山極寿一のレビュー一覧
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◯山極先生の特異な体験を踏まえて、社会の生き方や人との付き合い方などを記したエッセイ。山極先生のことを知るにあたっても、気軽にさくっと読める一冊。
◯類人猿と比較して人間を分析するしては変わらず面白いが、この本で一番のポイントは、時間の使い方である。人と一緒に食事を取ること、付き合うこと、人のために時間を費やすことである。
◯これは、アフリカ人との付き合いの中で実感したとあるが、日本でも昔は同様であった。個人主義の行き着くところは、これまでは経済的発展であっても、それも行き詰まった感もある。個人主義という孤独は人をむしばみ、隣に住んでいる人が何をしているかも分からないような現代社会を作り出した。
ミヒャエル・エンデのモモを彷彿とさせる考えである。自然の中で生きている人々、もしくは自然そのものを相手にしてきた人の語ることだと、また説得力がある。
◯ただ、ここまで社会がきて、今さらかつての生き方に戻るというのも何か違う。それこそ、人類は多様な社会を構築することができるのであれば、孤独を埋める社会だって作れるのではないだろうか。それこそ長い時間をかけてでも。
◯ちなみにこの本もあまりゴリラ感はない。 -
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小曾根哲教授の地球学、神川龍馬助教の進化生物学が面白かった。▼地球岩石学者の小木曽教授の『常識を越えるノート』:1)地球はいま46億歳。気が遠くなるほどの悠久の時間を生きている。2)火星と金星には生物はいないのに、地球だけ「”たまたま”いい条件が重なって生命が生まれた。3)原始の生物にとって酸素は猛毒。酸素に適応できた”変な生き物”だけが残った。4)恐竜を絶滅させた隕石は、またやってきてもおかしくない。5)地球はだんだん冷えているが、太陽はさらに明るく熱くなっている。地球は今、そのはざまで微妙なバランスを保っている。▼進化生物学者の神川助教の『常識を越えるノート』:1)細胞同士で合体すると、意外なパワーアップをはかることがある。2)生物学的にいうと、人間はわりにカビに近い。3)マラリア原虫は光合成をやめて、人間を殺すことを選んだ。4)地球上には、まだ発見されていない生き物がゴマンと存在する。5)”変人”のはみ出し者が進化のチャンスを得る。▼地球物理学者の酒井敏教授の『常識を越えるノート』:1)天気予報は1週間が限界。2)世間の物事には「カオス」と「フラクタル図形」が満ちている。3)小さなことが積み重なって、予想もできなかったことが起こる。4)無計画につくられたネットワークは意外と強い。5)「ぼちぼちいこう」をモットーに。あまりに計画的に生きようとするのは徒労。
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変人という天才達の集まり、各分野の着眼点も面白く、深い読み物、さすが!
「遠足のおやつ300円まで」秀逸!
不便益とは!
東大は官僚養成学校、京大は西園寺公望が、自由な学風の学校作ろうとしたのが始まり
東京は討論、ディベート
京大は対話、ダイアローグ、発見方式
Together and Alone ともに、一人で
全地球凍結、Snowball Earth
ヘーゲルの弁証法、ある一つの物事にはそれを否定する物事が含まれ、矛盾するものだという事
寿司屋のオヤジは職人肌で客なんか関係ねぇ、自分の仕事をしているんだ!とみせる
京大変人伝説/
鯨が魚類である理由を述べよ!最終レポートの提出日は教授の退職後⁉️
試験問題で、どんなことをしてもいいから、解けるものなら解いてみろ!という問題!
ドイツ語の試験で、何を持ち込んでも良い、と言われ知り合いのドイツ人を持ち込んだ生徒(笑 -
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2000万年前、類人猿は何十種類もいたが、サルは少なかった。サルは、サバンナに出て多産になると、森に戻ってきてから栄え、類人猿を追い詰めた。人類もサバンナに進出して多産になった。
デニソワ人は、64万年前にネアンデルタール人から分岐した。現在のメラネシア人やオーストラリア原住民、フィリピンのネグリト人のゲノムには、デニソワ人のDNAが数%含まれている。インドや東南アジアの人たちのDNAには、デニソワ人の痕跡は全くない。
単独生活やペア社会の動物は、雌雄の体格差がない。規模の大きな群れ生活をする動物では、オスがメスより大きくなる。複数のオスが共存する群れ社会では、厳格な優劣の順位ができる。母系社会では、ニホンザルのような階層性を持つが、父系社会の類人猿は、平等な関係を保とうとする。
チンパンジーは個体の利益を最大化するために連合して戦うが、人間の集団間の戦いでは、集団の利益を最大化するために個人が奉仕する。
夜行性の原猿類は、単独で縄張りを持った生活をする。昼行性になって群れが大きくなると、食料を求めて広い範囲を探さなければならないため、縄張りを維持できない。ヒトも狩猟採集生活までは縄張りを持っていなかったが、農耕や牧畜を始めて、広い範囲を動き回らずに済むようになると、縄張りを持てるようになった。
人間の子どもは、脳を成長させるために体脂肪率が高い。赤ちゃんは重いので、母親は抱き続けることができず、置いてしまう。母親が赤ちゃんに働きかけるために声をかける。それが大人の間に広がり、心を同一化させる機能を持って普及した。音楽の起源と考えられる。
アフリカの野生動物は、人の活動に適応していたため、気性が荒く、一種たりとも家畜化されていない。
religionの語源であるラテン語のreligioは、集まるという意味。
頭髪のアタマジラミと陰毛のケジラミは種が異なり、DNAの変異から120万年前に分かれた。人間が体毛を失ったのは、その頃と考えられる。コロモジラミは、7万年前にアタマジラミから進化しており、衣服の起源がその頃と推定される。 -
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<目次>
はじめに ”変人”がいるから人類は繁栄してきた
第1章 「地球の教室」 毒ガスに満ちた「奇妙な惑星」へようこそ~学校では教えてくれない!恐怖の「地球46億年史」
第2章 「経営の教室」 なぜ鮨屋のおやじは怒っているのか~「お客さまは神さま」ではない!
第3章 「法哲学の教室」 人間は”おおざっぱ”がちょうどいい~安心、安全が人類を滅ぼす
第4章 「社会デザインの教室」 なぜ、遠足のおやつは”300円以内”なのか~人は「不便」じゃないと萌えない
第5章 「生物の教室」 ズルい生き物、ヘンな生き物~”単細胞生物”から、進化の極みが見えてくる
第6章 「予測の教室」 「ぼちぼと」という最強の生存戦略~未来はわからないけど、なるようになっている
おわりに これからも京大は「変人製造所」として(ときどき)世界を変えていく
<内容>
二宮敦人の『東京藝大』の亜流を想像したら、だいぶ違った。簡単に言えば、京大教授陣による公開講座だ。そして、面白い!これを生で見たらもっと面白いだろう(たぶん、生でやったものを紙に起こしたものだ)。「変人」と呼ぶが、研究としてはどれも超真っ当な物。ぜひ、読むべし!