しちゃうのあるある。子供が聞いたら絶対悲しいと思うからやめようと思うし否定する意味もない。その場も白けず誰も傷つかない良い返しがないかなぁ…。「ありがとうございます」だけ言えば良いのかな…とっさに否定しちゃうんだよなぁ。息子、ごめん。
大人になってからわたしも子供と真剣に「となりのトトロ」を見て、メイを探してと泣くサツキの肩をふわっと抱いて頬を赤らめるトトロにめちゃくちゃ違和感を感じてたので、それが文章になってて自分の感情にとてもしっくりきた。
トトロ、キモい!サツキは男の幻想すぎる!
最後の章「火野正平と聖人」、火野さんってそんなに懐の深い優しい男だったのか…そしてアンマに抱かれる田房さんのところで目頭が熱くなってしまった。田房さん、願いが叶って良かったねえ。
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購入済み
読書感想文に
たまたま目につき、読書感想文に書きました。
田房さんの人生や男性に対しての気持ちがよく現れていると思います。
もし、このエッセイを読書感想文で書こうと思う方がいるのならば最終学年で書くことがおすすめです。
何を思われてもあと一年で終わりますからね。 -
Posted by ブクログ
これ正に私の話しです…
最近の親子のニュースを見ていると、こういう方は私以外にも沢山いると感じていましたが今作で確信してホッとしました 自分だけじゃないんだという思いで
たぶん、歴史的に見ると家族の幸せのかたちというのは政府の操作で戦後教育等であったのでしょうね
それが、時間と共に情報の開示やら多様性やらで個人が幸せの形が描き辛くなってきたのと、子育ては母親の責任という時代の教育を受けて核家族化・少子化が重なって過干渉になり、束縛ハンパない母親が増えた結果が今作に反映されていると思います
子供の立場からすると自分が幸せを感じる子供時代を過ごして来なかったので何が幸せかわからない…親になってみて親の考えは多少解るものの子育てが解らない、子供の幸せの形がイメージできないから、同じように束縛してしまうという負の連鎖があるように感じます
ただ中々ホッとはできても実際に親とキッパリ別れるというのは難しいですね
それが今後の課題です -
Posted by ブクログ
田房永子さんが、上野千鶴子さんに質問していくかたちでフェミニズムについて学べる一冊。良書だった。
私自身、フェミニズムって日本で広まったのは伊藤詩織さんの事件や#MeToo運動などからで、海外に触発された思想だと思っていたのが無知すぎて恥ずかしい。
上野先生が青春を過ごしたいわゆる全共闘時代から、学生運動に参加していた女性たちも性差別を受けていたし、それに対してずっと毅然と闘ってきていたんだ。
女は男によって選ばれるものであり、当時の日本では女性が大学に進学すること、ましてや未婚であることは規格外だった。
田房永子さんは毒母に苦しめられてきた経験を著作にしているけれど、上野先生とほぼ同世代のお母さんも性差別の真っ只中を生きてきたんだ。
「母になったらすべての母は抑圧的になるのよ。抑圧者であると同時に犠牲者でもあるのよ」という上野先生の言葉にハッとした。
1960年代後半から70年代初頭にはウーマンリブという、新しい女性解放運動の波が広がった。
「個人的なことは政治的なこと」として、ある女性が受けた個人的な差別や価値観の押し付けは、すなわちそのまま政治的な問題であるということだ。
中絶に関してもそう。日本は中絶天国と呼ばれるほど中絶を簡単にできる国だったそうだが、それだけ望まない妊娠も多かった。コンドームでの避妊が主流で、女性主体の避妊法はまだまだ全然すすんでいない。女性用避妊具もピルも婦人科を受診しないと手に入らない。
私はこれまで自分が受けてきた性被害を、性被害として認識していなかったんだと気づいた。上野先生を始めとするフェミニストがやってきたのは、「あれはセクハラだ」とか「あれはDVだ」って名付けをしてくれることだった。
私は多分それを分からないままで、受け入れなければならないものとして、ただ生きてきた。
しかも男性に性被害を理解してもらおうとするとき「もし自分の彼女、妻だったら」という例え方をするのも甚だ間違いだと気づいた。その例えで男が感じるのは、女はあくまでも男の付属品としたうえで「自分の付属品を傷つけられる」ということだけだ。女性そのものの痛みではない。
フェミニズムって、なんだか仰々しい響きで、賢くて意識の高い女性たちだけがやっているものだと思っていた。
でもそうじゃなかった。個人的なことは政治的なことで、フェミニズムは常に「わたし」から出発しているんだ。
女が女であることを愛し、受け入れる思想のことをフェミニズムと呼ぶ。女は弱い。弱いことも自分自身で受け入れる。
その弱さを隠したり否定したり(ウィークネスフォビア/弱さ嫌悪)すると、ホモソーシャルの社会に同一化して同性でも敵対することとなってしまう。
ミソジニーという言葉があるが、その言葉の本当の意味は男にとっては"女性蔑視"。でも、女にとっては"自己嫌悪"。
「自分の中にあるミソジニーと闘い続けてきた人をフェミニストと呼ぶのよ」
「フェミニズムは女にとって、自分と和解するための闘いだもの。」
と、凛として話す上野千鶴子さんがとても素敵だ。
時代を先に生きて切り拓いてきた女性がいてくれたから、私たちは今こうして曲がりなりにも男女は平等であるとして生きていくことができる。
そのことを決して忘れずに、次にできることはなんなのかを考えていきたい。そしてできるならそれを積極的に吐き出してみたい。
フェミニズム、という大きな思想を前に、決して恐れない女性でありたい。