狗飼恭子のレビュー一覧
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この本を初めて読んだとき、私はすごく弱っていました。色々失敗して結構しんどい感じで、その上、人に気をつかいながらの旅行中。飛行機の中で読みました。お話の流れとはあまり関係のない言葉がすごく沁みて、一人で泣いてしまったのをすごくよく覚えています。隣に座っていた姉が見て見ぬふりをしているのが、少し腹立たしく、また、すごく暖かいと思っていました。
ぼんやりとしかどんな言葉だったか覚えてないので、再読して書き残しておきたいと思っています。
再読してみました。たしか、『私はもう何者にもなれない』みたいな言葉だったと思います。でも残念ながら、今の私では涙した言葉は見つけられませんでした。仕方ないかなって思 -
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ネタバレ3作目は「愛のためにしか生きられない人」
すごく楽しみにしてました。
…のですが。今回、重いのです中身がぎっしりと。主人公音海の考え方とかは元々違うなと思うところが多かったのですが、今回はその考え方などには苛々したり、正直私の嫌いな考え方が途中ちょっと読む気を削ぎかけたり…。
それでも、ずっと絡み合っていた死んだ兄、大地の見えなかった世界や残された人々のそれぞれの役割がすっきりとわかったのは良かったかなと思います。これが曖昧にぼかされていたら読む気をなくすどころか最後まで読み終えなかった気がします。
愛することとは、愛ってなにか、ということをそれぞれが語り続けた最終話でした。一つ一つはま -
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ネタバレ2冊目は『わたしだけ好きなふりをして』
私は、私だけ=自分だけ、自分ばっかりが好き…という意味で捉えていたんですが、これ、願い事なんです。
主人公音海の恋愛相手(恋人…と素直には言い難い)には妻子が居るのですが、相手にとって都合のいい自分でいようとするのです。頑なに。
嫌われないけれど、愛されない自分を当然のように受け止めようとして、その過程で自分に堆積していく『毒』を感じ続けていきます。そうするしか道がないと思っている以上、恐らく想う相手に何か言われてもそれは意味を成さないのではないかと思います。
恋は確かに不確定要素が詰まっていて、好きになればなるほど信じることが難しいと思います -
Posted by ブクログ
『・・・そういう私だけの思い出を私がなくしてしまったら、それはなかったことになっちゃうんじゃないかって思って、怖かった。これらをなくしたら、私は空っぽになっちゃうって思った。
でも、十七歳の私は充分に、もう充分に、空っぽだった。
だから私は、子供のふりしてそこにいた。
良い子のふりして、そこにいた。
それは悪いことじゃない。
悪いことだったとしても、それは私のせいじゃない。
多分。
でもだとしたら、一体誰のせいなんだろう?』
良い子な自分が好きだ。家族にも親戚にも先生にも近所の人にも友達にも、私は良い子で真面目な子だって思われてきた自信がある。思われてきただけじゃなく、実際良い -
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『
分かんないよ。そんなのぜんぜん分かんないよ。ただ怖いんだ。怖くて怖くてたまらないんだ。
みんなが、私を嫌いな気がする。
私の中のたくさんの嫌な感情を、みんなはもうとっくに知ってて、でも知らない顔して噂話してる。私のことをみんなが笑う。その声だけが聞こえる。
私は救援信号の出し方を知らない。たとえそれを知っていたとしても誰も助けに来てくれないことだけ、私は知っている。子供じみた私の気持ちを、私の中の誰かが諭す。いい加減に大人になりなさい。他のみんなのように、自分の目で世界をきちんと捕らえなさい。
助けて。助けてくれなくても良いから、私を嫌いにならないで。嫌いになるくらいなら、私を忘