狗飼恭子のレビュー一覧
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大分前に購入「積ん読」状態だったのをなぜか読みました。
正直楽しかったです。
作家さん達の代表作のスピンオフというか表題通り「サイドストーリー」。読んだことの無い作品もありましたが、丁寧に作者の横顔やメインのストーリーも書いてあるというサービス付。すべて「煙草」や「一服ひろば」に関連して書いてありますが、上手くからめてあるお話もあれば、やや無くてもいいんじゃない?的なお話も。
冲方丁の「天地明察」は読んでみたいと思っていた本だったので、ますます読みたくなりました。
貴志佑介の「鍵のかかった部屋」からのお話はドラマで見ていた佐藤浩市の芹沢がメインになったのには驚きましたが、まんまでしたね。
限ら -
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久々の狗飼さんの新作。
多感な時期に愛読した、大好きな作家さんの1人。
彼女の感性がすごく好きです。ただ、作品を重ねるごとに尖った感性みたいなものが薄らいできたような気がして、徐々にフェードアウトしていました。
それが、久々に読んだこの作品はすごくすごくよかったです。
彼女の集大成かと思うくらい。
10年分の記憶をなくした27歳の彼女の物語は、ミステリー要素も混ざっており、読み応えがありました。
ヒリヒリするようなこの感覚は、燃えるような恋愛をした時の痛みを思い出すからかもしれない。
彼女の核みたいなものはきっと昔から変わっていないんでしょうね。
それが作中のいたるところに感じられて、嬉しか -
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大好きな狗飼恭子さんの、久々の新作。しかも、表紙のイラストが遠田志帆さんという、素晴らしい組み合わせに、読む前からうっとり。
事故で十年分の記憶を失い、十七歳の十二月に戻ってしまった朔美。
自分の知らない現在の自分を「彼女」と名付けた朔美は、思い出せない過去を探そうとしますが・・・。
色々な「何故」がわかった時の、「ああ、そうか」という感覚は、少しだけ、ミステリっぽいかも。
でも、とても痛々しくて美しい恋愛小説。
実は、どちらかと言うと、恋愛小説は苦手なものが多いのですが、狗飼恭子さんの書く小説は、いつも、何から何まで、ぴたりと私の心に入り込みます。
ところで、作中に出てくる「春の嵐は -
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『ナタラージュ』を読んだら、ふと、読み返したくなったので、本棚から引っ張り出して、数年ぶりに再読しました。
主人公は、21歳の、和泉リカコ。
物語は、高校の時の演劇部の顧問、宮本先生のお葬式から始まります。
彼は、
「いずみさん
ごめんなさい
僕にはどうやら無理みたいです」
という遺書を遺していました。
演劇部には、リカコの他に渡辺イズミという、もう一人の「いずみ」がいました。
宮本先生の年の離れた弟のワタルは、遺書に書かれた「いずみ」を探す為、二人に声をかけます。
首をかしげるリカコの横で、イズミは、それは自分だと断言します。しかも、今お腹の中にいる子の父親は、宮本先生だとも。
こうし -
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「痛がるなんて損だよ」
「痛くない恋なんて、する意味がないじゃない」
猫アレルギーの初美と、付き合って2年目になる彼・ユキオ。
彼の家には愛猫の「みりん」がいる。
そして三角関係を予想させる、彼の従姉妹「ミリ」の登場。
狗飼さんの本の中でも、いちばん好きな1冊。
何気なく書かれている言葉が、すごく心に染みる。
恋の痛みとか、ちょっとした心移りとか、忘れられない想いとか、
その全部を肯定してくれる。
・リミットは確実に近づいてくる。私は、最後の最後の瞬間まで、できる限り一生懸命彼を愛そうと思う。私自身のために、心の底から。
・結婚したいとか、そういうんじゃない。ただ、できる限りくっつい