狗飼恭子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
婚約者と共に暮らす津秋と、たまに泊まりに来る年上の恵梨香に恋する正臣
東京と京都で離れている二人の人生が交錯する物語
人を殺す夢を見る津秋と、人に殺される夢を見る正臣
夢占いではどちらも吉夢だと言うけれども、夢占い自体が信憑性が低いからなぁ
そう言えば最近、知り合いが笑顔で自らをメスで傷つけながらこっちも切ろうとしてくる夢を見たけど、吉夢とは思えないんだよなぁ……
冒頭で最後のシーンが描写されているけど
東京と京都
韓国バーの店員と大学生
交わる要素がない二人
それが最終的にはああなるとはねぇ
本編で「許される問い」の話題とか、香子さんの言う色も言及されているので、時系列通りの構成にな -
購入済み
しゃれた構成のアンソロジー
煙草をテーマに有名作家の有名小説の番外編ばかりを集めたという大変にしゃれた構成のアンソロジー。
もとの小説を読んでいれば読み返したくなるし、読んでいなければ読みたくなるという、出版社 作家の術中にはまってしまうたちの悪い本。
番外編ではあるが元の本の色合い香りを程よく保った佳作が多い。 -
Posted by ブクログ
「一緒に絶望いたしましょうか」
なんとなく、このタイトルに惹かれて。
絶望って救いのない言葉だけれども、読み終わると、このタイトルがとびっきりの愛の言葉に感じられて、ほんとはぁ〜ってなる♡
すご〜く良かった!!
初読みの作家さんですが、言葉のセンスといい、物語の空気感といい、とても好みな作品だった。
全9章。
最初に9章が描かれてて、全章読み終わると最初に繋がるという構成がまたじわっとくる!
人を殺す夢を見る津秋と、人に殺される夢を見る正臣。
なんの繋がりもないように思える2人の話が交互に語られる。
大切なものをなくしたり、希望を失ったり、絶望感に襲われる事って人生の中できっと誰にでもあ -
購入済み
心の奥底からじんわりと
著者の本は初めてだったがタイトルに惹かれて購入。
とても読みやすいが決して薄っぺらくなく、登場人物たちの情景がありありと目に浮かんで、どんどん読み進めたくなる。
恋人と夫婦の関係性の決定的な違いを言語化された文章で、これほどハッとさせられた言葉はない。
自分にとってこの先の人生の指針になるだろう。
心の奥底からじんわりと温かくなる物語。 -
Posted by ブクログ
ネタバレその頃からだろうか。わたしは部屋に「不在」を感じるようになった。彼はいない。いないならそこにはなにもないはずなのに、「不在」はいつもそこにいた。毎朝起きるベッドの右側に、食事をするときはテーブルの向かいに、二人掛けソファの半分に。「不在」は、いつも存在した。その「不在」は彼の形をしていて、彼の話し方で話をした。彼のやり方でわたしを喜ばせたり悲しませたり怒らせたりした。
恋人同士は希望がなくちゃ一緒にいられないのかもしれない。けどな、一緒に絶望できるのが夫婦ってもんなんだよ。
過去とともに生きる。そんなの当たり前だ。僕らは前へ進むけれど、その道は過去から続いているんだから。絶望も希望もぜんぶ