荒木飛呂彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前著『荒木飛呂彦の漫画術』に続く第二弾。
本書を執筆した理由を荒木先生はこう述べている。前作を読んだ人が漫画家になったとして、それでも道に迷ってしまうことがある。そのときのために前作よりももっと深く書くべきではないか。
漫画には「こう書かなければならない」というルールはない。ただセオリーはある。もちろん自由に漫画を描く権利はあるのだから、あえて王道から逸れ我が漫画道を行くのも良し。しかし進むべき道を忘れ王道への戻り方もわからなくなったとき、備えとしての地図があったほうがいい。それが前作であり今作である。
『荒木飛呂彦の漫画術』や『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』は、荒木先生が漫画家生活を通じて蓄積し裏付けされた経験知と知識を、自身の作品を通じて伝授するためのものだ。そして今作は前作を補完するものと言っていいだろう。
前作では良い漫画を描くための土台が紹介されている。今回はそれの発展形で、良い漫画を描くためには「悪役」と「融合」が重要なファクターとなる。
悪役というのは言わば主人公の行手を阻む困難であり乗り換える壁である。現実世界においても、大なり小なり、トラブルはつきものだ。だからこそ悪役をいかに作り込み登場させるのかによって作品をよりいっそう深いものにできるのかが決まる。
融合はすなわち一つの世界だ。漫画を描くにあたっては、「キャラクター」「世界観」「テーマ」ストーリー」の4つが重要になるが、それぞれが独立していては読者の目を引く作品にはならない。この世界の全てはあまねく調和が取れている。漫画に対しても同様の原則を当てはめるべきで、たとえば『ドラえもん』のような世界に『ONE PIECE』のキャラを登場させるべきではない。それはフレンチに茶碗いっぱいの白米を出すようなものであり、「混ぜるなキケン!」と書かれた洗剤をあえて混ぜるようなものだ。
どんな作品であってもそこに登場するものは全て同じ性質を有している必要がある。「融合」と言うべきか「統一」と言うべきか、釣り合いの取れた舞台を用意することが漫画には欠かせない。
本書は悪役すなわち敵がテーマであるが、漫画家における「敵」とは何なのか。それは「自分の軸を捨ててしまうこと」だ。
漫画家になれば思ったように自作が売れない時期もあるだろう。そのとき「世間ではこういうのが流行ってるから」「担当編集者がこうアドバイスくれるから」と、ウケを狙いたくなる。しかしこれでは調和の取れた「世界観」を描けなくなる。つまり、世間の流行を取り入れて漫画を書けば、当初に設定した「世界観」から逸脱し「なんだかよくわからない漫画」になってしまうのだ。
誘惑に負けることなく自分の軸をしっかりと持つことが大切だ。
さて、本書は悪役の作り方がメインテーマだ。しかし別の読み方もできる。それは「漫画の構造」だ。
本書を読めば漫画という媒体がどのように設計されているのかが大方把握できる。むろん漫画すべてに共通するわけではないが、少なくとも荒木先生の作品は本書に従って読むことができるだろう。そしてこの場合、読者は作品を一段と深く味わうことができる。
たとえば、荒木先生の人気作のひとつ『岸辺露伴は動かない』だ。
主人公・露伴は、売れっ子漫画家であり、旺盛な好奇心を持っている。「ヘブンズドア」という特殊な能力を持っていて、人を「読む」ことができる。露伴はその好奇心で色々な事件と出会い、時には「ヘブンズドア」で解決し、それを漫画を描くための材料へ昇華していく。
そんな岸辺露伴の敵は一体なにか。
それは、担当編集者の泉鏡香だ。
漫画家目線であればたしかに泉鏡香が「敵」であることに納得できる。たとえば彼女は露伴の原稿にうっかりコーヒーをこぼしそうになる。膨大な労力を割いて書き上げた原稿にコーヒーをこぼすような編集者は、なるほど確かに「敵」でしかない。このシーンはさらりと描かれており、よくよく注意して読まなければ岸辺露伴vs泉鏡香の構図を見落としてしまいかねない。
また、彼女はトラブルメーカーとしての役割も果たす。
作品を読めばわかるが、岸辺露伴は好奇心旺盛だからといって何でもかんでもやるわけではない。たしかに過剰な好奇心が見て取れるシーンもある(懺悔室にて、撮影禁止なのに人の目を盗んで撮影してしまうところ)が、一定の節度は守って行動している。
しかしこれでは「ストーリー」が生まれない。かといって露伴が無茶苦茶な行為をすれば、露伴のキャラにブレが生じ、読み手は「露伴がそんなことするかな」と世界に入り込めなくなる。ようは露伴が浮いてしまうのだ。
そこで泉鏡香だ。たとえば「富豪村」のエピソードでは、彼女が持ちかけた提案で露伴は禁足地とされる富豪村へ行くことになる。そこではマナーが過度に重んじられ、一つのマナー違反につき一つの代償を払う。こうして露伴はトラブルに巻き込まれるのだが、この一件はそもそも泉鏡香が元凶である。
このように漫画は登場人物との関わりによってストーリーが「自然」と生まれていくのだ。そして本書を読めばこうしたストーリーを構造的に読み解くことができる。作者の視点に立って読むことができるのだ。
つまり、『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』は描き手に対してはもちろん、読み手に対しても、漫画を読む上でとても重要な手がかりを授けてくれるだろう。
本作は、荒木飛呂彦先生はじめ、多くの漫画家の心を「読む」ことができる「ヘブンズドア」である。 -
Posted by ブクログ
連載で全部読んでるんだけど、ようやく1冊にまとまった。
「ホットサマー・マーサ」
露伴先生が犬を飼うとか意外すぎる。
犬種が鈴美ちゃんの飼ってたアーノルドと一緒なのかな。レトリバー系。
表の露伴も別に善ではないが、裏露伴は本当に出しちゃいけなさそうだよな。
久しぶりに露伴先生の自業自得系の話。
「ドリッピング画法」
そんなに鬱やろかと思ってしまった。
荒木先生は『サイコ』と書いてたけど、『激突!』かと思った。『激突!』は3部でほぼまんまやってたけど。
「ブルスケッタ」
つい先日ウルジャンに載ったばかりだけど。
ハワイの別荘での話。昨年泥棒に入られたって言ってる辺りランズの話しの1年後なのかもしれない。
ジョジョ名物覚悟決まりすぎた子どもが出てくる。 -
Posted by ブクログ
連載で全部読んでるんだけど、ようやく1冊にまとまった。
「ホットサマー・マーサ」
露伴先生が犬を飼うとか意外すぎる。
犬種が鈴美ちゃんの飼ってたアーノルドと一緒なのかな。レトリバー系。
表の露伴も別に善ではないが、裏露伴は本当に出しちゃいけなさそうだよな。
久しぶりに露伴先生の自業自得系の話。
「ドリッピング画法」
そんなに鬱やろかと思ってしまった。
荒木先生は『サイコ』と書いてたけど、『激突!』かと思った。『激突!』は3部でほぼまんまやってたけど。
「ブルスケッタ」
つい先日ウルジャンに載ったばかりだけど。
ハワイの別荘での話。昨年泥棒に入られたって言ってる辺りランズの話しの1年後なのかもしれない。
ジョジョ名物覚悟決まりすぎた子どもが出てくる。 -
Posted by ブクログ
荒木飛呂彦先生のマンガ術ハウツー本。一番印象に残ったのは絵の「リアル化」と「シンボル化」の所。◯が三つでミッキーマウスが代表的なシンボル化のデザイン・絵。荒木先生がリアルとシンボルの水と油を描く漫画家として絶賛したのが私も大好きな鳥山明先生、緻密なリアルな絵を描きつつもシンボル化した絵も混在出来る高度なテクニック、デザイン力は本当に凄いですよね!リアルとシンボルの流れは鳥山先生の流れだそうです。世界観に関してはAKIRAの大友克洋先生、あの世界観は後の漫画家に大きな影響を与えました。大友先生も大好き。常に物語りに+の要素を入れる為に編み出されたのが、トーナメント制だそう。戦闘力のインフレ化は、マーベル含め避けられない展開。飽きさせないクリエイター陣には感謝ですね。
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Posted by ブクログ
70〜80年代の中南米が舞台。謎の異能群をめぐるクライムサスペンス。
貧困や暴力に喘ぐ青年たちの成長譚と、人生の黄昏を迎える専門家の2つの視点を楽しめる。
某有名作品のスピンオフだが、単体でも楽しめる作りになっている。独特のスペイン語のルビには、チェ・ゲバラの旅行日記「モーターサイクル・ダイアリーズ」を思い出した。しっかり中南米の空気に浸れるよい演出だと思う。
そして、リサリサの能力が強すぎる。他の異能もどれも魅力的で、タイトルに相応しい内容だ。
ラストにウォークマンから流れる曲が粋!ベン.E.キングの「“スタンド”・バイ・ミー」。これにはファンは泣かざるを得ない。