「不便益」という観念について初めて触れ、考えさせられた本。
といっても言葉として初めて聞いただけで感覚としては多かれ少なかれ世の人みんなが抱いていることなのではないだろうか。
p69にある現代の「便利」は「空疎」であり「現実感がない」というのはまさにその通りだと思う。身近なところでは24時間営業
...続きを読むのコンビニやスーパーに並ぶ野菜や弁当・惣菜など、よくよく考えたら凄い事である。レジ横にあるフライドチキンとか、何日も何週間も品切れているのは見た事がないが一体全体その為にどれだけの鶏が日々捌かれ、産まれているのだろうか。考えたことも無い。
また、日用品やなんかについても、「いつでもどこでもだれにでも」使える/手に入るモノは一見ありがたいが、確かに愛着とか「オレだけ感」→’ありがたみ’’感謝’は抱かないかもしれない。行き過ぎた’機会均等’は日々の些細な喜びを感じる機会を奪っているのではないだろうか。
私個人の身近な例では人気コミック限定版や著者サイン本など、自ら汗して探し回って手に入れるから尊いのであって、いつでもポチッとすれば届くのではそれほどありがたくないしそうじゃない。
色々考える機会をくれた本である。
2刷
2021.6.11