古内一絵のレビュー一覧
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舞台は“文林館”という出版社。令和三年春 新型コロナウイルスが猛威を振るっていた。
入社五年の明日花に予期せぬ辞令が出た。「文林館創業百周年記念 学年誌創刊百年企画チーム」この“チーム”での広報活動が明日花の新しい任務だった。貧乏くじの“やらされ仕事”のように感じていた明日花だが ある時 終戦一年前の昭和十九年の入社者の中に 今は認知症を患う祖母の旧姓名を見つける。
終戦をむかえるまで 令和では明日花が昭和では若き祖母のスエが物語を進行する。コロナ禍と戦時下。どちらも背景に閉塞感が漂っている。
戦時下、国策に協力するほか出版社に存続の道はなかったであろうことは想像に難くない。しかし作った -
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マカンマランの原点という事で購入。
あれ? シャールさんは…? どこで登場するのかな〜と思いながら読んだ前半、
中学校水泳部の、眩しいくらいの青春小説。
シャールさんの登場には、キターーーとニヤけながら胸おどる♫ ジャダもいた〜
自分の泳ぎにしか興味がない主人公龍一が、日に日に成長し、廃部寸前の水泳部の存続にひたむきに頑張る姿はとてもよかった。
顧問の柳田先生も、イヤな先生だわ〜と読んでいたけれど、あのマカンマランの常連客の柳田!!と気づいて、あ〜そういうことか!なんか感動✨
性同一性障害に悩む襟香と母親の葛藤や、
脇を固める、個性豊かすぎる水泳部の後輩たちの
成長も、みんなみんな頑張っ -
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/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/
『東京ハイダウェイ』を読んで、身近な場所がたくさん登場することに驚きました。
みなと科学館は通っている整形外科のすぐ近くにあるし、東京国立近代美術館は普段からその横を走っているのに、これまで足を踏み入れたことはありませんでした。ほんと、新しい発見につながりました。
読後、さっそく夢の島を訪れて第五福竜丸展示館を観てきました。土曜日にもかかわらず、公園は暑さのせいか人が少なく、展示館も植物園も静かで落ち着いた雰囲気でした。「隠れ家」のようにひっそりと佇む場所に、自分だけの時間を持てた気がします。
この作品の中には、思わずドキッ -
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ネタバレドラァグクイーンのシャールさんが営むカフェで人生の悩みを持つ人たちがヒントをもらって進んでいく話。ドラァグクイーンとして生きることを決意するために、人生について真剣に考え抜いたシャールさんだからこそ、出せる言葉と料理の数々に癒される。今回は、母親を早くに亡くした結果、自分で自分を、可哀想と決めつけ、周りへの気づかいをなくし、人間関係に悩む生徒。二話目は世界的な料理人がSNSでの失敗をもとに立ち直れなくなる話。三話目は、自信のために裕福さと美貌を勝ち取ったもののそこには求める幸せがないことに気づき、立ち直る女性の話。最終話は性同一性障害に悩んでた元生徒が大人になり性転換に踏み切る決断をした。その
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もぅ〜!!
最高の1冊!!
文庫本で読ませていただいていいのか!?って心のなかで叫びました
お買い得だと思います、この1冊
恋と食のある10の景色のサブタイトルもすてきですが、わたしとしては恋よりもひととひととのつながりを強く感じました
誰かと出会うこと
誰かと寄り添うこと
誰かと愛し合うこと
それはとても簡単なようで、簡単ではない
いっしょに食事することも相手が違えば、高級であっても味気なく、カップ麺でもおいしく感じるように
最後の山田詠美さんの『恩讐の彼方のトマトサラダ』まで、どの作品も好きですが
しいて!!
強いて、好きな作品は
君嶋彼方『ヴァンパイアの朝食』
奥田亜希子『白と -
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ネタバレドラァグクイーンが切り盛りするカフェで対話と食事を通して生きるヒントを得る人たちの話の第三弾。この本に出てくる悩みは、共感できることが多いし、食事もそれほど事細かには書かれていないのに、美味しそうに描かれてるので食べたくなる。今回の一話目は社会の理不尽、卑怯な人たちに批判される、にやられた結果、自身も同じようなことをネットを通してしてしまう話。特に相手が自分と同じような境遇から立ち直った妬みからしてしまう。妬む自分も自分として受け入れてそこから変わっていくことが大切というメッセージ。二話目は失恋の痛手から愛のない結婚に逃げた結果、豪勢だけど空っぽの人生を過ごしてた人の話。動機はさておき、自分が
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英国で亡くなった、会ったこともない大伯母・玉青から、高級住宅街にある「十六夜荘」という洋館を遺産として相続することになった雄哉。32歳という若さで管理職となるほど有能な彼は、この屋敷を売却しようと考え、十六夜荘を訪れる。そこに下宿する4人の住人たちと出逢い、また、大伯母の過去を知ることで、尖っていた彼が変わっていく。
そんな雄哉が生きる現代と、大伯母が生きた戦前から戦後、の二つの時代が交錯する物語。
玉青は元華族なのだけど、その生き様がなんとも清々しい。そして海軍省軍人の兄・一鶴の人物像が素晴らしい。雄哉よりもこの2人に心引かれた。
この物語の一つのテーマは「遺産」。「十六夜荘」