堂場瞬一のレビュー一覧
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事件を追う警察小説には不適切な表現かもしれないけれど、堂場さんの物語はいつも安心して読める。
ひとつずつ丁寧に積み重ねられていく事実。
どの人物の描写もしっかりと描かれていて、物語の中に入り込んでいきやすかった。
真実を暴くことがいつも正しいとは限らない。
もちろん基本的には法律によって裁かれるべきだろうし、そうでなくては社会の秩序は守られないだろう。
けれど、もしかしたら別の罪の償い方があってもいいのかもしれない・・・そんなふうにも思える物語だった。
「沈黙の檻」、これ以上にこの物語にあう題名があるだろうか。
自由のようでいて自由ではない。
目には見えないけれども、確かに自分を囲んでいる檻 -
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警察小説のシリーズのはずなのだけれど、男女の逃避行に物語のほとんどが費やされている。
善悪の区別はつくけれど、何が悪いのかはわからない。
自分が生きるために、自分が思うように進んでいくために、何の逡巡もなく人を殺すことができる。
殺人という、人として高いハードルを越えることに対するためらいはない。
日向とはそんな男だ。
だが、日向をさらに上回る人間もいる。
日向にとって他人は踏み台でしかない。
ときには恭順の意を示しても、それはけっして本心からではない。
嘘も方便と言うけれど、自分以外の人間を信じない日向にとって重要なのは「利用できるか、できないか」。
それがすべてのはずだった。
真菜は日向の -
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シリーズ第8弾。シリーズで初めて、知能犯と言われる捜査二課の手伝いに駆り出される大友。今回は結婚詐欺グループの一員とされる女性に、正体を知られずに接触するのが目的。「女性は苦手」と何かと自称する大友。犯人グループである美智留の正体に今一つ近づけない。犯人グループの検挙を急ぐ、大友や捜査二課をあざ笑うかのように、主犯格の男性が殺害され、事件は一気に動いていく…今回は合間に同期の女性刑事・高畑の様子がおかしいことも伏線として描かれる。中盤まで、全く見えない犯人像に、高畑の件も含めて、どうまとめるのか、先の展開が気になったが、まさかの結末!この作品の1つ前ぐらいに追跡捜査係とのコラボ作があったが、今
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コラボ作品だと聞いて期待して読み始めたのだが、多少リンクする場面もある・・・といった程度だった。
何となく肩透かしをくらった気分だ。
大友と一人息子・優斗との関係も、優斗の成長にしたがい徐々に変化してきている。
少しずつだが自分の世界を持ち始めている優斗。
相変わらず子離れができない大友。
しかし、今回の事件を通して、大友は刑事としての本来の自分を取り戻していく。
これまではやや強制されて捜査に参加していた姿勢が、自ら望んで捜査に取り組んでいく描写が何度かあった。
本格的に復帰するのも近いのでは?と期待したくなる。
そして、これも相変わらずだけれど女性記者が本当にイラッとする。
ここまで強烈な -
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シリーズ第1弾だからなのか、澤村の抱える過去のトラウマが何度も意味ありげに登場する。
いまだに過去に縛られ、「完璧な刑事」として生きることを目的にした澤村の心情が描かれている場面も多いが、いまひとつ響いてこなかった。
ただ、構成や展開は面白かった。
徐々に真犯人へと近づいていく澤村の行動がわかりやすく、無駄なく描かれている。
プロファイリング担当の橋詰のキャラクターもいい。
プロファイルを理解しようとしない澤村と、理解させる気もない橋詰。
ふたりの会話は噛み合わず、互いに自分の言いたいことだけを伝え、自分の聞きたいことだけを聞こうとしていて奇妙な面白さがあった。
早々に犯人はわかってしまうけれ -
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ネタバレ地方の支局から本社に転勤してきたばかりの長妻は、やり手キャップの市川と組んで「集団自殺」事件を追うことになる。
他社に抜かれることは、記者にとっては負けを意味する。
たびたび他社に抜かれた長妻は、焦りもあって取り返しのつかないミスをおかしてしまう。
取材相手について十分な調査をしたはずだった。
裏をしっかりと取ったうえで記事につもりだったが、内容は事実とは大きく違っていた。
いわゆる「虚報」である。
自殺をキーワードに、報道の最前線で働く新聞記者たちの生き様を描いている。
法の専門家である上山は、何故自殺を肯定するようなサイトを開いたのか。
その謎が、彼の持論である「人には死を選ぶ権利がある」 -
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大学時代の大友の姿が多く登場する「アナザーフェイス」シリーズ3作目。
学生時代に芝居をやっていたことは知っていたけれど、まさか4度も舞台を踏んでいたとは。
しかも、中には主要キャストとも呼べるような配役まであり、けっこう本格的にやっていたんだなと驚いた。
劇団という特殊な集団の中で起きる軋轢。
誰もが小さな国を作り王様になりたがる・・・なるほどなと、妙に納得した言葉だった。
「夢厳社」の王となった笹倉は、けっして反逆を許さず徹底した服従を望んだ。
芝居に関しては、誰の助言も聞かずに劇団を思い通りに動かそうとして殺された笹倉。
「役者馬鹿」という言葉もあるが、笹倉も「芝居馬鹿」だったのだろう。
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犯罪被害者支援課とは、文字通り犯罪の被害を受けた人たちを支えサポートするための課だ。
対象となるのは事件によって被害を受けた当事者だけではない。
事件によって大切な家族を失った遺族もまた、支援課の支援対象となる。
堂場さんには数多くのシリーズがある。
大きく分ければ警察小説とスポーツ小説になるのだろう。
どちらのジャンルにも大好きなシリーズがある。
けれど、この支援課シリーズにはいまひとつ乗り切れない。
物語は何度も何度も被害者たちに寄り添うことが大切だと語りかけてくる。
でも、その一方で村野は実地体験を通して後輩の支援員たちを育てようとする。
任せても大丈夫だという信頼感があってこそのことだ