Posted by ブクログ
2013年06月30日
現在の日本の抱える問題を「精神の無脊椎症」と批判し、日本は自らが立つ拠りどころ、揺るぎない考え方を得る必要があると主張する。
現象として批判されるものが「アメリカ化」や「政治のポピュリズム」。
なぜ、そのような状況に陥ったのか、黒船来航から遡り検証する。
ひとつの解として明治維新に植民地化を避け、「...続きを読む一国独立」を志した際の志士たちの精神構造を振り返る。福澤諭吉も登場。
政治家としてあるべき姿を論じる箇所では、現代の政治家であればトニーブレアを思い浮かべた。
以下引用~
・ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」、、、ショックによって社会を活性化しようというのです。
・最初に政治学という学問を生み出したプラトンがもっとも警戒したのが民主政治だったということは改めて注意しておいてよいことでしょう。政治学は民主政治への警戒から始まったといっても過言ではありません。
・政治とは、私見では、三つの重要な要素をもっています。
第一に、国や社会の長期的なあり方を国民に提示する。そして、そのための方策をある程度実現する。
第二に、緊急事態など何か大きな事態が生じた時に、決定的に重要な決断をする。
そして第三に、今日の民主政治は多様な利害のからみあいですから、多様な利害を調整する。
それぞれ『構想の政治』、『決断の政治』、『調整の政治』といってよいでしょうが、今日の政治家に求められるのはこの三つの能力です。そしてもうひとつ付け加えれば、以上のことを国民に訴え、説得する能力です。
・少なくとも、戦後、われわれが「世界」といった時に「世界」とは何かというと、実は「アメリカ」なのです。「世界標準」とはアメリカの示したルールなのです。
・すでに、「開国」への強力なバイアスがかかってしまうのです。ではそのバイアスを生み出したものは何か。それはいうまでもなく明治の「開国」でしょう。
・「一身独立」しなければ「一国独立」もありえない。そのためには人は「報国心」をもって自分の「国」を引き受け、各人が「おのおのその国人たるの分」を果たすことが肝要だ、というのです。
・福沢がもっともきらったものは安直な便宜主義であり、簡単に「利」につく性癖であり、義を失っても恥じない奴隷根性でした。
(痩我慢)