山極寿一のレビュー一覧
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本書を読んで考えたことは大きく2つ。
「研究(フィールドワーク)というものの人間臭さ半端ない」と「今だからこそ大事な体温が伝わる人との付き合い方」。
本書の著者が京大での学びやゴリラの研究のために行ったフィールドワークで気づいた対人力・対話力について、京大(京都)の性質や自身のフィールドワークの経験を引き合いに説明をしてくれます。ロジカルや効率、などの考え方が当たり前のように語られる今だからこそ、このような一見非効率な力は価値があるのだと、自信を持たせてくれます。商社経験者は絶対共感できることが満載です。今後AIの躍進により、論理的な能力は人間に求められなくなると思いますが、人間の営みは結局人間によって行われ、非合理・非効率な人間をうまく調整していく力や努力は今後さらに貴重なものになっていくと信じます。 -
Posted by ブクログ
霊長類学者の山極寿一さんが、『僕には鳥の言葉がわかる』の鈴木俊貴さんと対話形式で知見を語り合う贅沢な内容でおもしろかった。
論文で発表されたことではない2人の推測の話がわりと多かったけど、興味深くそうなのかもと思えた。
【おもしろいなと思った説】
・人間は直立二足歩行により移動が可能になり、その場にないものを表現する必要性から言葉の進化に繋がった。
・手が自由に使えることで、ジェスチャーやダンスや音楽で他者に共感する力につながった。
・駅前の木に集まっている鳥の群れが騒がしく鳴いている理由は、同調と一体化。
・人間には言葉があるからこそ、まとめたり、細分化したり、類推したりストーリー化する能力がある。 -
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『動物が、僕たち人間が思っている以上に賢かったり、複雑なコミュニケーションをとっていても全然不思議じゃない。』
それまでは動物の鳴き声は音として耳に入っていましたが、人間と同じようにコミュニケーションをとっているなんて
ゴリラのマイケルのエピソードはすごい!!
先に『僕には鳥の言葉がわかる』を読んでしまっていたので、シジュウカラの話は知っていましたが、山極さんの霊長類のいろいろな実験の話もとてもおもしろかったです。
『心の理論を持っているのはチンパンジー、ゴリラ、オランウータン、そしてヒト』『スカフォールディング』など
『戦争は、言葉が暴走してしまった例の一つだと思います』
人間社会にも釘を刺す
シジュウカラとゴリラの大好きな二人が、動物言語について熱く語り合う。
自分が興味あることを二人がどんどん語り続けていく、わくわくするような対談でした -
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ネタバレ
著者のお二方が研究などに基づいて、動物の行動に込められているであろう意味とか言語の起源などを論じていく部分が非常に面白かった。
それを通して見えてくるものの一つに、言語はコミュニケーション手段の一部でしかないということがある。つまり、身体性に関連する言語を超えたものが確かにあり、言語では言い表せないということ。
それなのに人間は言語を重視しすぎているとの問題提起。他にもこんな感じの主張が出てきている。
それらは以下のようなパターンの類型として理解できるなぁと思った。
すなわち、要素還元主義vs全体主義の議論。その内容としては、「人間は対象をより細かい要素に還元して考えることが可能で、効果的なのだが、全体で初めて意味を成すものがあり、そこから刃物で要素を切り出したときに不可逆的な意味の損失が起こってしまうことがあり、それに気づかないと痛い目をみる」というもの。
この本では、
その全体が人間の生存から出てくるもの全てで、
刃物が、言語、ひいてはアルゴリズムで、
損失が、踊りに潜む身体性、ひいては言語にも含まれる人間の感情などの非合理的な部分であるという感じ。 -
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ネタバレ京都大学の学生時代にゴリラの研究をすることになり、1人で外国に行って現地の民族と交流をしながらゴリラへの研究にたどり着くまで既に大変だったと言う。闇市でどうしても1人で歩かなければならないかったときにはその場で話しかけてきた一番悪そうなやつに一緒に歩いてもらって、身を守り、人を雇うにはお金を持っている感じを出さなければいけないが、身ぐるみ剥がされないためには、こいつは殺すには惜しいと思わせなければならないと言うのをなかなかさらっと言っていた。ときには、現地の民族のプライドを刺激して、ゴリラの研究に同行させる。最初は誰に対しても拒絶せず、悪い奴であろうと受け入れて、騙されたとしても、かえってこいつは良いやつだと思われることで良い人にも寄ってきてもらえるようになると。だが、キャンプで就寝前に騒いでた奴には毅然とした態度で接するなど、舐められないように言う時はいう。
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ゴリラの研究をここまで愛を持ってされている話には興味深いものばかり。
人間が二足歩行を始めたことにより子育て方法が他の種と異なり、分裂した家族、今や核家族が当たり前となったのが分断の理由なのだということ。
コロナ禍の話も含めており、我々の暮らす現代の環境で怒りや闘争、争いが起きるのは繋がりが絶たれていることやスマホなど情報社会や産業が発達してきたからなのではないかということを改めて考えさせられる。
ゴリラを通して自然の生き方を目の当たりにしてきた筆者が感じる人間へのメッセージを感じる。
ゴリラの説明や生態については途中読むのが大変になってしまったのでサラリと読みたいところ。 -
Posted by ブクログ
人間と近しい生き物である類人猿の行動を観察、把握し、それを人間の行動に当てはめて考えてみよう、という学問を基礎に書かれた本。多くの生物は生殖を行えなくなると死ぬが、人間だけそうなった後も長く生きる。それは老人が子供の育成などに一役買って来たからだ、というような内容が書かれている。
確かに人間は猿の一種ではあるので、なるほどそうなるのかと思うことが多かった。
共同体と家族のどちらかには属しておくべき、という話は私の老後の指針になりそう。
ただ、世代間のギャップを感じる内容も多く、この本で批判されている最近の人間の挙動は、私が老年期に入るころにはそれが当たり前の世界になっているはずなので、そうあるべきではないと言われてもどうにもならんのではないかなァという印象を受けた。まぁまだ少し読むには早かったのかもしれない。