山極寿一のレビュー一覧

  • 京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと

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    「第5章 私の教育論」で著者が述べている"高い共感力を育む教育"は非常に重要な視点だと感じた.人間の子どもの危険な時期が、長い離乳期と不安定な思春期であり、その時期に適切な教育を受けれるように配慮することが、人間社会の形成に重要である との指摘は的を得ていると思う.示唆に富む提言や、苦労話も含めた広範な活動記録も面白かった.

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    2022年03月12日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    霊長類学者山際寿一と作家小川洋子の対談集。山際さんは京都大学学長になる人を巻き込む言い方が出きる人だなと感じ入った。小川さんは対話する人のこれまでの経験や記憶のかけらをうまく言葉にさせる力がある人だなと思った。山際さんの人だけが持つ家族を結びつけるものを愛と叫ばせたのは、小川さんの力だなと思い、吉本の対幻想を思い起こさせた。ゴリラの子殺しの話は結局原因が自分の子供を残したい雄の欲望の発露なのか、人に生息域を狭められたことによる反動なのか結論が出ていない。なんとも陰鬱な話だがゴリラもチンパンジーも子殺しをするなら、人間の児童虐待も動物としての性なのかとも思ってしまった。さまざまな感慨を生む刺激に満ちた対談である。

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    2022年02月24日
  • 「言葉」が暴走する時代の処世術

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    博識な二人だが、対談なのでとても読みやすい。

    SNSが普及する今、コミュニケーションとは何なのか、幸せに生きるにはどう考えたらよいのか、といったことを考えさせてくれる。

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    2022年01月11日
  • 京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと

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    京都大学総長を務めたゴリラ学者が、自身の経験や大学論、未来と学術の関係等について論じる。
    2004年に国立大学が法人化され、国の財政から切り離されて予算が不足したり教員の業務が増えたりといった弊害が生まれた。
    アフリカでのゴリラ研究のフィールドワークの体験談も面白い。アフリカの学生に学位を取得させる努力家も。
    教育は贈与。人間には家族とその外の共同体があるが、ゴリラには家族しかない。人間はジャングルを出て直立二足歩行によって食物の運搬と分配をすることで高い共感力を有するようになった。その結果家族を越えた共同体が生まれた。
    オーグスタン・ベルクのコスモス国際賞受賞時の「西洋近代の古典的パラダイムは二元論お拝中律に基づき、必然的に近代性と工業化をともなったがために人間存在を脱宇宙化した。再宇宙化には新たな思考のあり方が必要」という講演を引用、和辻哲郎や西田幾太郎を紹介している。

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    2021年12月14日
  • 京大総長、ゴリラから生き方を学ぶ

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    アフリカでのゴリラ調査のフィールドワークを通して、対人関係の工夫を学ぶことができた。まず相手の文化や考えを理解することが、うまくやっていくために重要だった。
    味方をつくること=敵をつくること というのは新しい観点だった。

    ゴリラの生態も含めて、学ぶことが多い本だった。

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    2021年10月20日
  • スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方

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    スマホを使うことが当たり前になっている今、役立つ内容だったと思いました。

    著作の後半部分はゴリラ研究者として、人間とは一定の距離を置いてゴリラと共に生活を送って研究を進めたからこそ言える内容なのかな、と感じました。

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    2021年10月16日
  • これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講

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    11のエリアの第一人者との対談。非常に為になった。個人的な関心の重みもあり、中でも、東浩紀氏、石川善樹氏、水野和夫氏、平野啓一郎氏、山極寿一氏のパートは示唆に富んだ内容であると感じた。

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    2021年09月26日
  • スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方

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    人間とは、社会とは、考えさせられる内容が多かった。コロナ禍で対面での人との繋がりが弱まり、面と向かって話したりご飯を食べたりしにくくなっている。慣れてはきたもののどこか寂しいと思っていたわたしには共感できる内容が多かった。生物学的に人間は五感で世界を感じとっている、人間は互いに違うということを前提としていて、共感は相手の気持ちがわかることで理解することではない、身体がつながる感覚が得られないなど。
    もう一度読み返したい。

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    2021年08月23日
  • これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講

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    11人の識者へのインタビュー集。編者の好みなのか分野と言葉は違えど、思い描いている未来社会は似通っている人選のようにも思えます。気になる人物ばかりだったので問題ないですが。

    近代の強い個を持続できるほど人間は強くなく、場の関係性の上に柔らかい弱い個をなんとか保っているのが実情。そんな個人でも生きやすい社会制度へと変えていく時代に来たのかな。

    「欲望のエデュケーション」といった気づきのような新しい啓蒙の形で、これから価値観変更を優しく迫るお知らせが来るのだと思うw

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    2021年08月23日
  • スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方

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    ネタバレ

    心に残った部分(要約)
    ✔実際の五感で感じる世界ではなく言葉などのフィクションのフィルターを通して自然を眺めている。フィールドワークではあえて言葉に翻訳しないのが極意である。
    ✔「家族」を持つのは人間のみ。人間の社会性は、仲間と一緒に安全な場所で食べる「共食」から始まった。しかし今は効率性を求め「自分の時間」をつくることが自分の欲求を満足させる近道とする考えも広まった。それによって孤独をつくり時間を手に入れても何をしたらいいか分からない人がいる。それはそもそも人間が一人で時間を使うようにできていないからである。

    感想
    山極先生の考える世界観が僕と親しいと感じてうなずきながら読む場面が多かった。特にシェアの時代であるということは多くの人が頭では理解していることだと思う。

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    2021年08月17日
  • 都市と野生の思考(インターナショナル新書)

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    対話が面白い、読みやすい
    ファストフードを食べる姿を見て、チンパンより孤独。そう言う意味では人類史は退化している

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    2021年08月15日
  • 虫とゴリラ

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    ネタバレ

    独特の感性に基づいた2人の学者の対談であり、いろいろなキーワードを拾い上げることができる。

    言葉の「同じ」という機能、
    一体化、共感、共鳴、
    職場の机の石、
    歯車、一次中枢神経とピアノ
    モノを媒介にして変わった明治維新と戦後
    人間のつくるシステムには「界面」がない
    こぼれ落ちた現象、感性

    今後、どのような世界を作っていきたいのか、日本をどうしていきたいのか、考える上で重要な観点となるのではないか。

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    2021年07月09日
  • スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方

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    山極先生の生き方にも触れることができました。どんな生い立ち中のか、研究テーマに向かう姿勢も分かりました。かつてNHKの「ようこそ先輩」で授業して下さった様子も思い出されました。今という時に、人間はどのように生きるべきなのかという視点を示唆してくれる本だと思いました。

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    2021年03月21日
  • 人類の起源、宗教の誕生

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    山極先生4冊目。
    山極先生サイドからは人類の起源、小原先生サイドからは宗教の誕生をめぐるエピソードや考察が提示されて、現代社会が抱える諸問題を分析していくという構成。
    山極先生が豊富なフィールドワークをもとにお話されるエピソードは、ホント、毎回毎回面白い。けど、本書はこれまでに読んだ山極先生の本よりはエピソード少な目なので星は4つ。でも、自分の考察は多方面で深められた気がする。ハラリさんの著書にも触れた部分があって、専門家の先生方の受け止め方を知ることができたのも面白かった。
    まずは、山極先生の発言から。
    ①一度グループを離れたメンバーがまた同じグループに戻れるのは人間だけだけど、それがなぜなのかは山極先生にもまだ分かってない。不在の者への思いやりは人間に特有の心情ってこれ、内田樹先生の『死と身体』にも重なる内容で、すごく興味深い。
    ②宗教は個人の命の救済のために出てきたけれど、それが集団の共通幻想になってしまうと力を必要とし始め、逆に個人の犠牲を求めだす、という山極先生の指摘は、「倫理は常に少数派のものでしかありえない」という内田樹先生の指摘と重なり合う。
    次に、小原先生の発言から。
    ③共同体の秩序維持、あるいは不安一掃のためにスケープゴートを捧げる儀式は世界各地にある、とのこと。コロナがもたらす不安は何を供物に求めているのだろう?と思わされる。とりあえず組織的スケープゴートってことで陶片追放について書かれた本でも読んでみるか。
    ④アメリカのキリスト教は成功哲学と結びついて資本主義化したキリスト教だということ。とするなら、日本が戦後、近代化への過剰適応ともいえる反応を見せてあらゆる分野に合理主義を持ち込んだのは、アメリカをスタンダードだと勘違いしたからか?丸山眞男氏はそこを指摘した?
    ⑤クエーカーは非暴力を重視する一派らしい。なるほど、だから『侍女の物語』の中でクエーカー教徒はギレアデにおいては異教徒扱いだったわけか!!
    などなど。
    こっからまた色んな方面に広げて読書を進めてみよう!という気持ちにさせられた。

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    2021年01月12日
  • ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」

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    とくに第一章は面白い。

    西洋人が自らを知るためにインディアンを定義することを目指したように、人類が自身を知るためにゴリラを調べる。

    比較対照があってこそ、そのものを理解できる。ということの意味を知ることができた。

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    2020年11月30日
  • 虫とゴリラ

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    虫の専門家とゴリラの専門家の対談本。いかに人が自然を差し置いて自分勝手なモノの見方をしているかを考えさせられた。専門的な話を軸に、身近なテーマを幅広く扱っているため、とても読みやすく読み応えもある一冊であった。

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    2020年11月11日
  • スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方

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    ひとつの生き物として、人間の身体から考える視点がとても新鮮。社会構造や理屈以前に、地球上で進化してきた生き物としての人間がどんなものか、現代との乖離がどこにあるのか、面白かった。
    子育てしている身としては、今後の子どものことについても視野が広がったと思う。

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    2020年10月26日
  • 人類の起源、宗教の誕生

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    人類が他の動物と異なる特質を得たのは、共感能力を獲得したとの由だが、その共感が暴発するところに暴力の根源があると述べている.共感と宗教の関連も詳しく解説してあり、非常に参考になった.スマホ中毒になっている人々に 、ラマダーンを真似てe安息日を提案していたが、面白い発想だ.人類に近いゴリラやオラウータンは群れから離れた存在は元に戻れないが、人類は不在だったものを受け入れることができる.これは人間の性質として重要だと解説してあったが、その通りだと思う.この不在に関して、過去と現在での考察だけでなく未来について考えるべきだとの論考があったが、素晴らしい視点だと感じた.

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    2020年09月25日
  • スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方

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    類人猿(特にゴリラ)から人間を学ぶ。知能偏重という言葉がずっしりのしかかる。時間、空間を共有し、五感を使った付き合いで曖昧に了解し合い、互いに信頼を寄せる感覚は、私の場合、生まれた頃から共棲している「猫」との関係性でストンと落ちた。数値化・言語化されたものは理解こそしやすいが、理解したところで共感していない場合は結構ある。人間が真に繋がれる限界が150人というのも、顔、名前、人となりを知っている前提ならば意外と多いように感じた。

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    2020年09月18日
  • スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方

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    子供たちに
    手渡したい一冊

    若者たちに
    身近に接していらっしゃる
    山極寿一先生だからこそ
    なんとしても
    届けたい思いが
    行間から伝わってきます

    ぜひ さりげなく
    彼らの眼に触れるところに
    置いておきたい一冊

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    2020年08月20日