狗飼恭子のレビュー一覧

  • 雪を待つ八月

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    終わりから始まるお話。イヤ寧ろ終わりっぱなしのお話。
    主人公が、地味で卑屈でわがままで世間知らずで、でも読んでいて全然イライラしないのは何故だろう。(葉蔵は大嫌いだったのに。)
    失恋で静かに常軌を逸していくところとか、痛々しいのに爽快だ。もっと早く、平手打ちでもしてやっとけば良かったのに!
    主人公を応援してしまうのは、きっと彼女がダメ男ばかりに惚れてゆくからかな。そして自分の非に気付き、ちゃんと過去を過去と割り切ってゆくところ。
    物語の終わりが、彼女の人生の再出発点。

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    2011年04月16日
  • 彼の温度

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    同じ男に恋をしてしまった姉妹。
    前半は妹、後半は姉の、
    それぞれの一人称で淡々と綴られているが、
    その静けさゆえに余計に切ない。

    私には娘二人がいるので、
    読後に母親目線である自分に気づいた。
    姉妹がツラい想いを抱えることは、
    母としてやりきれない。
    そんな物語。

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    2009年11月11日
  • おしまいの時間

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    痛くて、さびしくて、やるせなかった。でも、甘くて、冷たかった。一番きれいな死に方とか。面白いというか、刺さる。
    誰にも嫌われないということは、誰にも愛されないということ。あいたい気持ちとちょっとリンク。

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    2009年10月07日
  • 低温火傷I たとえすでに誰かのものでも

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    わりと好き。死んだ人に、過去に囚われている人たちの話。その一途さが怖ろしい。なんか空っぽな自分に嫌気がさして、泣きたくなる感じ。最後が良かった。あの閉じた濃い空間は何なんだろ。

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    2009年10月07日
  • 温室栽愛

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    『何でこんな女がモテるのだろう?』
    女同士は時として、
    妬み嫉みで相手を判断してしまいがちだが、
    主人公が素直にその女友達が愛される理由を見い出し、
    自分の過去も現在も未来も受容していく様が、
    ゆっくりとした空気に流されながら展開していく。
    この作者の書く文章には、
    いつも体温を感じることができる。

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    2009年10月04日
  • 低温火傷III 愛のためにしか生きられない人

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    ≪1〜3をまとめて≫
    1冊1冊は薄い文庫本で、3冊一気に読めてしまった。
    この人の作品は、私の頭の中で容易く映像化できる。
    淡々と進められるサラリとした文章は、
    精神的に危なげな人たちが何人も出てくる内容の割に、
    あまり重さを感じない。
    「愛は想いじゃなくて行動だ」というくだりがあったが、
    なるほど、と納得できた。
    不倫とか自虐行為とか近親相姦とか、
    ヘビーな話題を抱えた人たちが登場人物だったりするのに、
    日常のありがちな情景として流してしまいそうになった。
    それが、この作者の上手いところだと思う。

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    2009年10月04日
  • 恋の罪

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    そばにいたいから兄妹になりすます?
    兄妹は交わることができないとしても?
    結ばれることよりそばにいることを選んだ女。
    それが女の犯した恋の罪。

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    2009年10月04日
  • 南国再見

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    死んでしまった恋人の軌跡を、
    ある日一日かけて辿る主人公。
    もう一度会いたい。もう一度彼の温度を感じたい。
    そんな主人公の想いが切なく迫ってくる。

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    2009年11月11日
  • 冷蔵庫を壊す

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    冷蔵庫を壊す、という意味が意外であり、すごく巧い表現だなぁ、と思う。
    ミキモトさんがとにかく魅力的。
    素敵な女の子。
    人を恋する気持ちって、なんて偉大で、
    そしてなんて、もろいんだろう。

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    2009年10月04日
  • 温室栽愛

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    変なのにモテルだなんてそんな人いるんですかね?私は絶対に桜子とは友達になれないって思う。狗飼 恭子さんの本は大好きなんですが、全体的に少しいやな感じの女の子と少し弱い感じの主人公が恋愛を通して仲良くなっていくみたいのが多くないですか?

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    2009年10月04日
  • 忘れないからね

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    この本を初めて読んだとき、私はすごく弱っていました。色々失敗して結構しんどい感じで、その上、人に気をつかいながらの旅行中。飛行機の中で読みました。お話の流れとはあまり関係のない言葉がすごく沁みて、一人で泣いてしまったのをすごくよく覚えています。隣に座っていた姉が見て見ぬふりをしているのが、少し腹立たしく、また、すごく暖かいと思っていました。
    ぼんやりとしかどんな言葉だったか覚えてないので、再読して書き残しておきたいと思っています。
    再読してみました。たしか、『私はもう何者にもなれない』みたいな言葉だったと思います。でも残念ながら、今の私では涙した言葉は見つけられませんでした。仕方ないかなって思

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    2009年10月04日
  • 低温火傷III 愛のためにしか生きられない人

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    ネタバレ

    3作目は「愛のためにしか生きられない人」

    すごく楽しみにしてました。
    …のですが。今回、重いのです中身がぎっしりと。主人公音海の考え方とかは元々違うなと思うところが多かったのですが、今回はその考え方などには苛々したり、正直私の嫌いな考え方が途中ちょっと読む気を削ぎかけたり…。

    それでも、ずっと絡み合っていた死んだ兄、大地の見えなかった世界や残された人々のそれぞれの役割がすっきりとわかったのは良かったかなと思います。これが曖昧にぼかされていたら読む気をなくすどころか最後まで読み終えなかった気がします。

    愛することとは、愛ってなにか、ということをそれぞれが語り続けた最終話でした。一つ一つはま

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    2011年10月24日
  • 低温火傷II わたしだけ好きなふりをして

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    ネタバレ

    2冊目は『わたしだけ好きなふりをして』


    私は、私だけ=自分だけ、自分ばっかりが好き…という意味で捉えていたんですが、これ、願い事なんです。

    主人公音海の恋愛相手(恋人…と素直には言い難い)には妻子が居るのですが、相手にとって都合のいい自分でいようとするのです。頑なに。

    嫌われないけれど、愛されない自分を当然のように受け止めようとして、その過程で自分に堆積していく『毒』を感じ続けていきます。そうするしか道がないと思っている以上、恐らく想う相手に何か言われてもそれは意味を成さないのではないかと思います。

    恋は確かに不確定要素が詰まっていて、好きになればなるほど信じることが難しいと思います

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    2011年10月24日
  • 低温火傷I たとえすでに誰かのものでも

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    ネタバレ

    狗飼恭子さんの作品は今までもずっと好きだったのですが、この作品は1番好きかな、と思います。

    1冊目は『たとえすでにだれかのものでも』

    決して略奪の趣味趣向があるわけではありません。ただ、どうしても好きになってはいけない相手はいるわけで…。
    結局は何に対してかわからないけれど(自分へか、相手へか、それとも…)悔しくて切なくて、そしてそんな恋愛なんかやめてしまいたくて、と思うような気がします。

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    2011年10月24日
  • 愛のようなもの

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    『・・・そういう私だけの思い出を私がなくしてしまったら、それはなかったことになっちゃうんじゃないかって思って、怖かった。これらをなくしたら、私は空っぽになっちゃうって思った。
     でも、十七歳の私は充分に、もう充分に、空っぽだった。
     だから私は、子供のふりしてそこにいた。
     良い子のふりして、そこにいた。
     それは悪いことじゃない。
     悪いことだったとしても、それは私のせいじゃない。
     多分。
     でもだとしたら、一体誰のせいなんだろう?』

    良い子な自分が好きだ。家族にも親戚にも先生にも近所の人にも友達にも、私は良い子で真面目な子だって思われてきた自信がある。思われてきただけじゃなく、実際良い

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    2009年10月04日
  • あいたい気持ち

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     分かんないよ。そんなのぜんぜん分かんないよ。ただ怖いんだ。怖くて怖くてたまらないんだ。
     みんなが、私を嫌いな気がする。
     私の中のたくさんの嫌な感情を、みんなはもうとっくに知ってて、でも知らない顔して噂話してる。私のことをみんなが笑う。その声だけが聞こえる。
     私は救援信号の出し方を知らない。たとえそれを知っていたとしても誰も助けに来てくれないことだけ、私は知っている。子供じみた私の気持ちを、私の中の誰かが諭す。いい加減に大人になりなさい。他のみんなのように、自分の目で世界をきちんと捕らえなさい。
     助けて。助けてくれなくても良いから、私を嫌いにならないで。嫌いになるくらいなら、私を忘

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    2009年10月04日
  • 一緒にいたい人

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    ずっと昔に買って、昨日の夜寝付けなかったから、久しぶりに読み直してみました。なんか終わり方がすごく切なくて痛々しかったっていう印象だったから、あんまり読みたくなくて2回目だったのですが、私が記憶していた終わりとは違っていて驚きました。人の記憶ってすごく曖昧。わかるなって思ったのは、恋は終わるものだってこと。私も恋をいつか終わるものとして始めて、いつか終わるものとして大切にして、いつか終わるものとして捨ててしまいます。いつか終わりについて考えもしないような恋がしたいなって思いました。

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    2009年10月04日
  • 低温火傷II わたしだけ好きなふりをして

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    うまく表現できないけど、狗飼さんの小説でこれが一番好きかも。
    「恋は盲目なはずなのに、みんなきちんと目で見て確認してから恋に落ちることができるのですか」
    ひねくれてる主人公に共感する。

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    2009年10月04日
  • 南国再見

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    死んでしまった恋人に、会いに行くお話。
    真夏の8月に、彼のカーキ色のコートを着て。

    狗飼恭子さんの小説には、全てではないけれどいつも部分的に共感する。
    「逢えなくても、逢いたいと思い続けることができる限り大丈夫」

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    2009年10月04日
  • 低温火傷I たとえすでに誰かのものでも

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    タイトルに惹かれて買ったんですが内容が良かったです。

    「好き」とか「愛」とか考えさせる話です。

    ネタバレすると最終的には彼と別れてしまう主人公なんだけど読み終わると何だか気持ちがスッキリしました。

    主人公の亡くなった兄を愛する人達、一人一人の気持ちが凄い理解できる。

    一人一人、お兄さんが生きた証を携えて生きていく姿が堪らなくかっこいい。



    私は小説を読み終わったときの瞬間に気持ちがスーっとなるんだけど、その「スー」が凄く気持ち良かった。

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    2009年10月04日