山極寿一のレビュー一覧
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ネタバレ養老先生は虫を観察して人間を考える。
山極先生はゴリラとともに体感し人間を考える。
地球上にいる生命の祖先はどのように生きたか、何億年単位で生命の先輩たちを調べたお二人が情報共有しながら、人間の立ち位置を整理した内容でした。
江戸時代にマタギによって根絶やしにされたサルの話しや、洗剤による鎌倉の川の汚染では下水道を整備して水がキレイになったら、元々居なかったフナを放流した話しなど、今の時代では信じ難い問題がなかったかのような日本なんですね。
日本文化は述語的な文化、西洋文化は主語的な文化。日本特有の生き方も考えさせられます。
ひとつ気になるのが、車社会は環境に良くないまではいいのですが、その代 -
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友人に誘ってもらい始めた読書会の第一回選書。
話す中で見えてくることがあって、この感じは中学生ぶりくらいで新鮮だったなあ。アウトプットとして、2本のコラムを書きました。(以下概要)
「関西人の対話術」
ボケはツッコミを要求し良いツッコミはボケを生かす。ということで関西人(デカめの主語)は会話を対話に昇華する、対話のうまみを誰よりも知っているのではないか。
「ごはんに夢中な君に夢中な僕に夢中な君」
類人猿と人を分けたのは対面行為と食事。どちらもシェアだけれど、誰とでも至近距離で対面するゴリラと異なり、人間は家族か恋人など限られた間柄でのみ。そこで、食事(や広い意味ではその他会話のネタも)を介 -
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自分はバリバリの文系なので、理系的な考えが足りないと日々感じています。
この本では、霊長類の中でも最も人に近い生物、ゴリラと人類を比較して、テクノロジーによって失いつつある「野生」について語られています。
ゴリラとの生活はカルチャーショックを受けるほど刺激的で、ゴリラの子どもと、シルバーバックの話は、目に浮かぶようで面白い。
頭ばかりを働かせているようでいて、現代人はものを考えなくなったし、常に情報に翻弄されて、自分の意思を持つことが難しくなっている。
人間が一度につながれる限度は150人という具体的な数値がまず衝撃的でした。
SNSで、何万人というアカウントを持っていても、脳の観点から言う -
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越前屋俵太がナビゲーターになり、京都大学の「変人」教授達がそれぞれの専門分野で突き詰めたものを語る。タイトルは刺激的だが、内容は分かりやすく、かなりまともなことが書かれている。
啓蒙的な話も多い。「不便だからこその良さ」「安心安全という情報に頼りすぎる危うさ」など。世の中が便利に、どこかギスギスとした安心にすがりすぎると思考停止に陥ってしまうという警告にも読み取れる。
逆に「自由に手に入らない」ことが、人々の欲を引き寄せることも考えさせられる。独りよがりはいけないが、程よい不便は人の気持ちを活性化させることを仕事にも活かせないか、そんなことを考えながら読んだ。 -
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ゴリラ生態研究記! タイトルの内容は主に最終章
タイトルから人間社会について論じている本かと思いきや、そうではなく、その前段階として類人猿(ゴリラなどのサル)の社会を学び人間と比較することが人間社会の起源を検討する上で重要だとしています。
そのため、筆者のゴリラ研究での経験談が存分に語られています。
●印象的だったところ
・二十数年ぶりに合ったゴリラが筆者を覚えていて童心に返る行動をした
・人間社会はサルのような個人主義に向かっている
サル社会は厳しい上下社会。個人主義の生活が家族やコミュニティからの束縛から離れて良いと思うかもしれないが、平等さは失われる。
・人間の技術がどんなに -
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「虫(養老)とゴリラ(山極)」は分かりますが、このタイトルはチョットねって思いました。
人間の社会はこれでいいの?虫とゴリラの視点で人間のおごりに物申す。という内容の本です。
今まで山極寿一先生の著作は未読なので、養老先生との対談形式なら山極先生の知識や思想を知るのに良いかと思い読んでみました。
芸がないと感じた「虫とゴリラ」というタイトルですが、山極先生が「と」について語る場面がありました。
西洋の「a」and「b」は、 「a」か「a」ではない「b」であるが、日本の「a」と「b」は、その2つが同じ価値観を持って相互を了解し合える関係になるのだと。
この発言があったから、『虫「と」ゴリラ』