須賀しのぶのレビュー一覧
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貧しい辻芸人の親に捨てられ、大陸一の女郎になるという野望を持ってハルビンに渡った娘。素晴らしい身体能力と舞の才能を持った彼女の波乱万丈の人生を描く。
ロシア革命から逃れてきた白系ロシア人、ボリシェビキ、コサック、清朝が倒れたばかりの中国 漢人やモンゴル人、シベリアの覇権を争う日本人や欧米人が入り混じる世界大戦前夜のシベリアや満州が舞台になっていて、これまで全く知ることのなかった彼の地の歴史を知ることができたのが面白かった。
前半は舞の才能を生かして伝説の芸妓となる姿、後半は運命の男のために馬賊になり、モンゴル独立をめぐる争いに駆り出される姿を描いている。前半はどちらかといえば少女漫画のようで、 -
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目指す、甲子園という場所。
一応、続編なのだろうか。前の巻で出てきたキャラクターが再登場。しかし、つながっているというほどでもないので、この巻から読んでも問題はない。
競技経験がほぼない状態で顧問に(監督ではなくて)なった若杉の苦労が、ちょっと前向きに書かれすぎかな、とは思ったけど、それを不幸だとかブラックだとか言うのは外野にすぎない。どんなに無謀でも、本人が目指したいなら、その気持ちは否定できない。
才能がなくても真面目な生徒を選ぶか、態度が悪くても能力の高い生徒を選ぶか。中村キャプテンと笛吹に関して、若杉監督の方針は、心に響いた。何が正解とかではないし、努力と才能と期待と結果は、いつ -
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帯と裏表紙に「クライマックス」と書かれてあって「まさかこの巻で終わりなの?」と思った。
さてさてまたこの時期がやって参りました。
高校野球です。
毎年7月に刊行されるこのシリーズも3冊目。
まだ終わらないで欲しいなぁ。
高校3年になった月谷・笛吹・小暮。
真面目過ぎてプレッシャーに押しつぶされそうになるキャッチャー・鈴江の気持ち。そこに寄り添える先輩の中村の存在。卒業したけど中村の存在は大きいな。
唯一人のマネジャー・瀬川の気持ち。
高校最後の夏が始まる。
それぞれの進路。四章目の月谷と小暮のキャッチボールのシーンは本当に高校球児の本音だな。と思った。
そう思ってそう。
須賀さんの書く野球物っ -
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青春! 青春だよ! 願わくばこの日々が、彼らのこれからの人生を支えるひとつになりますように。存在感がありながらも、最初はあくまで(物語中では)脇役でしかなかった三ツ木高校硬式野球部をこんなにがっつり書いてくれるとはおもっていなかったので、また彼らに会えてとてもうれしい。ぶつかりながら、じぶんの限界を感じながら、流されながら、それでもやっぱりじぶんの意志でやり遂げることを選べる彼ら。なんて頼もしくうつくしいのだろう。人間関係を掘り下げすぎず、野球を中心に書ききってくれたのも、高校野球の魅力が伝わりよかった。
(男性登場人物と同じように、女性登場人物を名ではなく姓で書いているのもよかった。地の文で -
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甲子園をテーマに、現在、過去、高校生の立場、取材する側、立場をかえたお話3編でした。正直、野球には興味がないのですが、プロ野球は見ないけど甲子園はと、多くの人が一生懸命になるのがなんとなくわかります。試合なのでもちろん勝ち負けは重要なんですが、やっぱりそれ以上に「このチーム」でという思いがどこの高校にもあるから、勝ったチームも負けたチームも輝いているんだと思いました。高校生活3年間あっても、「このチーム」は1年間だけですもんね。甲子園、ニュースぐらいしか見ませんが、どちらのチームも勝たせたい、といつも思います。最後の戦中の話は、こんなことは二度とあってはならないと思いました。
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甲子園という、特別な場所に魅せられて。
甲子園を目指す話がいくつか入っている。必ずしも主役は高校球児ではない。スポーツ新聞の記者が語りの話もある。一番惹かれたのは、表題作である『雲は湧き、光あふれて』だ。戦前、中等学校で甲子園を目指していた鈴木雄太の前に現れたのは、沢村栄治を思わせる剛速球を投げる滝山亨。不遜な滝山の態度にいら立つ雄太をよそに、彼らの普川商は甲子園出場を決めたが――。中学生の国語で「一塁手の生還」を読んで以来、戦前・戦後をまたぐ甲子園の話には、何か気になるものがある。
3作品を通じて感じたのは、甲子園という場所の特別さ。今も昔も、なぜ甲子園だけ特別なのか。なぜ高校野球にあん