序章p21にある、
“ロシア語には「安全」という語はないと聞く。あるのは「無危険」だけだという。”
というのは本当の話なんだろうか?
さすがに、お国柄ジョークだろーと思うんだけど!?(^^;
でも、ロシアじゃあり得るのかもなぁーと思ってしまうのは、やっぱり今回(2022年3月)のロシアの蛮行があるからだろう。
ずいぶん前に買って積読だったこの本を急に読んでみようと思ったのも、その蛮行があったからだ。
自分が子どもの頃は、親戚等に戦争(第二次大戦)に行った人、あるいは敵機から面白半分の機銃掃射を受けたと言っていた人が、まだ結構いた。
子供だったこともあって、詳しいことを聞いたわけではなかったが。ただ、たぶんそれらのことはアメリカとの戦争での話だったように思う。
でも、それらの人が一様に言っていたのが、「ソ連だけは信用するな」だった。
その後、90年代初めにソ連は無くなり、ロシアになって。
ここ10年くらいは日本とロシアの間に平和条約を結ぼうなんて話がよく聞かれていたわけだが、あの蛮行であらためて思った。
戦争に行った人や戦争の被害に遭った人が言っていた、「ソ連(ロシア)だけは信用するな」というのは、今でも本当のことなんだなと。
それは、ウクライナから避難してきた人たちにポーランド等東欧の人たち手厚い支援をしているのを見ても言えると思う。
東欧の国々の人たちは第二次大戦後、ソ連(ロシア)によって酷い目に遭ってきたからこそ、ウクライナから避難してきた人たちの苦難が全然他人事じゃないんだろう。
というか、全然他人事じゃないというのは、ロシアと国境を接している我々日本も同じだ。
そういえば、自分が子どもの頃は冷戦真っ只中だったから、子供ながらに漠然とまたソ連と戦争になって。自分も戦争に行くことになるんだろうなぁーと思っていた記憶がある。
そんなウクライナでの状況をTV等で見つつ読み始めたこの本だが、第一章は中世までの世界史のざっとしたおさらいで、正直面白くなかった。
でも、第二章になってからは俄然面白い。
第一章の中世までの世界史をざっくりとぶっちゃけたその感じが、第二章ではむしろいいのだ。
ざっくりだから、風が吹いて桶屋が儲かる的な、その時代の流れが大まかに俯瞰できるし。
また、ぶっちゃけだから、今の世界の常識的(つまり、欧米や戦勝国にとって都合のいいタテマエやキレイゴトとしての戦争反対)ではない、私たち日本/人にとってそれがどういうことだったのか見えてくる。
また、断片的に知っていたことが繋がることで、そこにどういう意味があるのか/あったのかを示唆してくれているように思う。
ぶちゃけついでにさらにぶっちゃけちゃうとw、絶対王政下だからこそ戦争に合理性を求めるようになって、宗教戦争や無意味な虐殺をなくそうという方向にいったのに。
その後、植民地争奪や覇権争い等お金儲けがからんでくることで、戦争に大義(正義)が必要になって。さらにフランス革命やロシア革命でのしあがった庶民が理想や理念の名の元に意見の違う人たちを「反革命」と決めつけ、短絡的に殺戮しまくるようになっていった。
その流れに染まるのを恐れた国々は、元首が自らの権力を守ろうとして国民の支持得ようと虐殺を復活させる。
そんな自らの国に国民は熱狂。
その熱狂が、空襲等による都市殲滅、そして原爆へとつながっていく。
その流れ(戦争ということの変遷)がなんとなーーーく見えてくる。
そこはすごくよかったと思う。
もっとも、上記は本当にぶちゃけだからw
世界史に詳しい人に「いやいや。そういう単純なことじゃないんだって…」と怒られちゃうのかもしれないけどね(^^;
ただまぁとっかかりとしては、そんなざっくりした流れでもいいんじゃないのかなぁーと思うんだけどなw
とはいえ、もっと詳しいことは今後の課題(^^)/
というか、(日本人だけが知らない本当の)世界史を200ページちょいでわかるわけはないので、これを読んだだけで訳知り顔になるのは確かに危険だろう(^^;
とはいえ、世界史というのは、世界の歴史と言うだけあって、国によって世界史の常識は違うわけだ。
お行儀のよいタテマエで書かれた世界史は確かにスタンダードなんだろうけど、でもそれは80年近く前の戦勝国にとって都合のいい歴史でしかないのも確かだろう。
極端なこと言えば、今の国連の常任理事国である、「80年近く前の戦勝5か国」って、本当に戦争に勝った国なのか?って話だ(^^ゞ
ま、アメリカはわかる。
でも、フランスはドイツに占領されたわけだし、イギリスだってアメリカが参戦しなかったらどうなっていたかはわからない。
終戦時戦勝国として名を連ねたのは、現中国の中華人民共和国ではなく、現台湾の中華民国だし。
そもそも、その当時にロシアなんて国はなかった(^^ゞ
そんなことを言いたくもなるのは、今回のロシアの蛮行は元より、ミャンマーの政変や10年続くシリアの内戦等々に国連は全くなす術がないからだ。
そのことは、ウクライナのゼレンスキー大統領も言っていたし。
先週TBSの番組で、ミャンマーの若い女性がネットを介してのインタビューで「ウクライナは世界中が支援してくれるのに、わたしたちの国は誰も助けてくれない」と言っていたのは本当に胸が痛かった。
80年近くも前の戦争に勝ったと自称する5か国が「常任理事国」だろうとなんだろうと、それらの出来事で酷い目にあっている人や国をちゃんと救って問題を解決出来るならそれでいいのだ。
でも、起きている現実の数々はそうではない。
なら、もういい加減、80年近くも前の戦争に勝ったと自称する5か国がなんで「常任理事国」って威張ってんの?という声をあげなきゃダメだ (^^ゞ
あと、この本を読んでいて、いろんな国がしたり顔で唱える「過去の歴史認識」って、心底クダラナイなぁーとつくづく思った(爆)
以前、某国の元首が言っていた「千年忘れない」を聞いた時、「えっ、元寇で元の兵隊として攻めてきたのって、まだ1000年経ってないけど。それって、文句言わなきゃダメだったの!?」と、笑ってしまったことがあったが(^^ゞ
このロシアの蛮行にしても、(大っぴらには言ってないが)旧ソ連の威光みたいのが底にありそうだし。
そういば、この本にも出ていたけど、中華帝国が「化外の地」と言ってきた台湾を、歴史的に自分の国の領土だと言うのは無理がある。
なんでも明帝国の勢力範囲を中国領だと言ってるみたいだけど、だとしたらその明帝国が築いた万里の長城より北側は歴史的には領土外になるわけだ。
ていうか、歴史云々言ったら、モンゴルが中国を領有してもいいことになるし、アメリカは今すぐ先住民に返さなきゃダメなことになる(^^;
ていうか、「国譲りの神話」によればヤマトは出雲から国を譲られた(奪った?)ことになっているのだから、日本は島根県に遷都しなきゃならなくなる(爆)
ていうか、そもそも人類って、オルドバイ渓谷以外に住んじゃダメなんじゃないか?(^^ゞ
ヒトラーがやったことの多くは絶対悪いことだ。
でも、P194にあるように、“ナチスの悪魔化は戦勝国によって都合のよい歴史観”というのは確かだし。
それに続くP195の“必ず「日本の非道と残虐行為」について言及するのが欧米の学術書の暗黙の掟”も確かだろう。
なぜなら、“ナチスの悪魔化”は、戦勝国、“特にヨーロッパ人にとっては、自らが封印した暗黒面そのもの”(P195)、つまり、中世のヨーロッパで当たり前のように行われていた国(?)による殺戮や強奪を時代を経て、今度は植民地(世界中)で行ってきた歴史を、「ナチスこそが悪魔」だと自分たちが被害者面することで、「なかったこと」にしてしまったのだから(^^ゞ
その他、P174にある、“アメリカ人は自らが騙したプロパガンダに自己陶酔する悪癖がある”とか(爆)
そんな風に、ぶっちゃけだからいろいろ見えてくるんだけど。
ただ、「こういう時」こそ、ぶっちゃけでわかりやすい意見は注意しなきゃならないだろうし。
また、今の日本は、金儲けのために他者にすり寄ることを言ってきたり、共感してきたりする人や会社が多いから。
他者の意見に接して、それが自分の考えを代弁してくれていると感じたら、自分の考えに近いからこそ「これは変だ」と疑わなきゃだろう(^^;
★を一つ減らしたのはそういう理由。