狗飼恭子のレビュー一覧
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狗飼恭子は大学生のころにずいぶんと読んだのだが、おととし本の大整理を行ったときにほとんど手放してしまった。
しかしいまでもたまに読みたいと思うのが、この『南国再見』だ。
恋人が消えた。私を残して、いなくなってしまった。旅にばかり行っていた彼は「俺、天国って南の国のことだと思うんだ」と言い残して死んでしまった。
彼が残していった大きなコートには彼のにおいがしみついている。そのぶかぶかのコートを羽織って、私は彼のいる南の国を探しに行く。
<人は二度死ぬという。
一度目は自己の死。
そして二度目は人に忘れ去られるという死。
忘却という死。
それならば私は、忘れないでいよう。
できるかぎり、で -
Posted by ブクログ
ネタバレやられた。。最初の方に出てきた、何もしてくれない、分かってくれない別れも考えてる婚約者は『不在』やったんやね。雑学王のくせに私のことは何一つ分かってないのは彼じゃなくて『不在』(じゃあ夢事典を手渡してくれたのは誰?)。何の仕事してるかわからん在宅警備の嫌なヤツって思ってたけど…そりゃ何もしてくれんわな。何の期待も出来ないけど居てくれないと生きられない。絶望が生み出した幻。
不妊治療の末、やっと授かった第一子を流産した自分を死んだことにして恵梨香として絶望と共に京都で生きる事にした香子さんを軸に、突然の事故で夫を亡くして空っぽになった津秋と、恵梨香さんが好きなどこか浮世離れした正臣がロシアへのビ -
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【あらすじ】
いつも突然泊まりに来るだけの歳上の恵梨香に5 年片思い中の正臣。婚約者との結婚に自信が持てず、仕事に明け暮れる津秋。叶わない想いに生き惑う二人は、小さな偶然を重ねながら運命の出会いを果たすのだが――。噓と秘密を抱えた男女の物語が交錯する時、信じていた恋愛や夫婦の真の姿が明らかになる。今までの自分から一歩踏み出す恋愛小説。
『人生は続く。それはもう容赦なく。だから信じがたいようなことや嘘や夢物語は、それでも生きていかなきゃならない私たちの、ささやかな光だ。』
『きっと人は、自分に欠けていると信じ込んでいる美徳を他者が発見してくれた時、ひときわ嬉しくなるものなのだろう。』
『こ