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「自由に倦んだ」時代に問う、渾身の論考! 自己責任や援助交際、殺人を巡る議論など、自由にまつわる問題に様々な角度から切り込み、現代社会・思想が陥っている「自由のジレンマ」を乗り越える方法を探る。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
「欲望と資本主義」以来、久々に佐伯先生の著書を読みました。 日本で起こった事件等を契機にして、自由の定義、あり方、課題等について論じています。 が、切り口の鋭さが相変わらずで、本当に素晴らしいです。 ここまで広げた議論をどうやって畳むのか、途中心配になりましたが、見事に帰結させます。 その技術も...続きを読む素晴らしいですが、何よりも深い洞察力、果てしなく広い知見に脱帽です。 いまの世界、いまの日本を理解するためにもう少し哲学の世界に浸りたいと思いました。
自由にまつわるジレンマから説き起こし「個人の自由」について相対化した見方を提示した本。 自由と一口にいってもいろいろある。 ・自然権として自由と国家の存在を前提とした市民の自由 ・共和国を前提とした普遍的自由と多文化社会を前提とした多元的自由 そもそも自由というのが自由な言葉なので、XXの自由と...続きを読むいえば、様々なところで互いに対立が起きるのは当然なのだが、問題は、自由という名のもとに、自由が抱えている規範がおそろかになってしまうということだ。 ・・・・ と最後まで読んで、自由が個人の選択の自由であることを認めたうえで、実は、その背後に価値の問題を二層想定することがポイントであるいうのが斬新であった。一つは、「共同体としての善」によって個人の選択が評価されるということ。もう一つは、共同体を超えて、さらに「義」とでもよぶほかない価値に自ら殉じるという次元があるということ。この二つが導入されることで、リベラリズムだけでは、納得感のある答えにたどり着けない問いに答えることができる。テロ、援助交際、無差別殺人、さらには、自殺する自由。自由が規範とセットであるなど初めからわかっていたような気がするし、それは、結局こうした基本条件のもとに何をするか、ということが大事だと思えば、当たり前のことなのだが、いつのまにか、手段の目的化が進んでいるというのは、皮肉な話だ。
リベラリズムの立場をわかりやすく整理した上で、現在、私たちが自由に倦怠している理由を探ろうとする。全体主義への反省から自由な状況で、何を目的として生きるのかを議論できない状況が、かえって自由の意義を見えにくいものにしているという論旨。本筋とは違うけど、ハイエクやフリードマン、ロールズ、アマルティアセ...続きを読むン、ドゥオーキンの立場の説明がわかりやすかった。
執筆のきっかけを「(現代で掲げられる『自由』に対し、)あまりに違和感や不気味な感じを持たざるを得なかった」とし、その違和感の根源を「自由」への議論を通じて探った本。佐伯啓思2冊目。 冒頭、現代では人類共通の目標のように掲げられる「自由」に対して、イラク戦争を「フセイン政権からの解放(自由化/民主化...続きを読む)」とし正当化したアメリカを持ち出すことで疑問を提示する。 そこからリベラリズムの根幹である、何事も個人の自由を侵害すべきではないとする思想に対し、背景を探っていく。 君主による抑圧の時代において、自由は「抑圧からの解放」を目的とし推進されてきた。 概ね抑圧は去った現代でも、万人が理解しうるその背景を掲げたまま「自由」は推進され続けている。 目的を達するための手段であった「自由」は、いつの間にか目的になった。 ここに違和感の根源を指摘する。 自由主義の旗本において主観性を排除した市場競争は正当化されるが、しかしどんな政策であれ「誰が報酬を享受すべきか(『善』であるか?)」という道徳的判断が背景にあり、自由主義はその事実から目を背けていると批判する。 自由を唱えても、社会から是とする承認からは逃れられないだと。 自由は目的があって初めて論じられる概念で、目的として掲げてしまうと方向性を失った虚構となってしまう。 現代に跋扈する民主主義至上やフェミニズムは、この罠に陥っているのだろう。 その事実から目を背けるのは、欺瞞である。 「神は死んだ」と絶対的な存在を否定し、世界は人による仮構としたニヒリズムに陥ることは嘆かわしいことではない、しかし「自らがニヒリズムの世界に生きていることを自覚せず、自らの正義の絶対性を疑わない独善」は最悪のニヒリズムだと批判する。 軽率な「自由」の持つ違和感はまさにこれだろう。 批判はこの辺で、では自由に生きるには?という問いに対しては、どう存在するにせよ共同体に属することを自覚すること、その上で自分の成すべきこと(天命)を見つけること。 縛りがあって初めて輝きを持つ「自由」は、共同体の中でこと活きるとする。儒教の仁義と同じような思想。 個人の感想として、現代においては、国家よりも厳格ではなく小規模な共同体の「ポリス」を重要視し、ポリスの構成員として「善い」ことをすることを是としたアリストテレスの思想に立ち戻るのがいいのではないかと思った。 次は数ヶ月塩漬けにしてる「ニコマコス倫理学」を読もう…
あとがきで、佐伯啓思氏ご自身が「本書で、うねうねとあぜ道を歩くかのように論じことを、もう少し体系的に論じたいと思うけれど…」と書いているように、読者の一人としては、自問自答の軌跡を歩かされた疲労感が半端ない 佐伯啓思氏は、あぜ道と言っていますが、一人の読者としての感想としては(実際には残りのペ...続きを読むージ数が少なくなっているのに)体感的には、いつまでたっても頂上に近づいていないように見える登山のようでした(ワインディングロードという意味です)。 …しかし、マイケル・J・サンデル教授の<正義>とは何か?という問いと同じように、答えのない(コンテキストによって変化せざるを得ない)課題に果敢に挑み、導き出した(現時点での)結論に向かって読者を誘うガイドとしての役割を果たしている。頂から見下ろす景色は、雲に阻まれ鮮明とは言えないけれども、達成感はありました。 私が持っている数少ない政治哲学関係の本であるマイケル・J・サンデル教授関連の本を再読します。
バーリンによる積極的自由の排除という考え方に感銘を受けた。リベラリズムの4つの立場、すなわち1.市場中心主義=フリードマン、ハイエク≒リバタリアニズム 2.能力主義=プロ倫、ノージック 3.福祉主義=ロールズ 4.是正主義≒アフォーマティブアクション なる区分が先鋭というよりも理解の足がかりとして秀...続きを読む逸。白眉は第6章で、「自由」という観念にまつわる一種の胡散臭さや、矛盾をも抽出し、「義」や「価値」にまでの広げた論考は感動的ですらある。
現代社会では自由が殊更に叫ばれながら、自由に対する渇望感がまったくない、というジレンマから論理が展開する。著者はリベラリズムに反対する訳ではないと言うが、明らかにリベラリズムに対する不信感が見て取れる。 曰く、リベラリズムは自由を『個人の選択や趣向』に矮小化してしまうが、自由は本質的に社会的な問...続きを読む題である。自由は必然的に価値判断を伴うが、その価値は共同体に認められるものでなければならない。この説明で何故援助交際が非倫理的なのかが納得できた。『倫理的』の判断が時代や国によって違うことも。 自由を題材に、啓蒙主義、功利主義、カント、バーリンなどの近代哲学を系統だって解説した好著。
とてもよかった。 実は1年前に読んでよくわからないという感想であったのだが、今ゆっくり読んでみるととても良いと感じた。 当時見られた身近なニュースをとりあげて、自由とは何か、また自由は何を前提として語られるものなのかを説明している。その上で著者なりのあるべき姿、とるべき態度(私の理解ではあいまいで...続きを読むあるが)をゆるく主張している。 過去の哲学者の考え方をしばしば持ち出しており、興味深い考察も多い。 一読の価値がある一冊。難しいと思うので相手を選ぶが、胸を張って他人に勧められる。
▼私たちが求めている「自由」とは何か。いざ考えてみると内容もハッキリとしない。 ▼それは「正義」とも関わりの深い概念なのかもしれない。だが、正しさは個々人の価値観からは自由になれない。そしてそれは相対的で、つまり、「悪」との境界線は限りなくあやふやである(そして、誰もが、その自覚の有無に関わらず「悪...続きを読む」を内包しているのだろう)。 ▼相対的に全てが「正しく」自由だとすると、つまり、絶対的な「善」が登場してしまう。それこそ、ウェーバーの言う「神々の闘い」の状態であり、ハンチントンの「文明の衝突」さえ具現化されてしまいかねないだろう。 ▼「自由」であること――そこから生じる「責任」とは、死者への「責任」である。私たちは偶然性の中で生きているのだ。自らの「死」までの時間をいかに生きるべきかを考える「自由」、そこには、偶然生まれた社会共同体のため、考え、中庸を選び取り続ける「責任」があるのかもしれない。
卒制のテーマを絞ることができたきっかけの本。 現在のリベラリズムは自由を手段ではなく目的としてしまっている。これが、自由に対して私たちが希望を持てない理由だ。
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