安西水丸のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
表紙のシンプルさに、ガツーン!
海苔弁のシンプルさをダイレクトに伝えているわけだが、私のような素人が描こうとしたら、欲張って、どうにかして断面を見せようとか思ってしまうんだろうな…
もちろん、平松洋子さんの食のエッセイなのだが、1編ごとに安西水丸氏のイラストが載っており、それは文章との絶妙の相性を見せている。
一方、平松さんの文章の方といえば、この人の食べ物の描写はどこまで高みを目指すのだろうと驚く。
あらゆる食材を描いて、(いろいろ読ませていただきましたが)かぶらない。
そして、美味しさの描写もかぶらない。
たとえば、さんまの描写、『ぎらりと光る蒼い刀が並ぶ』
たしかに秋の刀の魚とは書くが、新鮮さがぴちぴちと伝わる。
とんかつの衣を剥がして食べるダイエット中らしき女性の行為…『全裸のとんかつ』と、脱ぎ捨てられた衣の積み上がる様…これにそえた安西氏のイラストがまた…!
グリンピースなどの超脇役、ちょっと乗っけるだけの使い道しかない(しかも子供たちには割と嫌われている)それも話のネタに。
そして、「とん」と「ぶた」の呼び方についても疑問が解けた気がするし、「ニッキ」は「シナモン」の、日本の昭和の呼び方だと思っていたら、違う植物だったこともはじめて知った。
知識とネタの宝庫だ。
美味しい物の描写がすばらしいのと対をなして、「ドリアン」の描写がものすごい!
本から悪臭がわき上がる気がした。
ドリアンとアルコールが合わないのは、何か成分がケンカするアレルギー症状を起こすのかと思ったら、発酵が急激に進んで(特にビールなどと合わせると)ガスが大量発生するんですって!
胃が爆発しますよ、すごいこと聞いた(読んだ)
そして…美味しくも不味くも無い残念なものも、1点だけ書かれている。
この、ぼんやり残念感…
そんなものも律儀に取り上げているのが、もう神である。 -
Posted by ブクログ
相変わらず平松洋子のエッセイは美味しい。しかも、このエッセイ集にはユーモアと蘊蓄もたっぷり詰まっている。安西水丸のイラストと共に綴られた食のエッセイ83編と文庫版のあとがきにかえて、平松洋子と安西水丸の対談を収録。
どのエッセイも絶品なのだが、最も関心したのは『かまぼこ板の美学』冒頭の“ちくわは穴を食べるものだと思う。”という一文。何と哲学的で深い視点であろう。
また、『奥州のぬか釜ごはん』で、岩手県奥州市の『農家レストランまだ来すた』が紹介されているのも嬉しい。平松洋子も胆沢区の絶品天日干しの新米の羽釜炊き御飯を味わったかと思わずニヤリ。次のエッセイ『ピーマンうどん』も同じ奥州市が舞台なのだが、ピーマンまんじゅうを誉めているのに、ピーマンうどんは…というのは残念。
表題作の『ひさしぶりの海苔弁』からの『きょうも海苔弁』、そして止めの『おさしまいにー海苔弁の味』の3つのエッセイも面白い。