山極寿一のレビュー一覧
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哲学者で元大阪大学総長の鷲田清一氏と、ゴリラ研究で著名な山極寿一京都大学総長の対談。
ただ第1章からリーダー論がぶっ放されていて、改めて知を探究すると射程は広く、そして「僕たちはどう生きるか」という問題に集約されていくのだなあということを実感。
文科省が学習指導要領で「生きる力」を提言してからでも随分経つが、文科省が(あるいは日本の政府が)進めようとしている教育改革が、たとえば本書で述べられているような「生きる力」を涵養するものであるかと自問すれば、甚だ疑問であるというよりは、正反対の方向に進んでいるような気がしてならない。
複雑化する国際社会と日本の現状を踏まえた上で、大人としてどのように振る舞えばよいか。
最近自問していることは、結局そういうことに尽きるような気がしてきた。 -
Posted by ブクログ
少し前の話ですが
京大の学生寮「吉田寮」のことが
いっとき話題になっていましたね
その時に
「学生諸君も もう少しゴリラらしく対応できれば
いいのだけれど…」
というニュアンスのコメントが
山際寿一総長のお言葉として
報じられていた記事を読みました
それも
どちらかといえば
ーなんということを
人間ならぬ
ゴリラ並みに例えるとは
という非難めいた調子で
紹介されていたように覚えています
むろん
山際寿一さんの真意は
気高く賢明で協調を重んじる
尊敬すべきゴリラ諸君
としておっしゃっているのですが…
改めて、思うのは
地球上で傲慢になってしまった
我々ニンゲン、
そしてニホンジン、
に対しての
傾聴すべき警告の書になっています -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々に、目から鱗!
そして、衝撃的な解釈で、涙が出てしまった。
外国で暮らし、異文化を知る。
それだけなら、自分自身にもある話だけど、
筆者は、ゴリラの住む森で、ゴリラに受け入れてもらい、ゴリラと遊び、ゴリラに「友達」として認められるまでになった。
そんなガチのフィールドワークの体験に基づき繰り広げられる洞察。
比較対象が、人間の文明同士、人類の文明数千年をはるかに凌駕し、類人猿ができた数十万年前に及ぶから、圧倒的。
まず、「父親」とは、社会に認められて初めてできるもの。動物界でオスが育児に参加する種は、ゴリラくらい。「父親」役のゴリラは、雌や子供の期待に応えるようにふるまう。
ヒトは二足歩行の上頭が重くなってしまったために未熟な状態で生まれるから、育児にオスが関わることになった。
親の役割を虚構化し、子育てを共同体ですることにした。
西洋文明は、シートンのような、動物が環境の影響によって共同体を形成したり、人間と共通の特徴を持つ、といった研究を嫌ったらしい。あくまで、人間は自然から切り離されたものであり、独立したものである。ヨーロッパには、森でさえ隅々まで人の手が入っている。
一方の日本やアフリカは、手付かずの森がたくさんある。
日本には、動物がヒトとなり、家族の一員となる昔話がたくさんある。
霊長類の行動を観察し、ヒトのコミュニティの考察に応用する霊長類学は、今西錦司が提唱し、日本でスタートした。しかし、当初は、「擬人化」といって欧米からは見向きもされなかったらしい。
人間は、言葉を手にすることにより、感情をも代々伝えることができるようになった。その結果、怨念的な感情も伝えることができるようになってしまった。
ゴリラも、昔は狂暴な動物とみなされ殺された。
芥川龍之介の「桃太郎」。鬼にしてみたら、悪いことしてないのに成敗されてしまう。
個人はみんな優しく、思いやりに満ちているのに、民族や国の間で理解不能な敵対関係が生じるのはなぜか。
つくり手側から物語を読むのではなく、多様な側面や視点に立って解釈してほしい。
大学はジャングル!いろんな生物がそれぞれの個体の繁栄のための最適化をし、出たり入ったりする。 -
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人類学は京大と東大が両輪のごとく、それぞれの特徴を生かしつつ発展してきたとのことで、京大の山極(現総長)、東大の尾本両氏の対談が実に楽しい。尾本氏からすると人類学の学者が総長になるのは、いかにも京大らしく羨ましいとのこと。東大は分子人類学、遺伝子研究に、そして一方では京大は霊長類学に特色。霊長類学は本来は人類学と動物学の狭間の領域。今西錦司氏以来の伝統で、それが日本の人類学の権威になっていることに誇りを覚える。ルワンダの山奥で26年ぶりに出会った34歳のゴリラのタイタスが、山極氏を憶えていた!近づいてきてまじまじと見つめ、子供っぽい表情になったという!34歳は老年の域になるらしい。この実話は本当に感動的だった。ゴリラとチンパンジーの性格の違いで、チンパンジーは相手を理解しても助けてやらない。ゴリラは相手を助けようとするいかに平和な動物かということが印象的。いずれもヒト科の動物で、サルよりも人間に近いらしい。確かに「彼ら」を研究することが人類の理解に役立つことは間違いない!
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アザラシと泳いだ獣医は、旭山動物園の元園長。専門家のお二人が語る動物の話が面白い。
会話形式だからサクッと読みやすい。
ゴリラ、オラウータン、ニホンザル、人間。
同じように見えても、行動にはそれぞれ違いがある。小さな虫をどう扱うかということだけでも、こんなに違うのかと面白い。
動物の好奇心について多く語られている。
その好奇心が生きていく力にもなるという。
それは人間も同じなのかもしれない。
このお二人も好奇心がすごい。
動物のことをもっと知りたい、わかりたいと、動物の立場になって考えているのが伝わってくる。
「動物の生き方を参考にして、人間が他の生物たちと共存できる道を探らなければいけない」という考えにも共感した。
うちの猫たちを見ていても、前に飼っていた犬との違いや、人間との違いが面白い。
猫同士でも違うし、毎日一緒にいても不思議で飽きない。
身近な猫を見ているだけでも面白いのだから、もっといろんな動物を見に動物園に行きたくなった。 -
Posted by ブクログ
同じ哺乳類、猿人から、人間とは何かを探ろうとされてきたお二方の対談。野生のイルカ・ゴリラはそれぞれコミュニティの中で血の通ったつながりを築き今この瞬間を生きている。それこそが生命として必要不可欠な力だと言わんばかりに。翻って人間は、スマホ、AIの台頭によりどんどん血の通わない、相手のも知らない、呼吸を感じない世界に足を踏み入れつつある。
そういう私自身、うつ病を患い人との関わりがうまくできなくなった側。野生では致命的なんだろうな。どんどんそういう人が増えている。一度踏み外すとなかなか戻れない。
どうか、ゴリラやイルカのように、身近な存在との関係性を大切にし、不毛な争いを生まない人間に進化していけるように、あらためて大切なことは何か、身近な人との関わりで自分にできることは何かを考えながら生きたい。
願わくば、うつ病でもゴリラのように優しく勇敢な存在として人生を真っ当できますように。