あらすじ
私はなぜウッドロー・ウィルソンを呪うのか? 自由主義・民主主義・国際主義による政治体制の変革を自国の使命と考える「ウィルソン主義」の提唱者――。学界の多数説が載る教科書は、第28代アメリカ大統領を「偉人」として記す。だが、平和の伝道師のごとく語られる人物の正体は、「大悪魔」であった。「神の恩寵のしるしが現われはじめた」弁論部員時代からメキシコ、ハイチなど弱い者いじめを重ねた大統領一期目、無理難題を突き付けてドイツ、イギリスをキレさせた第一次世界大戦。従来の国際秩序を全否定し、思うように世界を改変しようとした十四カ条の平和原則。全世界を不幸に陥れたパリ講和会議。自らを神と一体化させ、地球上に災いを呼んだ男の狂気が次々と明らかになる。日本と日本人の悪口は書くが、外国と外国人の否定的評価は「実証的ではない」として回避するわが国の政治外交史研究の「似非実証主義」に、倉山満氏が真正面から立ち向かう。
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Posted by ブクログ
平和の使徒、救世主かのように描かれているウッドロー・ウィルソン大統領が、フロイトが分析するように実は精神疾患であり、狂人であった。その軸は、自らを救世主と認じ、その実現手段として大統領を演じていたという論旨。
具体的には、第一次世界大戦後、世界随一の影響力を持ったアメリカの国力を背景に急進的理想主義が推し進められた結果、ソ連は生き残り、民族自決でオスマン・ハプスブルク帝国は崩壊して、その後の紛争は今日まで続き、英仏日帝国内でも反乱が起き、ドイツを圧迫し過ぎて第二次大戦の種を残したという意味でも、ウィルソン大統領は世界にとっての惨禍だったという結論。
本当に狂人だったのか。実際に当時のベルサイユ会議の参加者も気付いていた。フランス首相のクレマンソーは、当時、「彼は、人間を改革するために地上に降り立った第二のイエス・キリストのつもりでいる。」と指摘している。著者曰く、ベルサイユ会議もキリストであることの証明のための場であったと。
実際に、部下を信じず一人で会議に出て掻き回し、倒れて代理のハウス氏が出るとまとまり始める始末。
ウィルソン大統領については、最初に歴史で習った時になんだか胡散臭い奴で、変な思想を世界に押しつけて、足元では否決され、結果として日本に利するところなく、最悪と感じていたが、反日だったのはともかくとして、軸が狂っていたというのは今まで知らなかった視点で非常に面白かった。
Posted by ブクログ
笑いながら読める(^^)
あまりにもウィルソンのマヌケっぷりが笑える。
合間合間に入る著者の倉山氏のツッコミも笑える。
いや、笑えるってことは普通は冗談が面白いとか有り得ない話しとかで笑うのが普通だが、これが本当の話しなんだから、それだけに笑った後に戦慄を覚える。
フロイトがウィルソンの精神状態を研究材料にしたのも分かる。
今に繋がる全世界の紛争地域の殆どがこのウィルソンが作った。
日本の敗戦後、あれほど共産主義が世界を覆ったのはコイツのせいか。
あれほどの大量虐殺が吹き荒れたのもコイツのせいか。
現在もサヨクらが絶賛活動中だがすべてコイツのせいだったのか。
自分をキリストだと信じた男、まったくとんでもないことをしてくれたもんだ。
サブタイトルの「全世界を不幸にした大悪魔」とは大袈裟な形容詞ではなかった。
暗澹たる気持ちになったが、しかし本書の中で無能で外交に無為無策な日本の上層部に代わって国益の為に奔走してくれた外交官の石井菊次郎の活躍が紹介されているのが救い。
陸奥宗光や小村寿太郎、そしてこの石井菊次郎は認知されるべきだと思うが、倉山氏曰く日本の外交史家はどうも日本のために活躍した外交官が嫌いらしい。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに 私はなぜウッドロー・ウイルソンを呪うのか
第1章ウイルソン小伝‐悪魔はいかに生まれたか
第2章大統領1期目は弱いものいじめに明け暮れる
第3章第1次世界大戦‐まだ参戦していないのに振り回す
第4章14か条の平和原則‐かくして人類は地獄に落とされた
第5章パリ講和会議とその後‐なぜ全世界が不幸になったか
終章ウイルソンを称える人たち
おわりに
ウッドロー・ウイルソン(1856-1924)
米第28代大統領2期(1913/3-1921/3)民主党
世界中に迷惑をかけた、反日の、晩年発狂した人物。
英、仏、日に喧嘩を売り、独を破壊した。
ハプスブルク家を分断した。
オスマントルコを抹殺した。
レーニンを生かした。
自分のやっていることを本当に理解していたのか?
目先の自分の利益に対してのみ、
外交を行っていなかったか?
世界の秩序が壊れ、紛争が激化し、共産主義が世界に
ばらまかれた。
Posted by ブクログ
憲政史家・倉山満がかねてから毛嫌いしているウッドロー・ウィルソンについて書いた一冊。
時代性なのかと思う部分もある反面、彼の行動で世界がバラバラになり、今日まで至る紛争の原因を招いたということがよくわかった。