あらすじ
国際法を理解しているのか怪しい、アメリカ。国際法を理解したうえで破る、ロシア。そもそも法を理解できない、中国。そもそも人の道を理解できない、北朝鮮。そうした国々が核兵器を手に激しく火花を散らす中、日本は右往左往するばかり。にもかかわらず、日本人の多くが、第二次世界大戦前よりも、戦後のほうが人類は進歩し、文明的になったと考えているのではなかろうか? だが、第二次世界大戦後、国連をつくり戦争をなくそうとした世界で、嫌というほど、残虐な殺戮が続いてきたことは、少し考えればわかることだ。東西冷戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中国の暴虐、中東の動乱……。実は、「人類史は進歩している」と考えるのは大間違い。冷戦と革命と地域紛争と虐殺に明け暮れた戦後期は、むしろ「野蛮に退化した時代」だったのである。なぜか。それは文明のルールだった「国際法」をアメリカとソ連(ロシア)が破壊してしまったからだ。戦争根絶、民族自決、共産主義などの理想が、いかに残虐な世界を作ったか。日本は、残虐になってしまったこの世界で、いかに生きていけばいいのか。国際法を切り口として現代史を見ていくと、その大きな流れと各国の思惑が驚くほどによくわかる! 戦後から現代までの世界情勢の謎と闇を一刀両断に解明する斬新な現代史。 【目次より】●第1章 「文明の近代」はなぜ野蛮化したのか ●第2章 戦後日本の「諸問題の根源」を国際法で解く ●第3章 国際法を理解できない者VS理解して破る者の「仁義なき冷戦」 ●第4章 キューバ危機・ベトナム戦争・文化大革命 ●第5章 冷戦が終結し、世界はさらに野蛮になった ●終章 あらためて、なぜいま国際法を学ばねばならないか
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Posted by ブクログ
「戦争は、この世で最も悲惨な出来事であるー本当だろうか。」
我々が幼い頃から学んだ歴史や、日々のメディアから無理に納得し、思い込んでいたものに疑問を抱く良いきっかけとなった気がします。
それも胡散臭い内容で、ではありません。
歴史の事実と仁義(国際法)を片手に、本書は歴史を辿ります。
すると次第に、これまで不思議だったことが腑に落ちてきて、なんとも読み心地の良い一冊でした。
Posted by ブクログ
倉山氏の簡潔明瞭でストレートな解説と事実確認は、スッと入ってきますね。近代史を正しく理解し、近隣諸国の歴史や特徴をつかむことが、海洋国家「日本」の取り組むべき方向を決定できることと感じられます。
少なくとも現状ままでは、危ない!
Posted by ブクログ
倉山満は現代人に必要な事実・知識を、幾度も繰り返し、同じ事柄も常に現代抱える問題を例示しながら伝える。言論人として、自分の考えを布教するわけでもなく、自分で考える力を身に着けさせるために・・・。なぜなら、無知が日本を無間地獄に落としたため、また、さらなる国難が迫っているから
Posted by ブクログ
国際法と地政学。
双方の視点が欠けている上に、危機意識もない。
アクターではなくてシアターだという一言はかなり強烈だ。
二代超大国であった米ソが、国際法を理解できない国と、判っていて破る国だったこと、ダブスタのウィルソン主義と共産主義という、やべえ宗教戦争じみた話だったこと、米が味方と敵を見誤る天才であったこと。
色んなことが絡み合って、近代より野蛮になった現代。
米国から派遣が失われた瞬間に、日本は破滅するよね。
そうならないようにするにはどうするかという、この瀬戸際にあっても、そんな声が上がらない。
いや、上がろうとすると潰される。
確かに、日本は、すでに国ではなくなったかもしれない。