山極寿一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代社会のコミュニケーションの問題点を、類人猿とヒトとの性質の差から紐解く視点が非常に面白かった。
ヒトは共感力で家族と地域社会という性質の異なるコミュニティを両立できているという記述があった。私たちが様々なコミュニティに属していることは当たり前に思えるが、実際はヒトとの距離の取り方が難しいと思う場面も少なくない。
ヒトが言語によって獲得した「距離を置く」という技も、そればかりだと距離が遠くなってしまう。やはり直接会って、目を見て話し、同じ空気を吸って、コミュニケーションの楽しさと難しさの両方を味わうことが、人として生きる喜びにつながるように思う。
コロナ渦でなかなか人と会えない今だからこそ、 -
Posted by ブクログ
◯大変面白かった。最近ゴリラがマイブームだったので、何かゴリラの本を読もうと思って手に取ったのだが、ゴリラの本というよりは、著者の魅力が溢れる本という方が正しいような気がする。
◯新聞で掲載されていたコラムがまとめられた本であり、ゴリラに関する知識が別段増えるわけではない。著者の世界を見るときの考え方、京都大学総長として、学生を教える側としての考え方が心を打つコラムが多い。その語りに思わずグッときて、自分の生活を改めてみようと思うこともある。なんというか徳が高い。
◯タイトルはこれ以外は考えられないが、ゴリラに興味がない、タイトルで買ってみた、それ以外の人にも幅広く読んでほしいと思う。 -
Posted by ブクログ
実は似たタイトルの他の本と間違えて注文してしまったもの。想定外で読み始めたが、とても面白かった。意図して読み始めたものでなくても、引き込まれた。
ゴリラ(家族中心)、チンパンジー(複数雄、複数雌の集団)、サル(序列集団) 人間はゴリラとチンパンジーの間でどちらから進化したのか?という問いかけが印象深かった。 他には家族と共同体の話、人間は子供期が長いということ、帰属意識の重要性などが教務深かった。
直前に別の本で「家族は選べる」みたいな趣旨の本を読んで考えさせられていたので、それとの対比という意味でも面白かった。
人間社会はサル化している?というのもその通りかも。 -
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Posted by ブクログ
哲学者で元大阪大学総長の鷲田清一氏と、ゴリラ研究で著名な山極寿一京都大学総長の対談。
ただ第1章からリーダー論がぶっ放されていて、改めて知を探究すると射程は広く、そして「僕たちはどう生きるか」という問題に集約されていくのだなあということを実感。
文科省が学習指導要領で「生きる力」を提言してからでも随分経つが、文科省が(あるいは日本の政府が)進めようとしている教育改革が、たとえば本書で述べられているような「生きる力」を涵養するものであるかと自問すれば、甚だ疑問であるというよりは、正反対の方向に進んでいるような気がしてならない。
複雑化する国際社会と日本の現状を踏まえた上で、大人としてどのよう