椰月美智子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
個人的な話を書きます。
私は今日、誕生日です。25を過ぎてからは歳をとることが嬉しくないし、特にここ数日間で仕事や恋愛で良くないことが重なり、自分は大した存在でないなあと落ち込んでいたのもあって、私は自分が生まれた日を素直に祝福できませんでした。
私のように、誕生日に憂鬱な気分になる人はよくいるそうで、バースデーブルーと言うそうです。私も今年はバースデーブルーだったので、もうケーキも食べず何もせず、今日は好きな本を読む日にしようと思いました。
積読の中から選んだのが、つながりの蔵でした。椰月美智子さんの本は何冊か読んだことがあって、いつも読み終わると優しい気持ち、心が温まったような気持ちになれるので、今日の日にぴったりだと思い、あっという間に読みました。
本の中で、5歳で天国に行ってしまった莉央斗くんが、僕は長くは生きられないとわかっていても、みんなに会うために生まれてきたんだよ。と言う場面が一番印象に残りました。
みんなに会うために生まれてきたんだよ。この言葉は、自分が生まれた日を喜べない私の心に響きました。私は、大人になった自分を大した存在でないと言って、生まれてきて良かったんだろうかと誕生日を喜べないでいたけれど、周りを見渡せば、沢山の愛情をかけて育ててくれた両親や、祖父母、兄弟、楽しい友人、恋人、沢山の人に囲まれているんだな。25年前の今日に生まれていなければ、私の大好きな人たちにも、出会うことはできなかったんだな。わたし、生まれてきて良かったのかも。そう思えました。
この本を読んでもっと他に受け取るべき教訓はありますが、今日の私はこの言葉に出会えたことが一番嬉しかったです。椰月美智子さんから、自分の生まれた日を祝福していいんだよ。という言葉のプレゼント貰った気がしました。
-
Posted by ブクログ
すごく良い話だった。
11歳の"おれ"こと拓人と、友だちの忍、宇太佳の3人はスケボーが大好き。ある日神社の前でスケボーの練習をしていると、管理人さんである田中さんに出会う。スケボーをやってみて怪我をした田中さんの為にお手伝いをしに行くこととなる拓人たち。そんななか、田中さんが11歳のときに戦災で家族も家も失ったことを知る。
すごく優しい田中さんと11歳の男の子3人との友情。田中さんのことを慕い、他のみんなにも田中さんの人生を知ってもらいたいと思う拓人たち3人の一生懸命さがとても素敵だと感じた。
自分たちの街に爆弾が落とされたこと、その犠牲者が24人だったと初めて知ったときに拓人たち3人が咄嗟に「意外と少ないな」と感じてしまったこと、その後犠牲者のなかに田中さんの母と妹が含まれていたことを知り、被害を身近に感じるシーンが胸に迫る。
…二十三人という人数が、妙にリアルに迫ってくる。二組のクラスは二十四人だ。たった一人を残して、みんな死んでしまったということだ。
「そのとき、わたしは十一歳だった」
おれたちは、また三人で顔を見合わせた。自分たちと同じ年だ。心臓がどくどくと音を立てる。
(p.73)
田中さんの話をみんなに知ってもらいたいと動く拓人たち3人の姿も良いが、六年二組の他のクラスメイトたちも田中さんに取材したり、戦争について調べたりと一生懸命になるところが良いなと思った。最初の話し合いで、「人がたくさん死んだ戦争の話なんて聞きたくない。そんな怖い話をわざわざ聞きたくない。悲しい気分になるし」「戦争は昔のことで、今のわたしたちとは関係ない」と言いはる女児の存在も戦争に関して人々がもっているひとつの考え方としてリアルだなと感じた。
田中さんと拓人たちの絆にグッとくる小説だった。
最後の森絵都さんの解説のなかの一節も考えさせられた。
…過酷な人生を生きてきながらも、毎日にこにこと笑顔をたやさない田中さん。チョコバナナ一つにも輝くそのみずみずしい好奇心や、今ある世界を尊ぶ菩薩ぶりは、私たちにとても大事なことを教えてくれる。過去に悲しいことがあったからといって、今も悲しく生きる必要はないと。 (p.193)
-
Posted by ブクログ
すごく私の好みに合っていたと思います。
イメージコンサルタントという、その人にもっと(最も?)似合う服装髪型を提案するお仕事をテーマにした短編集。
パーソナルカラーだ、骨格診断だ、というその人が似合う格好を選択することが良しとされて結構経ちますが。私自身個性的な格好も好きだし、色んな格好がしたいから特に気にしないようにしていました。
格好なんてどうでもいいと言いながら、誰かからダサいと言われたら傷つくし、それが思春期真っ只中の我が子なら自分を否定してしまう。
一話めの純代さんの主婦の物哀しさや、コンサルティングを受けて自分が周りが明るく変わっていく様子、嬉しいのに冷静に状況をを客観的に眺める文章が興味深かったです。
華やかなメンバーと仲良くなって、楽しんでいるのに、もともと苦手だった“きらきらな人”にわだかまりを捨てられないのがリアル。
すべてのお話が見た目を変えてオールハッピーになるんじゃなくて、一波乱あって、それでも人生を続けていくんだっていう清々しさを感じる読み口で、初読みの作者さんでしたが、他の作品も読んでみたくなりました。続編あるのかな。 -
Posted by ブクログ
まあまあ長い文章であり、かつ恋愛以外の要素がほとんどないし、大きな事件が起きるわけではないけど、ついつい読み進めてしまう面白さがあった、感情移入できる部分とできない部分が交互に出てきて、読むのにちょっと体力を使うくらい、のめり込んでた本、最後の解説まで含めてすごい読後感ある本だった、時代は今とはちょっと違うけど女の人ならみんなどこかしら共感できるんじゃないかと思う。
主人公はすごいわがままで何言ってんだこいつみたいなことばっか主張する女だけど、本当は私もこういうふうにできたらいいのにってどこかで嫉妬してるからそう思うのかもとも思った(もちろん理性や倫理に欠ける行動は違うけど)、冷静になれる恋愛と狂おしいほどに苦しくなる恋愛は両立できないし、どっちかの恋愛をしているときにはそうじゃないほうの恋愛につい憧れてしまったりするけど、結局恋愛に正解はないんだなと思う、ただ好きな人とずっと一緒にいられたらいいのに