倉山満のレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
マスコミに騙されないために
一部ご紹介します。
・嘘に騙されなくなるには、公開情報を読み解く癖をつけることだ。
・カレンダーを見れば、社会のことが見えてくる。
・地政学を理解するには次の用語を覚える必要がある。
①関係国:主体性のある国
②大国、列強:その国の言うことを聞かないと話がまとまらない国。
③覇権国:列強中最強の国。現在はアメリカ
④挑戦国:列強の中で覇権を奪おうとしている国。かつてはソ連。現在は中国。
⑤争点
・どちらにつくのか、どちらにもつかないのか(中立)。それは、地理的条件や勢力均衡次第。
国々の関係は固定的なものではなく、争点により変化する。
・東アジア・太平洋地域における大国:アメリカ、中国、ロシア
日本は今のままでは関係国ですらない。軍事力をまともに運用できないからだ。
・アメリカ、日本、台湾、東南アジア諸国、EU諸国 V S中国、北朝鮮、ロシア
・同盟は永遠ではない。しかし、同盟を裏切り、昨日までの敵と組むということは、よほどのことだ。
商売でも、昨日までのお得意さんを切り捨てライバルと組むなど、大変なこと。国と国の関係なら尚更である。
・敵味方を区別するために大事なこと。
①損得勘定。地政学。
②「人を殺してはいけない」という価値観が通じるか否か
・国際社会において日頃の付き合いは全てカモフラージュ。敵と味方はいざというときにわかる。
いざというときの行動が大事。それがきちんとできなければ、普段の付き合いなど何の意味もない。
・孫氏の兵法、「戦わずして勝つ」
卑怯な手でも何でも使って、できる限り楽して勝とうということ。
同一文化内での抗争(古代中国の戦国時代など)では有効だが、異文化の相手には通用しない。だから、中国は戦争に弱い。
・隣国同士は必ず敵対する。それ故、「隣国の隣国」が重要となる。
外交の基本は遠交近攻だからだ。「隣国の隣国」の情勢を見て、隣国の動きを予測すること。
隣国が敵対行動をおこすときは、二正面作戦をしなくて済むと向こうが思った時だ。
・あらゆるデフレは悪である。「働いたら負け」という価値観が蔓延するからだ。
個人は質素倹約や節約をしてもいい。だが、国家は節約してはならない。増税は景気を破壊する。 -
Posted by ブクログ
そもそも戦争とはなんぞや。
ヨーロッパの当て所もない宗教戦争がどのように文明的な戦争となったのか。
文明とはなんぞや。
そうしてそもそも、日本国は文明国であって、維新後も速やかに西欧文明社会で優等生となった。
それを根底から壊したのは米国である。
総力戦とは、総力をぶつける戦いではなく、相手の総力を潰す戦いであって、本来これを否定して来たのに、元に戻しやがった。
総力戦は戦闘行為が終了してからが重要であり、日本の敗戦状態、歴史上の位置づけはその結果、又は過程のことであって、であるなら、これを覆すには、新たな「戦争」を決意するしかない。
こんなところか。
どうすんだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第一章:人殺しに囲まれた国、日本
防衛費が他国よりも低いこと(対GDP比1%未満)が最初の驚きで、憲法の条文や解釈以前の考え方が問題であること、自衛隊の立ち位置、軍隊と警察の違いなど、自身の知見のなさを感じる。
やはり、「知識より意識」の派生で、条文の文言や解釈以上に自衛隊をどのような組織にするのかという意志力の欠如がこの事態に繋がってるのだと思う。
第二章:先人たちは、どのように祖国を守ってきたのか
まず、幕末の大久保利通や大村益次郎の考え方に心を打たれた。本気で国のことを想い、行動し続ける。決して容易ではないはずです。分母意識の高さが行動力を生むのだと思う。何かできることはないかを探し続けることは大切だとここでも感じる。
そして、特攻隊に関して、侵略戦争史観か聖戦史観かの考え方は、教養として非常に重要だと感じる。
本書でいう右上こそ正義とは言えませんが、少なくとも下に属するような安直な考え方は避けねばならない。
第三章:危機にある皇室、日本が無くなる!
「先例、男系、直系」の三原則は、今までなんとなくは知っているようなおぼろげな知識だったが、明確に学ぶことができた。
具体的な歴史の例は正直難しい部分ばかりだったが、悠仁さまの例に関しては一国民として理解すべき部分。もう少し読み返して、せめてその部分は理解できるようにする。賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶという言葉も何度か耳にしたが、歴史に学ぶ重要性を改めて感じました。
第四章:たかが経済、されど経済、まずは経済
最も興味を持って読み進めることができた。やはり、「知識より意識」。
経済の基礎を改めて勉強する中で、本書は非常にわかりやすかったが、その理由を考えたとき、
「風が吹けば桶屋が儲かる」の流れが鮮やかだからだと感じた。
特に金融緩和など金融論に関する範囲は私の弱点だが、マインドの考え方含め、難しくない内容になっていました。こうなるとこうなる、さらにこうなって…という説明方法がこんなにもわかりやすいのだという発見があった。
第五章:日本を守りたければ政治のことを知ろう
派閥による政策の流れはセンシティブな部分もあったが、今後の政治に関する流れを考える大切な知識を学ぶことができた。
なぜこの人がこのような主張をするのか、今国会では議論されているのかを考えることは、先見性を養うためにも重要な力だと感じる。
今まではうわべの議論で「そんなことがあったのか」を感じるだけだったが、これからは「ということはこうなるのでは」という、いわばカゼオケの発揮を目指す。
こうなるとこうなる、さらにこうなって…という説明方法が
こんなにもわかりやすいのだという発見がありました。 -
Posted by ブクログ
私は世界史の授業を高校二年生で受けましたので今から40年ほど前になります。高校二年になると受験科目を決めていて、理系を志望していた私は世界史は範疇に入っていませんでしたので、別の科目の勉強をしていました。とはいうものの歴史好きの私は、先生の授業の耳だけは機能していたのかもしれません。
中でも印象に残ったのは、ドイツのハイパーインフレの時の倍率を、ゼロをいくつも書いて示したことと、この本のタイトルである「ウェストファリア条約」のことでした。先生は確か、この条約により世界が変わった、もしくは近代になった重要な条約であると説明されていました。
それ以来、頭の隅に残っていた私は、今まで何冊も楽しく読ませていただいている倉山氏のこの本を見つけた時には思わず本屋さんのレジに並んでいました。分厚い新書で情報満載、令和2年の2月初めから、在宅勤務の始まる二月末にかけて、通勤電車で楽しみながら読みました。
以下は気になったポイントです。
・ネーデルランデンはドイツ地方にありながら、スペイン・ハプスブルク家の所領であった、北部が独立をめざし、単数形で「ネーデルラント」を名乗った。1588年に事実上独立し、1648年ウェストファリア条約が締結されたときに正式に独立する、オランダ連邦講和国である。南部は所領としてそのまま残り、1815年にオランダに併合、そしてベルギーとして独立するのは1831年である(p28)
・本家オーストリア・ハプスブルク家が皇帝を世襲していたが、羽振りは分家のスペイン・ハプスブルク家のほうが、新大陸に植民地をもち、ポルトガルも併合して羽振りが良かった(p30)
・欧州で戦争が日常なのは、宗教問題で争っているから、これにカネが絡むので命がけの殺し合いになる。1517年、マルチンルターが宗教改革を始めてローマ教皇に喧嘩をうる、そしてルターと支持者たちは、カトリックに対してプロテスタント(抗議するもの)と名乗るようになる(p31)
・カトリックを信仰したのは、スペイン・ポルトガル・フランス・ベルギー・ルクセンブルク・イタリア・ドイツ南部・オーストリア・ポーランド・エストニア、プロテスタントは、スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・スロバキア・チェコ・ドイツ北部・スイス・オランダ(p32)
・ルターはバチカンに対して預定説を突き付けたが、途中からあまり言わなくなった、それを批判したのが、ジャン・カルヴァンであり、これがプロテスタントにおける、ルター派・カルヴァン派の違い(p40)
・当時の外交官は、現代の野球やサッカー選手と似ている、国籍に関係なくチームに所属する、外交官と軍人は国籍に関係ない職業であった、外交官になれるのは軍人のなかの優秀な人のみ(p51)
・ユダヤ教は民族宗教(ユダヤ教を信じる人だけがユダヤ人であり、そうでない人はユダヤ人でない)であったが、イエスが改革して人類宗教にしてしまった。「すべての人間を愛しなさい」が教えであり、近代以前では、愛せない・仲良くできない人間は人間ではない、ということになる(p61)
・東ローマ帝国は別名「ギリシア帝国」と呼ばれる、首都をコンスタンティノープルに移してローマ教会の影響力を排除した、皇帝自身がキリスト教世界の首長であると宣言し、これがギリシア正教会(東方正教会)の始まりである、ローマのほうでは教皇が皇帝よりも威張っていた、皇帝は後に「神聖ローマ皇帝」と呼ばれるようになる。(p66)
・宗教改革の先駆けは、イングランドのオックスフォード大学神学教授、ジョン・ウィクリフである。彼は1376年頃から、ローマカトリック教会のやり方を批判し、ラテン語で書かれていた聖書の英語訳もやった、彼の死後30年を経て、1414年にバチカンから異端とされる、異端認定してから13年後に彼の墓が暴かれ遺体が火あぶりにされた(p66)
・ウィクリフ、フスに続いてローマカトリックに講義したのが、ドイツのマルチンルターである、これ以降、抵抗する人たちはプロテスタントと呼ばれた(p68)
・カトリックは、金で解決できると考える悪徳宗教だが穏健である、一方のプロテスタントは「人間に自由意志はない」と考える宗教原理主義者である(p70)
・カルヴァン派はスイスに始まり、金持ちのオランダにも広がり、そのままアメリカ大陸に渡り、合衆国をつくってしまった。これらの国々は金融大国という特徴がある。世俗で金儲けして成功したのは、神に救われた証拠と考える(p77)
・カトリックでは労働はアダムが神様からリンゴを盗んだ罰である、なのでラテンのカトリックの国(フランス、イタリア、スペイン等)に勤勉を美徳とする文化はない(p78)
・神聖ローマ皇帝の傭兵隊長ヴァレンシュタインが凄かったのは、掠奪と進撃速度の問題を画期的なやり方(徴税)で解決した、徴税して給料として配るので掠奪はするな、とした(p100)
・ロシアは最初から大国ではない、30年戦争当時は、ポーランドやスウェーデンのほうが大国であった(p102)
・最精鋭部隊を決戦局面まで温存するのが戦いの定跡である、ストッパーを最終回まで温存するようなもの、戦争ではこうした兵力のことを戦略予備という。戦場で勝てるかどうかは、戦略予備の使い方にかかっているといっても過言ではない(p111)
・ラテン語は貴族の言語で帰属間では共通語であるが、普段自分たちが話す言語を使用したい人がいて、スウェーデンをはじめとするプロテスタントはドイツ語、フランス等のカトリックは、ラテン語・フランス語・イタリア語であった、1919年ヴェルサイユ会議で英語にとってかわられるまで、フランス語が主流となっていく(p114)
・ウェストファリア条約の要諦は、宗教的寛容である、要するに負けたカトリックのハプスブルク帝国に「異端認定して殺すのはやめよう」ということ。さらに領民が君主と異なる宗教を選んでよい、という信仰の自由を認めた、これが世俗主義であり政教分離である。以前の考え方は、自分と違うことを考えているかもしれない者は、殺さなければならない、が常識であった(p118,120)
・ウェストファリア体制が主権国家体制であると強調されるのは、国家に教皇や皇帝のような上位の存在がいなくなり、それぞれの国が対等であるとの建前が成立するから(p122)
・政教分離とは、政治と教団の分離である。世俗権力のほうが教会戦力よりも上になっていく過程が近代国家ができる過程である、早い国はイングランドで1689年権利の章典、遅い国はフランスで、第三共和政で1905年に政教分離法が公布された。日本は聖徳太子で解決している、ローマ教皇がおとなしくなるのは、1929年のバチカン市国の建国でもって、公式にウェストファリア体制を受け入れた、つまり自分たちも他の国と同格とした(p125)
・日本の戦国時代には宗教勢力の争いはあった、延暦寺・法華宗・石山本願寺は三つ巴で殺し合いをした、欧州の30年戦争等と比べたら少ない。日本には天皇という調停者がいたので(p162)
・グロティウスはどういう理由で戦争を始めるかを説明し、目的を明確にせよと主張した。目的が明確であれば、その目的が達せられた時点で「戦争」をやめられるが目的のない戦争は「戦争」ではない(p167)
・トルコが攻めてきたら欧州は結束するのが常である、ハンガリーをトルコから奪い返して1699年にカルロヴィッツ条約を結んで戦いが終わる、これ以降有色人種が白人に勝ったのは三百年(日露戦争まで)ない、欧州のルールが世界の法になっていく端緒である、イギリスからロシアまでのキリスト教国の法律であり、欧州以外の異教徒・有色人種には適用されない(p190,197)
・総力戦の萌芽はアメリカの南北戦争である、リンカーンが奴隷解放を公約に大統領に当選したのに、南部諸州がアメリカ連合国を結成して連邦離脱して戦ったのが南北戦争である。アメリカ合衆国(北部)は、アメリカ連合国を抹殺した(p206)
・1905年のポーツマス条約は、キリスト教国以外の国が「ウェストファリア体制」を対等に受け入れた瞬間であった、日本は1911年の不平等条約撤廃で対等となり、1919年のヴェルサイユ会議で正式に大国として認知される、その結果1907年から大英帝国以下列国が日本と大使を交換(大使館を設置)した(p213,214)
・ウェストファリア体制とは、1)心の中では何を考えて良い、2)人を殺してはならない、3)お互いの存在をみとめあおう(p280)
2020年4月12日作成 -
Posted by ブクログ
国際法と地政学。
双方の視点が欠けている上に、危機意識もない。
アクターではなくてシアターだという一言はかなり強烈だ。
二代超大国であった米ソが、国際法を理解できない国と、判っていて破る国だったこと、ダブスタのウィルソン主義と共産主義という、やべえ宗教戦争じみた話だったこと、米が味方と敵を見誤る天才であったこと。
色んなことが絡み合って、近代より野蛮になった現代。
米国から派遣が失われた瞬間に、日本は破滅するよね。
そうならないようにするにはどうするかという、この瀬戸際にあっても、そんな声が上がらない。
いや、上がろうとすると潰される。
確かに、日本は、すでに国ではなくなったかもしれない。