佐伯啓思のレビュー一覧

  • 西田幾多郎―無私の思想と日本人―

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    西田幾多郎の評伝あるいは西田哲学の入門書というよりは、西田幾多郎(西田哲学)を絡めて著者の自論を開陳したエッセーという感じ。著者の独善的な考えに過ぎないのではないかという部分も散見された。特に「第五章 特攻精神と自死について」は読んでいて不快になった。しかし、「於いてある場所」の説明は非常に飲み込みやすかった。

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    2016年07月22日
  • 自由と民主主義をもうやめる

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    自由は放縦、国民に良識がなければ民意も正しいとはいえない。価値と切り離せない。国の育んできた価値を大事にしようというのが保守の精神。戦後日本では、受け継がれてきた価値が何か、よくわからなくなってきている。

    自由と民主主義、という言葉に対して、無条件に良いものとして思考停止になっていたことに気付かされました。

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    2016年10月09日
  • 日本の愛国心 : 序説的考察

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    「愛国心について書くことは難しい」 ではじまる序論、西洋発のナショナリズム論では捉えきれない 「日本の愛国心」 という問題を、「日本の精神」という磁場において考察したものです。
    高度成長に入った時期から消えていった 「国家意識の喪失」 から説き始め、近代国家の論理を検証し、日本の愛国心の 「負い目」 に触れ、日本人の歴史観、歴史意識に辿り着く。議論は端緒についたばかり、『惰性的な状況判断』 など、私には理解できない言葉もあり、もう一度ゆっくり読み直してみたいです。
    まず、今日の日本における 「愛国心」 に関する議論を検討し、それを戦後日本のナショナリズムや愛国心という、より広いコンテキストにお

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    2016年02月25日
  • 日本という「価値」

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    今日の日本の閉塞感の根本には、戦後の平和と経済的繁栄のために受け入れた西洋近代文明の「限界」があり、今こそ「日本的価値観」が必要であると説く。小泉構造改革やIT革命に対する一方的評価には賛同しかねるが、文明論の切り口は納得感が高い。

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    2015年06月08日
  • 西田幾多郎―無私の思想と日本人―

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    西田哲学は、無の哲学と呼ばれている。彼の人生上の苦難や悲哀と無関係でない。キリスト教で言う絶対者は、仏教的には本質的には「無」となる。
    過去の思い出なくして我というものは、ない
    裏と表の社会 天武天皇が「日本書紀」(表)を編線させたときに同時に「古事記」(裏)も同時に編線された。裏である出雲の国譲りがなければヤマト王権による国の統一はなかった。
    我々日本人の中に敗北してゆくもの、西郷隆盛・源義経・後醍醐天皇・楠正成など、貶められた者への深い共感をもっている。一方で西洋の「勝つこと」を目指し、他方で時代に取り残された去るものへの愛着が抑えがたくある。
    「哲学は悲哀から始まる」自分の経験に発し経験

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    2015年05月25日
  • 西田幾多郎―無私の思想と日本人―

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    ネタバレ

    西田幾多郎の哲学入門書というより、それを下敷きにして、これからの大学教育が直面する問題について思考したエッセイという感じ。

    なので、このタイトルは、いささか内容とそぐわない。いささか期待はずれ。
    途中で読むのをやめた。

    国際力教育から大学の自治を守ろう、という意味あいで、西田や小林秀雄やらを引用したかったのだろうが。
    まず、この著者のようなただの西洋哲学の解説者でしかない学者たちが、学生に生きる為の哲学を教えなかったせいで、大学の意義が問われていることに向き合ってほしいものだ。

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    2015年04月25日
  • 西田幾多郎―無私の思想と日本人―

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    著者が西田幾多郎の言説を用いてエッセイを書き、各章を緩やかに連接した新書。西田を本格的に読む前に雰囲気を感じようと読み始めた。当初の目標どおり独特の言い回しや語句をごくわずかだが、知ることができた。佐伯が今日の大学に身を置く中で持つ問題を彼なりに解決し、スパイスとして西田を適宜引く。始終このリズムで進む。本書は西田幾多郎の入門的な本ではないが、本書の読者は、いつかその世界に踏み出そうとするだろう。

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    2015年02月24日
  • 反・幸福論

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    佐伯啓思、三冊目。

    段々、この人の文章に慣れてきた気がする。
    幸福とは、どんな状態を指すのか。また、それは追い求めるべきものなのか。
    この課題を捉える上で切り離せないのが、「死」という最期で、だからこそ生きている間をより良く在ろうとする人の切実な思いはよく分かる気がする。

    ともすれば、無縁社会を不幸な末路だと思いがちだけれど、古来日本人は進んで自らを縁から切り離そうとしてきたじゃないか、と触れる。

    無常の中で、生きることを見つめていくとき、そこには楽しさや嬉しさよりも先に、哀しさや畏れがあるのではないかと彼は述べる。

    今現在の私は、歴史上最も良い状況にあるわけではない。
    失われてしまっ

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    2014年12月14日
  • 西欧近代を問い直す 人間は進歩してきたのか

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    読み応えのあった一冊だったが、分かるのに言葉に出来ない(理解しきれていない)もどかしさが残る。
    この人、すごく文章書くのがスマートでいい。

    歴史が進歩するという発想そのものに、まず疑問符を付けてみる。
    それは果たして進歩なのか?自由の獲得と富の拡大は善で、規制や貧困は悪になるという二元論からのスタート。

    そこで近代社会の始まりを振り返る。
    市民の誕生と、一般意志による社会の成立。
    神がいなくなった社会で、個人は生きることの「確かさ」を失ってしまい、それが今の不安な時代を形作っている。

    分からないものの代わりとして、何か定まったものを求める科学至上主義への転換。
    その最中に私たちは生きてい

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    2014年11月30日
  • 「市民」とは誰か 戦後民主主義を問いなおす

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    西洋における「市民」という概念の歴史をたどることで、日本の戦後民主主義が理解する「市民」概念の歪みを明らかにした本です。

    戦後民主主義の中で、マルクス主義に基づく進歩史観が広く受け入れられ、「市民」という概念は共同体や国家からの解放された自由な主体を意味する言葉として受け止められてきました。そうした考え方は、私的な権利を主張し保護を要求する放埓な人びとを生み出してきました。

    しかし、西洋の歴史の中で「市民」という概念は、ギリシア時代のポリス以来の伝統を持っており、自分たちの共同社会を守るために戦う義務を負う者として考えられてきたと、著者は論じます。共同体を防衛することがみずからの生命や財産

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    2015年05月28日
  • 「欲望」と資本主義 終りなき拡張の論理

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    資本主義と、それを動かす動力である「欲望」について論じた本です。

    「市場経済」という観念とその基礎にある「自由」の観念は、個人主義や自由主義、デモクラシーといった西欧の価値観と深く結びついています。しかし、資本主義の中から現われ出た「産業主義」は、むしろ西欧の社会を支える骨格に対する挑戦とみなされると著者は言います。

    著者は、ヨーロッパに資本主義が生まれた歴史的経緯について考察をおこない、ヨーロッパの外にある文明への「欲望」が、資本主義を動かしてきたと論じています。しかし、資本主義の「外」が容易には見いだせなくなり、さらに大衆の顕示的消費さえもが魅力を薄めつつある現在、人びとは改めて、資本

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    2015年05月28日
  • 正義の偽装

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    世の中のふやけた正義の味方の皆さんを斬る本、かと勝手に想像していたら、そうでもなかった。民主主義という正義が本当に機能しているのか。そもそも民主主義はいいものなのか。そういう話。「民意」を「ミンイ」と書くことで、この本の言いたいことはかなり表せるのではないかと思う。「日本」を「ニッポン」と書くと急にわかったようなわからないようなナショナリズムが喚起されるのと同じだ。「専門家」への依存や不信も社会の不正義を助長しているが、そもそもexpertのpertとは、「小生意気な」とか「でしゃばり」、つまりexにpertするとは「外へ向かってしゃしゃりでる小生意気な者」だと。言われてみれば、本当にその腕や

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    2014年04月06日
  • 日本の宿命

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    グローバル競争の中で日本経済は大停滞から抜け出すことができず、仕事も不安定で、将来への見通しも立たない。誰もが殺伐としたものを感じている。大衆の不満や不安は、毒には毒をもって制する指導者、橋下氏を求めた。橋下現象を支えているのは薄く広く引き延ばされたルサンティマン。敵対者を悪者にしたてあげ大衆の不満の矛先と仕向ける。橋下氏を強引で自己中心的でとんでもないという人もいるが、残念ながら筋違い。我々が問題とすべきは橋下現象を生み出してしまうこの日本社会の現状そのもの。ネットなるものをほとんど見ない、橋下氏を全く知らないという著者が橋下現象の核心を突く。2章以降、総理の品格、独立論など、興味をそそるコ

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    2014年03月09日
  • 現代文明論講義 ――ニヒリズムをめぐる京大生との対話

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    現代はニーチェのニヒリズムに陥っている。
    生命をかけるほど大切なものはない。反面、平和な時代では生命の大切さは省みられない。

    憲法とは
    国防とは

    こんな事を考える材料を与えてくれる本。

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    2014年01月24日
  • 自由と民主主義をもうやめる

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    愛国心≠ナショナリズム
    国=国民or国家
    保守主義=伝統を大切にし、革新とのバランスを図ろうとする考え。


    戦後日本は戦前の価値観を否定し、日本の文化を軽視し、アメリカの文化を迎合してきた。
    アメリカに留学して学んだ経済はアメリカに適したものであって、異なる土壌である日本にそのまんま取り入れる事は誤り。
    日本の仕組みを全否定し、アメリカのやり方が正しいと盲信することは危険。
    日本の歴史、文化とは?

    筆者の「義」という考え方には疑問だけれど、こういうことについて考えるきっかけを与えてくれた。
    読んで良かった。

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    2014年01月24日
  • 「欲望」と資本主義 終りなき拡張の論理

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    ネタバレ

    資本主義とは何なのか?がこの本の主題。そしてこの本でいう資本主義は一般的な使い方と若干違うようなので注意が必要。市場経済とセットとは考えない。
     社会主義も市場経済は導入していたが競争がなく、失敗をチェックする仕組みがない。消費者が存在しないことが失敗の原因だという。
     資本主義は大きく分けてアジア等外側に欲望が向いていた産業革命周辺の時代、理想のアメリカ人像を求めた1880年代終盤から1900年代初期。欲望がメディア、広告によって人々の刹那的になり絶えず移り変わる現代(1980年代から1990年代)と分けられるとしている。すこし昔に書かれた本だが現代からを見てもまだまだ欲望に取りつかれていて

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    2013年11月16日
  • 経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ

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     本書は「経済書」なのだろうか、それとも「経済思想書」なのだろうか。本書を読んで、現在の世界と日本で起きている経済的事象の全体像がより鮮明になったように思えた。
     1990年代からの「失われた20年」については、マスコミでよく語られるが「構造改革」は小泉政権のみではなく、歴代の政権が常に声高に叫んでいた。そう考えれば、日本経済は相当「構造が改革」されているはずなのに一向にその成果が上がっていないと疑問に思っていたが、本書は「デフレに陥っている経済に対して新自由主義政策は明らかにマイナスに作用する。一層にデフレ圧力をかける」と喝破する。なるほど、説得力がある。
     「グローバル資本主義の危機」「変

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    2013年10月18日
  • 自由と民主主義をもうやめる

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    たまたま、この本と中島義道の「生きることも死ぬこともイヤな人のための本」を同時並行して読んでいたのだが、対極にあると思っていた二人の思想の根本が実はニヒリズムで繋がっているように感じた。どこか二人の対談でも企画してもらえないかな。ひとつ忠告するとすれば、どちらの本も普通に世間を生きている人には何の役にも立ちません。
    「なんかイヤなんだよねー」とか「世間ってウザイなぁ」と思っている人が読んで少し安心する、といった本ですね。

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    2013年05月28日
  • 反・幸福論

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    尊敬する思想家の書籍。尊敬していたが正しい。もう身体が右翼的な考え方を吸収しなくなってきている気がする。保守派卒業。これからは中道右派ってことで。

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    2013年05月28日
  • 日本の宿命

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    ネタバレ

    自分のことを棚に上げて書いてしまうけれども、佐伯さんはずるいと思う。

    そう感じてしまう理由として、佐伯さんの評論家的立ち位置である。とりあげるどの問題に対しても、結局最後まで解決策や道筋を示すことなく、それぞれの課題に個別に取り組んでいる政治家や専門家、学者、行政等の振る舞いを批評するスタンスをとっている。
     その都度、「その問題を論じること自体が目的ではない」と断りを入れて、「その背景にある○○が問題なのだ」というが、その「○○」に対する解決の道筋も示していないように思われる。
     とりあげる諸問題の裏には「日本の無脊椎化」がある、と言っているが、「無脊椎化」がどんな価値観の喪失によるものな

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    2013年03月25日