山極寿一のレビュー一覧
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ネタバレ
著者のお二方が研究などに基づいて、動物の行動に込められているであろう意味とか言語の起源などを論じていく部分が非常に面白かった。
それを通して見えてくるものの一つに、言語はコミュニケーション手段の一部でしかないということがある。つまり、身体性に関連する言語を超えたものが確かにあり、言語では言い表せないということ。
それなのに人間は言語を重視しすぎているとの問題提起。他にもこんな感じの主張が出てきている。
それらは以下のようなパターンの類型として理解できるなぁと思った。
すなわち、要素還元主義vs全体主義の議論。その内容としては、「人間は対象をより細かい要素に還元して考えることが可能で、効果的 -
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鳥類、特にシジュウカラを主に研究対象とする鳥類学者と霊長類(ゴリラを研究対象とする動物生態学者)の対談。動物たちも特有の言語を持ち、コミュニケーションを行っている。そして、動物たちのコミュニケーションは音声だけでなく、様々な手段で成り立っている。人間もかつては「ことばありき」の世界ではなくて、歌う事、踊る事などを中心に共感力を高めたうえで、ことばによるストーリーを持ったより高度なコミュニケーションを行うことができるようになった。しかし、現在のSNSなどのことば主体のコミュニケーションが優先となってくると、かえって人間本来が備えていたコミュニケーション能力が劣化していくことが危惧されている。
動 -
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ネタバレ京都大学の学生時代にゴリラの研究をすることになり、1人で外国に行って現地の民族と交流をしながらゴリラへの研究にたどり着くまで既に大変だったと言う。闇市でどうしても1人で歩かなければならないかったときにはその場で話しかけてきた一番悪そうなやつに一緒に歩いてもらって、身を守り、人を雇うにはお金を持っている感じを出さなければいけないが、身ぐるみ剥がされないためには、こいつは殺すには惜しいと思わせなければならないと言うのをなかなかさらっと言っていた。ときには、現地の民族のプライドを刺激して、ゴリラの研究に同行させる。最初は誰に対しても拒絶せず、悪い奴であろうと受け入れて、騙されたとしても、かえってこい
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ゴリラの研究をここまで愛を持ってされている話には興味深いものばかり。
人間が二足歩行を始めたことにより子育て方法が他の種と異なり、分裂した家族、今や核家族が当たり前となったのが分断の理由なのだということ。
コロナ禍の話も含めており、我々の暮らす現代の環境で怒りや闘争、争いが起きるのは繋がりが絶たれていることやスマホなど情報社会や産業が発達してきたからなのではないかということを改めて考えさせられる。
ゴリラを通して自然の生き方を目の当たりにしてきた筆者が感じる人間へのメッセージを感じる。
ゴリラの説明や生態については途中読むのが大変になってしまったのでサラリと読みたいところ。 -
Posted by ブクログ
人間と近しい生き物である類人猿の行動を観察、把握し、それを人間の行動に当てはめて考えてみよう、という学問を基礎に書かれた本。多くの生物は生殖を行えなくなると死ぬが、人間だけそうなった後も長く生きる。それは老人が子供の育成などに一役買って来たからだ、というような内容が書かれている。
確かに人間は猿の一種ではあるので、なるほどそうなるのかと思うことが多かった。
共同体と家族のどちらかには属しておくべき、という話は私の老後の指針になりそう。
ただ、世代間のギャップを感じる内容も多く、この本で批判されている最近の人間の挙動は、私が老年期に入るころにはそれが当たり前の世界になっているはずなので、そう -
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少し前の本ですが、学びある。
動物の世界は必然性の世界であり、
アルゴリズムが支配する世界であり、
強いつながりの世界である。
それは友達を作りたいなと思ったら自分と趣味の合う人たちを探してオフ会をやる世界です。
人間が人間らしいと思っているものの多くは誤作動の結果起きている。
だから人間らしい感情は根拠づけたり設計したりするものではない。
人間のコミュニケーションには誤作動がすごく多くて、その誤作動こそが我々の自由や生きているという事実を支えている。
だから、それをなるべく潰していくというのはまずいと思います。
そうした誤作動をどうこれからの社会に組み込んでいくかという話になると思います