あらすじ
なぜ近代日本は、天皇を必要としたか? 大帝と影法師の感動の物語。19世紀は「皇帝たちの時代」だった。19世紀初頭のナポレオン戦争以降、世界各国に次々と皇帝が生まれ、覇権争いに興じたが、第一次世界大戦が終わる1918年前後までの100年で、ほとんどの「皇帝」が消え去り。そして今や「Emperor」は日本にしか残っていない。なぜ、日本の天皇だけが残ったのか。その秘密を解くことで、近代日本の成功の「真実」が見えてくる。明治天皇、大英帝国のヴィクトリア女王、ハプスブルク帝国のフランツ・ヨーゼフ1世、ドイツ帝国のヴィルヘルム2世、ロシア帝国のニコライ2世、大清帝国の西太后の6人の同時代史比較から読み解く、壮大な世界史。「明治天皇の同時代、多くの皇帝がいた。しかし、今の世界で皇帝(Emperor)とされるのは、日本の天皇だけである。清、ロシア、オーストリア、ドイツなど多くの君主国が消え去り、かの大英帝国からも「Emperor」はいなくなった。しかし、日本だけは残った。その秘密を解き明かすことが、日本の近代とは、そして明治とは何であったのかを解き明かすことだろう」(「まえがき」より) 【目次】●まえがき:なぜ今、明治天皇なのか ●序章:皇帝たちの時代――興亡史としての「長い十九世紀」 ●第一章:明治天皇誕生――幕末維新の世界史的状況 ●第二章:めざすは立憲政体――文明国への道 ●第三章:絶妙なる日清・日露戦争――躍進する日本 ●第四章:大国になった日本――そして明治天皇崩御 ●終章:理想の立憲君主――明治大帝と他の皇帝を分けたもの ●あとがき:なぜ近代日本に天皇が必要なのか
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Posted by ブクログ
明治政府が世界を睨み生き延びるため死にもの狂いだった19世紀を6人の皇帝の視点から紐解く
全体を見守り戴いたのは明治大帝であり、安穏と生きている(=ボーッと生きてんじゃネーヨ!)わが身にすれば恥ずかしくて消え入りたい
19世紀を理解するにはコレを読め!
Posted by ブクログ
皇帝親政をとった国は全て滅びた。立憲君主たる、英国と日本国だけが、生き延びた。
それにしても。
天皇を戴いた歴史、わけても、明治大帝と昭和天皇、加えらば上皇陛下を抱いた日本人は幸いなのだ。
だからそれを壊そうとする輩がいる。
それが、相当程度実現しようとしてる。
次世代を、ぼくらは守ることが出来るのか。
泣くなあ、倉山先生。
Posted by ブクログ
「19世紀世界」を歴史物語のように読み易くわかりやすく描いた本である。
日露戦争直前のニコライ二世の対応など、歴史的には事実ではない史観もいくつか見受けられるが、それらを上回る面白さに満ちている。
まるで「19世紀世界」を鳥瞰するかの様な思いを抱かせてくれる書である。
日英同盟すらヨーロッパでの抗争のハレーションである構図などは、なかなか他の歴史書では読むことができない。
読者によっては「独断と偏見に満ちている」との意見も出るかもしれないが、「六人の皇帝たちの十九世紀」との切り口からの世界観は秀逸とも思えた。