安西水丸のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
村上春樹さんはホントのように嘘のお話を書くのが上手い方だなぁ、ということをしみじみ感じ入りました。マイ・スニーカーストーリーなどは「えええ!?嘘でしょ?でもホントかな?」と突っこみながら読んでいたらやはり嘘だったので大笑い。ユーモアの中に知的センスと哲学がさりげなく含まれていて、誰かがそう簡単に真似できるような類のものではないとおもいます。安西水丸さんのイラストにも同じことが言えますね。真似できそうで出来ない、親近感をもたせながらどこかきわめている。そんな感じ。忘れかけていた遠い日の夢を呼び覚ましてくれる、大人のポエム、大人のメルヘン集ともいえる本だと思いました。
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Posted by ブクログ
最初のページを見たときに「え」と思った。
普通の文章ばっかりの本を想像していたら、本当にびっくりしてしまう。
安西水丸さんのイラスト、イラスト、イラスト。
それも子供の頃に垣間見た、50年代〜60年代の「アメリカ」を連想する様な、しゃれていて、それでいて片意地の張らないイラスト。
(でも書かれているアイテムは、森永のキャラメルだったりするんだけど)
村上春樹のショートショート(エッセイというよりなんかこういう感じがするなぁ)も、一遍一遍、レイアウトや文字のフォントやポイントが変わっていて、そのショートショートそれぞれの内容も全部関連ないし。
そして、安西さんのイラストとの関係も、「関係ない?」と思って見てると‥「いや、そうでもないかもしれない‥」と勘ぐってしまう程度に関わっていそうで、「読む」というより「見る」という感覚に溢れた一冊でした(村上の作品を読んで、イラストを描いたのかどうかは、巻末の対談で判明します♪)。
うん。楽しかった。
個人的にはこれは「文庫」の体裁より「書籍」の体裁のものが見たかったな〜などと思ったけど、残念ながらワタシが「村上春樹」を認知した時には、文庫のものしか手短な書店にはなかったのでした。
でもきっとこの本の書籍版は、おしゃれで、でも手にした人が構えずに楽しめそうな本じゃなかろうか。 と想像してみたくなったりして。
そういえば一カ所、面白くて思わず声を上げて笑ってしまった所があったんだけど、ラストの落ちを見て、残念だーと思ってしまった。本当だったら、ものすごくすてきでかわいいエピソードだったのにな。そのエピソードが、この世界のどこかで本当に存在していたら、こんなにすてきな事はないと思ったのだ。それくらいかわいかったな〜(ワタシの中では)。
でも、ワタシの中ではそう思っていよう(笑)。 -
Posted by ブクログ
○単行本:1983年12月
○文庫本:1986年12月
○分類:「素敵な絵と文書」の本
○私の偏見的感想
・安西さん、村上さんの名コンビが世に放った記念すべき第一作。
・あと書きによれば、画集を出すのがいやと言う画家と、エッセイ(随筆)を出すのが恥ずかしくていやと言う作家が、誰かと一緒だったら、相乗りだったらと思って出来上がった、引っ込み思案なお二人だからこその作品。
・安西さんのイラストは、雑な様で実は緻密で、相変わらず良い味出てますよね。(うふふ)
・村上さんの文書はエッセイと言うより、小品集という感じでまとまっています。(ご本人は否定するでしょうが、個人的には非常に朗読向きな文書なので、敢えて詩集と呼びたい所です)
○おまけ
実は今回の文庫本、古本屋で手に入れたのですが、なんと安西さんの自筆サイン入りでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み返してみると、本当に内容を覚えていない。各エッセイのタイトルを読み返してみても、どのような内容であったかを思い出すことができない。それ程までに、意味づけのプロセスを経ていない著者の日々の考え事が、そのまま提示されている作品であるとも言える。ただその中でも、以下に幾つか引用しているように、印象に残る文章はある。それは何故かを振り返ると、著者の中で考え事の中にもその洗練度或いはかけた時間に濃淡があるからであり(例えば、仕事への取組み方や仕事の境界に対する意見は、現時点の著者に通じる部分がある)、特に考えが濃く出ている部分に惹きつけられるためではなかろうかと思う。その濃淡も含めて人間らしい。若いうちは幾つもの薄い関心事が頭の中を駆け巡るが、それが次第にこぼれ落ちていき、限定された但し洗練された考え事に仕上がっていく時、それがその人のスタイルと呼ぶものになるのかもしれない。
特に印象に残った箇所は以下
・しかし長期にわたって努力や集中力を維持するにはどうしても体力が必要だし、努力や集中力を維持することによって才能を増殖させていくことは不可能事ではない。だから「一に健康、二に才能」なのである(p.81)
・要するに何から何までうまくやってのけることなんて自分にはとてもできないし、何かをなしとげるにはべつの何かを捨てるしかないのだと認識することである(p.213)
・でもひとつだけ例をあげる。それは「作家は批評を批評してはならない」ということである。少なくとも個別の批評なり批評家なりを批評してはならない。そんなことをしても無意味だし、無益なトラブルに巻きこまれるだけだし、自らが卑しくなるだけである。僕はずっとそんな風に考えて生きてきたし、そのおかげで自らをすり減らせる機会をずいぶんうまくパスしてくることができた(中略)作家は小説を書くーこれは仕事だ。批評家はそれについて批評を書くーこれも仕事だ。そして一日が終わる。それぞれの立場の人間がそれぞれの仕事を終えて家に帰り、家族と食事をし(あるいは一人で食事をし)、そして眠る。それが世界というものである(p.216)