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Posted by ブクログ
佐伯啓思を数冊読んできたが、この一冊に様々なエッセンスが詰め込まれているように思う。
英語は手段であるのに、目的化された現代。
京大に勤める彼が、京大が第二の東大を目指した時点で破綻していると言えるのがすごい。
大学や教育が目指しているものは、もはや学問でないという部分から、西田幾多郎の哲学にゆっくりシフトチェンジしてゆく。
西洋の、現在に至るまで進歩し続けてきた価値観とは対比的な場所に、日本のものの見方は存在すると言う。
存在が無くなる、死ぬことを前提とした生の煌めきや愛おしさ。無常観。
それらを放棄することは、真のグローバリズムではないと説く。
世界が繋がり合う時だから、確固たる己を持て。潰されない目を私たちは持っているではないか、と鼓舞する佐伯啓思。かっこいい。
まずは足下を見よ。
何度も言われてきた言葉だが、改めてこの人の捉え方に惚れてしまう。
Posted by ブクログ
西田哲学は、無の哲学と呼ばれている。彼の人生上の苦難や悲哀と無関係でない。キリスト教で言う絶対者は、仏教的には本質的には「無」となる。
過去の思い出なくして我というものは、ない
裏と表の社会 天武天皇が「日本書紀」(表)を編線させたときに同時に「古事記」(裏)も同時に編線された。裏である出雲の国譲りがなければヤマト王権による国の統一はなかった。
我々日本人の中に敗北してゆくもの、西郷隆盛・源義経・後醍醐天皇・楠正成など、貶められた者への深い共感をもっている。一方で西洋の「勝つこと」を目指し、他方で時代に取り残された去るものへの愛着が抑えがたくある。
「哲学は悲哀から始まる」自分の経験に発し経験に戻ってくるべきもの
日本文化の核心とは、己を空しくし、無私や無我にたって事物に当たる精神。
「伝統」とは、ただ過去の保守ではなく、今ここでの世界性をもっていなくてはならない。「永遠の今の自己限定として物を創造し行くのが伝統である」
西洋の論理は、「物の論理」で日本の論理は「心の論理」だ。日本の論理は、主体を無化し、無化することで、歴史的現実へ実践的に参与する。日本文化の象徴は皇室である。
Posted by ブクログ
【2015_002】
およそ100年前の京都大学で独自の哲学を探究し、唯一の日本発の哲学を打ち立てた西田幾太郎。その文章の難解さで知られる「西田哲学」を、佐伯啓思がかみ砕いて解説する。といってもじゅうぶんに難しいのだが。
グローバリズムが喧伝されて日本独自の思想など旗色の悪くなってきた今だからこそ、西洋の哲学や倫理を知った上でのローカルな知性を守らなければならない。おそらくそんなつもりで筆者は西田哲学を読み返したのだろう。妻子を次々に亡くし深い悲しみの中で西田は決してニヒリズムに走らず、その虚無の中にこそ日本の精神があると考えた。「情」を持つことこそ日本文化の特性だと考え、その特殊性を守ることの重要さを説いた西田。グローバリズムのひとつの理想は民族や国民国家というものを解体して融合していくことにあると思われるが、本当にそんなことが可能なのか?またそうなった方がいいのか?ということはいちどきちんと議論するべきであり、「好むと好まざるを問わず、時代は既にそう動いているのだから」グローバリズムを推進する、というのは知性的なふるまいではない。いちど立ち止まって考える勇気を持たねばならない。
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