神保哲生のレビュー一覧
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2000年代小泉政権で「構造改革路線」を提唱。
なんでも政府が面倒を見てくれる日本従来の護送船団方式から新自由主義路線、つまり自己責任の社会へ政策転換された。
終身雇用、学歴、結婚、を通じて安定した居場所を提供してくれていた社会が壊れ、自分で自分の居場所を見つけなければならなくなった。
「誰かに自分の存在を認めてもらわないと不安でたまらない」という強い「承認欲求」を持つ状況が生まれた。
そこにその心の穴を埋めてくれる理想的なツールとして登場したのがインターネットだった。
リアルの世界で悩み、ここに現実逃避した人々がバーチャルの世界に入っていく。
ということか?
とすればまだまだこういう輩が出てくるということか? -
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1.最近海外の農業形態について読むことが減ったので購入しました。
2.キーワードとなるのはグローバル企業による搾取と消費者の気づきの2つです。経済効率を優先する社会を作りあげたのは両者であると著者は述べています。食料を商品としてしまい、大切なこたを見失ってしまっているのが現代の食経済の悪い部分で、どのように悪いのかを調査によって述べてくれている本です。
3.大方の予想通りの内容でしたが、読み応えがある本でした。
食料増産による人口増加という悪循環やグローバル企業によって搾取と利益を受ける立場の人間という複雑に絡んだ状況が現代を取り巻く環境の事実なので、消費者側は、なにが自分に出来るのかを今一度考えていかなくてはいけないと思わせる一冊でしたり。 -
Posted by ブクログ
取り上げられている個々の事象はある程度知っているつもりだったが、それらがこんな風に繋がっているという提示に驚いた。サプライ・チェーンならぬ「サプライズ・チェーン」。
訳者解説の「食を見ればグローバリゼーションの本質が見える」が本書を端的に表している。
地球上を網羅する巨大資本のサプライチェーンは大規模小売店に食材を豊かに溢れさせながら、反面、再生産能力に限りのある大地からの強引な搾取と化している。「もっと大量に、もっと安く」を目指す、生物としての本来能力を超えた食物の無理な大量生産は、土壌の疲弊、化学合成品の混入、環境汚染、耐性細菌の拡散、遺伝子組み換え作物同士の意図せぬ交配の危険性増大というしっぺ返しを孕んでいる。
伝統的手法では、家畜を飼い、その排泄物を肥料として土壌を肥やしていた。現代社会ではそんな手間の掛かる手順を踏んでいては(巨大サプライチェーンに依存する限り)利益が出ない。「売れる」食材の大量生産を目指すなら、農業であれ畜産であれ、工業的に単一種に集中するのがセオリーだが、そのためには自然の恵みだけでは足りず、化学合成物質の大量投下が欠かせない。本来の生命力を欠いた食材の不都合を、食品メーカーは様々な添加物を投じて覆い隠す。
巨大資本の「悪行」に当初憤りを感じるが、読み進める内に「真犯人」が分かってくる。 -
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ネタバレトランプ大統領の誕生は、米国における白人のマイノリティ転落に対する恐怖(白人によるアイデンティティ・ポリティクスの行使)、急速なグローバル化やインターネットの登場による中間層の没落(豊かだったものが貧しくなったという感覚、インタネットの登場による生活様式の共有への不信)といったより大きな問題を表象しているに過ぎない。こうした社会の流れや急速な変動への揺り戻し、(移民に対して非同化政策を採ったことに起因する)共有できる敵を常に必要とする従来のアメリカン・ウェイという観点から、トランプ政権が徹底して自国第一主義に走ることは当然の予想である。政治的正当性への不信も含めた民主主義の劣化、享楽化(ポスト・トゥルース/非知性主義的態度)に対抗するためには人々の意識のありよう(行為と体験に対する観察と抽象化/高次化)の変革が必要と考えられる。
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面白かった。著者は雑誌(ローリングストーン』で長く人気のコラムを担当しているジャーナリストだそうだが、皮肉の効いた筆致で、それを日本語に訳した訳者の表現もこなれていて読んでいて苦笑すること多数。
本書は後付けのトランプ論ではなく、大統領選〜当選後まで、その時々に書いていた長編コラムの再編集版らしいので、まさにリアルタイムで当時の雰囲気が少なくとも著者の目を通した形で窺え、とても興味深い。(実際、著者は選挙戦の終盤近くまで「それでもさすがにトランプにはならないだろう」というスタンスで見ていたようなので尚更)
トランプ現象とは何だったのか?何なのか?アメリカ人の目から見た肌感覚の一端がリアルに感じられ、かつ、それに対する筆者の考察も鋭く、なるほど…と思わされた。 -
Posted by ブクログ
他人事の世界を、自分のところに引き寄せる。
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もう多くの人が忘れているのではないか、というPC遠隔操作事件。
550ページ超の大作であり、その多くが事件の顛末を追っているのだが、つまるところ、本書が語るべきことは2つだろう。
ひとつは、真犯人とされる男(片山)は、なぜこんな事件を起こしたのか。
もうひとつは、この事件によって露呈した報道や警察・司法のあり方、である。
まったく見に覚えがないのに、ある日突然警察が礼状をもって訪れて、パソコンを押収し、逮捕されてしまう。自分がやられたら怖い、と考える人が多いだろうけれど、僕はむしろ、自分がやっちまったら怖い、側にいる。となると、片山の動機はやはり知らんぷりは出来ないし、そこでどんな技術が使われていたかも、それなりに気になる。
もっとも、既報の通り、片山はネット上では痕跡を消し去ることに成功しながらも、防犯カメラに映る、というアナログな落とし穴によって逮捕にいたったのであり、また、その自己顕示欲なども含めて、やはり捕まるべくして捕まったのかもしれない。
だが本書がいいたいことは、これだけのページを割きながらも、片山の、この事件の詳細ではなく、やはり報道、警察、司法の硬直ぶりであろう。
もし片山が真犯人でなかったら。すでに何人もの誤認逮捕を出しながら、真犯人らしき人物を見つけた時の、警察やマスコミの浮かれぶり。これだけの詳細の裁判に録音が出来ないという時代錯誤ぶり。
この事件によって初めてわかったことではないが、いわば著者のライフワークでもあり、言わずにはおれなかった、のであろう。この事件が、ある種初めて世の中に訴えたことといえば、誰もが当事者になる可能性がある、ということである。であるなら、報道も警察も司法もまた、あちら側の世界ではない。
むしろ権力はより強まり、独走を許すような制度が固められていっている。
そのときになって狼狽えるのではなく、動かすために何をしたらいいのか。
怒りを飲み込みながら、民衆の一人として考えるのである。 -
Posted by ブクログ
この本が出版されたとき、何故今更この事件をという気持ちがあった。
事件発生から、片山が自供し逮捕されるまでは、テレビや神保氏の運営するインターネットメディア『ビデオニュース』でも長い期間、日々のニュースの上位にあったような記憶がある。神保氏は当初から、大手メディアの興味本位の報道とは違っ視点「司法プロセス」にスタンスをおいて、この事件を追っていた。
簡単にいうと、テレビや新聞は片山祐輔が‘犯人として相当疑わしい’という前提で、視聴者の興味をそそる情報を小出しに流し続けていた印象がある。のに対して、神保氏は警察・検察及び裁判所を含めた一連の司法プロセスの姿を炙り出しながら、これで良いのか?と読者に問いかけていた。
その材料として、読者の‘正義感’に頼るのではなく、国際的な比較や、手続き上の歪みを私たちに提示している。この本の中でも紹介されてあるが、『足利事件』・『袴田事件』司法の歪みがこれだけ明白なのになぜそれらが正されることなく、続き、繰り返されるのか?
この事件での結末を知ってしまっている者が、あえてこの分厚い本を読もうとするとしたら、それはまさに神保氏が訴えたい「結果オーライ」ではない「司法プロセスの実態」を見つめることに興味を感じたか、憤りを感じているかのどちらかなのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
今年の上半期に読んだ中でいちばん良い内容だった。
極度に「自分化」された生活、支払いはあとまわしにして欲しいものを今すぐ手に入れる決済手段を得たことでパワーを増した(ように感じられる)消費者、倫理観なくオンラインで転がされる企業の株式、市場化する政治……
近視眼的で他者を顧みないマネー・ゲーム的社会への警鐘を強く鳴らす1冊。
アメリカについて語られた本だが、日本も同じような道筋をたどりつつあるのではないだろうか。
……と、内容はとても良かったのに、初刷りを読んだらくだらない誤植だらけで実にもったいなかった。脚注のまとめかたも雑。大急ぎでそれこそ「衝動的に」翻訳・出版しないで、じっくり腰を据えて仕上げてほしかった。
2刷以降(出てるのかな)直っていたらいいなー。 -
Posted by ブクログ
私達が普段食べているものには添加剤・保存剤・着色剤等、様々な用途に応じて使われています。私達が毎日食べている、米や小麦等も様々な品種改良がなされています。
遺伝子組み換え食品などがそれに当たりますが、それらを提供している会社、お店は「危険である」という事はできますが、この本の凄いところは、そのようなことを全部解説したうえで、そもそもそれを求めている我々が一番問題あるのでは、という提起をしています。
正にその通りだと思いました。食物にカビが生えたり傷んだら自分の目で選んで処分して以前と比べて、消費者はカビの生えない、傷まない、形の綺麗なものを求めているからこそ、それに対応した結果が今の状況を招いていると気づきました。しっかりとした作り方をした穀物・料理には手間もお金もかかっています。
今まで食べていた量をそのまま、良いモノ安全なモノに置き換えることは経済的な面から難しいですが、幸か不幸か年齢を重ねて必要最低の摂取エネルギーが少なくなってきた今、ダイエットと美味しいモノを食べたい趣味も兼ねて、美味しいモノを少しいただいて満足する、できるように今後の生活を少しずつ見直していこうと思った契機になった本でした。
以下は気になったポイントです。
・現代の食品産業で成功を収めるカギは、食品をほかの消費財のように動かす能力にかかっていると言っても過言ではない。(p23)
・高価な加工食品の販売に頼る食品会社のターゲットは、欧米やアジアの急成長国た対象で、貧しい国は相手にしていない。このため食品価格が半値になり世界全体の食糧供給量も人口一人当たりのカロリー要求量を20%上回っていても、栄養過多とほぼ同数の栄養不良の人がいる(p27)
・大量の肉を生産するためには、飼料生産のためにとてつもない広さの土地が必要になる(p29)
・アウストラロピテクスは、草食に適応していたが、300-240万年前に、地球が寒冷化して乾燥化が進み、ジャングルの中にモザイク状に森林と草地が広がり始め、私達の祖先は木から下りて新たな食糧戦略への変更を余儀なくされた。(p48)
・他の肉食獣が残していった動物の死骸を食べていた、脚の骨や頭蓋骨を石器で砕いて、高カロリーで栄養豊富な骨髄や脳を食べるようになった(p49)
・人類の進化における肉食の本当の意味は、カロリー量ではなく、そこに含まれる栄養素の種類。動物と人間の組織は同じ16種類のアミノ酸を持っているため、動物の肉は植物よりも容易に人の肉に転化される。私達の祖先の体が大きくなった原因のひとつ(p50)
・人類の消化器官はほかの霊長類の60%程度にまで縮小した、消化器官のエネルギー消費が激しいため、消化器官が小さくなるほど、脳に回せるカロリーが増える(p51)
・クロマニヨン人は小型動物を捕まえるために、新たな狩猟技術や武器(弓矢)を発明した、ネアンデルタール人は大型動物を追って絶滅へと向かっていった(p53)
・収穫した穀物は傷みや害虫から守る必要があった、未加工の穀物は肉食に適応した人間の消化器ではほとんど消化できないため、食べやすく、栄養価も高い形に変えて食べる必要があった(p55)
・集中的な食料生産が意味したことは、人類がもっと大きな、もっと人口密度が高い社会で生活す能力を持っているという事である(p57)
・ローマの軍事力の衰退に歩調を合わせるかのように、その食システムが同時に崩壊したのも偶然ではなかった(p58)
・1600年にはすでに、イタリア、フランス、オランダの人口密度が各国の農地で養える限度をこえてしまい、中国やインドもその後を追った(p61)
・大英帝国の最盛期だった1880年、平均的なイギリス人男性の寿命は40年だったのに対して、貧困労働者層のそれは20年だった、これは旧石器時代と同程度(p65)
・土地の肥沃力を回復させるためには、有機肥料と転作という伝統的な方法では、成長の早い新種の作物が栄養素を吸い取る速さに栄養素の補給が追いつかなかくなった(p70)
・1900年までは、農場の総面積の半分くらいが飼料作物や被覆作物の栽培に充てられ、換金作物は残り半分の土地でしか栽培できず制約であった。しかしハーバーボッシュ法を使った窒素を含む化学肥料により穀物生産は爆発的に増加した(p72)
・1900年、平均的なアメリカの家族は世帯収入の約半分を食費に充てていたが、1980年には15%未満となった。食料生産の近代化が人類史上最大の富の転換の一つであることを示す(p77)
・商品価格が下がり続けると、新技術の購入コストや資本を分散させ続けるだけの規模を持たない、小・中規模の農場は押し出され、価格面でのマイナスを量と効率で穴埋めする巨大な工業的農業が参入した(p80)
・ネスレがインスタントコーヒーを考案したのは、消費者が手軽に入れられるコーヒーを望んでいたのではなく、コーヒー豆の価格が安くなりすぎたから(p92)
・1950年には、食品の小売価格の約半分が農家や生産の取り分だったが、2000年にはこれが20%以下となった。生産者の儲けを減らしながら、食品加工業者と食品メーカが付加価値を増して自分の利益を維持した(p95)
・付加価値少なくブランド化の可能性も低い果物、野菜、肉、鶏、魚などは、消費者食糧支出の41%を占めながら、広告費は全体の6%未満(p98)
・ネスレの研究者は、アイスクリームの舌触りが脂肪だけでなく、その脂肪と氷の結晶、砂糖、たんぱく質等との間の化学的な分子配列によって決まることを発見した(p99)
・中国において、西方の州の消費者は香料を多用した肉料理を好む、北京の消費者は、濃い味付けや小麦を主とした食品・塩辛さを示す(p121)
・低価格への執着は、品質と栄養価が低下した食品を次々と生み出したため、お買い得感のある価格設定と、分量のみに依存したものとなった(p129)
・ウォルマートの売り場の床面積の約3分の2は、衣料品等の非食料食品(利幅高い)で占領されているおかげで、食品をさらに低価格で販売可能であった(p133)
・食肉会社は、PSE(色が淡く、組織柔らかく、水っぽい肉)問題に対して、塩とリン酸塩を肉に注入して保水力を高めることで事後対処している。安上がりだけでなく、肉の販売重量を10-30%も増量できる(p155)
・私達の体は、外部のカロリー経済(食料環境)に適応するために、まずそのカロリー経済を体内で構築した。それは、ホルモン・神経物質を駆使して摂取するカロリーと燃やすカロリーを巧みに均衡させる複雑な計算システムであった(p168)
・エネルギーバランス的には、運動量が少し減るだけでも著しい体重増加につながる。アメリカ人の体重増加は、毎日20分も歩けば消費できる、約百キロカロリーというカロリー不均衡がもたらした結果である(p184)
・殆どの糖分は消化器で消化されてブドウ糖に変換されるが、果糖は肝臓に達するまで完全に消化されない。他の果糖よりも脂肪に変換されやすい(p189)
・中国山東省では、温室が増えた分だけ、小麦やトウモロコシを育てられる土地が減少、養豚・養鶏の急成長に呼応してトウモロコシ需要が高騰しているにもかかわらず、1995年以降生産量は20%も減少。中国第二位の生産を誇るが不足のため近隣州から購入している(p211)
・補助金の金額は、地価・種子・肥料などへの投入費の上昇に追いついていないため、生産者の利益マージンは小さくなっていっている(p224)
・アメリカで実際に消費される穀物の量は、アメリカの農家が生産する総量の5分の1にすぎない(p225)
・1998年、韓国・タイ・マレーシア・インドネシア・台湾・フィリピンはIMFへ救済措置を求めたが、IMFは今よりも多くのアメリカ産穀物を買う約束をするまで救済資金は支払われない条件があった(p232)
・先進国の生産者は政府から補助金を受けていたが、開発途上国ではIMFや世界銀行の融資条件によって、補助金は廃止された(p235)
・アメリカや欧州の食肉加工業者が好んでブラジルに進出する理由は、安価な穀物や労働力に加えて、ブラジルに汚水処理の規制がないことが大きな一因である(p240)
・アメリカの補助金は全農業収入の22%、欧州は32%、日本は半分以上である。アメリカの農業生産者は、補助金により生産コストよりも安く(トウモロコシ:27%、小麦:33%、牛乳:39%、砂糖:56%)輸出できる(p244)
・現在、アメリカがトウモロコシと大豆でブラジルに対して比較優位にあるのは、1)優れた農業技術、2)良い道路・線路などの輸送設備、である。アメリカには絞り出せる無駄なコストはないが、ブラジルやアルゼンチンにはまだまだある(p253)
・世界人口の7分の1に当たる約9億人が栄養失調状態にあり、さらにもう1億人が慢性的な微量栄養素不測の状態にある。かつてないほど食料が安く手に入るにも拘わらず、飢餓の人が増えているのは、原題の食経済が破滅に向かっている証拠(p261)
・ケニアを初めとするアフリカ諸国は、補助金を与えて収穫量をふやしていたが、膨れ上がった借金(利息で国内生産の4分の1)のため、それまでの農業計画を放棄して補助金プログラムを中止せざるを得なかった(p270)
・1970年には40歳だったケニアの平均寿命は、1990年代後半には60歳近くまで延びたが、近年は毎年1年ずつ短くなり、今ではまた40歳前後となっている(p303)
・ハンバーガーは各段階で繰り返し混ぜ合わせが起きるため、最終的にできるハンバーガーには、数十頭から数百頭の肉が混ざっている。(p313)
・狂牛病の発生以来、血液・内臓・くず肉をそのまま牛の飼料にまぜることは違法になったが、牛の血液や内臓を、鶏や豚の餌に混ぜることは違法ではない。鶏舎にたまった、鶏の羽、こぼれたトウモロコシなどのゴミを集めて牛のエサにすることは合法である(p321)
・病原性大腸菌は、正式に汚染微生物に指定されているが、サルモネラ菌、リステリア菌をはじめとする病原菌はまだ指定されていない。食品業界のロビー活動のおかげ(p323)
・平均的なアメリカ人は現在、1日9オンス(255グラム)の肉を食べているが、政府が推奨するタンパク質摂取量の4倍であり、肥満上昇率の主要因である(p358)
・牛は体重の60%は食用できない、骨・内臓・皮である。牛肉1ポンドを得るのに、20ポンドの穀物が必要となる。鶏は4.5、豚は7.3である。牛肉消費量が1トン増えれば、飼料需要が20トンふえる(p360)
・開発途上国でも、農業の工業化がすすむと、各国の固有作物や伝統的な作物にかわって、スーパー作物:小麦、トウモロコシ、コメ、大豆が作られるようになる。高収益をもたらしてくれる一方で、それまでに経験したことのない害虫や菌類、ウィルスに晒される(p374)
・肥料、補助金、安価な石油という追い風があったとはいえ、20世紀の気候が安定していなければ、アメリカが穀物大国にならなかっただろう(p386)
・穀物の栽培には、1トン当たり、平均千トンの水が必要となる。農業は人類が使う淡水全体の約4分の3を消費する(p388)
・遺伝子組み換え作物は、除草剤やハイテク農薬、種子の購入が可能な、アメリカ・アルゼンチン・ブラジル・カナダ・中国・南アフリカの6か国でしか栽培されていない(p436)
・合鴨農法は、最終的には、コメ・合鴨・卵・魚、をあわせて販売することができる(p456)
・消費者がオーガニックフードに乗り換えれば、1世帯当たりの食費は31%増加するだろう(p476)
・ソ連は1990年初めに石油や肥料、殺虫剤など、大規模農業に必要な資源を供給していたが、突然止まった。農産物の多くは、すでにキューバ人が作ることをやめている人間用の食物であった。(p499)
・一番のワルは、食品メーカやスーパーマーケットと思いきや、ファーストフードとの戦いをしている。最後の黒幕が、実は私達一般の消費者だというのが、この壮大な物語のオチである(p529)
2016年4月16日作成 -
Posted by ブクログ
「衝動」に支配される世界 ということで、アメリカにおいては金融資本主義が消費者を巻き込み、次々と商品・サービスを購入させてしまう「市場」を政府も取り込み創ってしまった。
古き良き時代の市民・消費者が保有していたキャラクターはパーソナリティへと変質してしまった。
行きつくところまで、社会関係資本は破壊されてしまった。
膨大な選挙資金が必要なアメリカの選挙民主主義。ウォール街に席巻されたしまった政党。
如何ともしがたいようだが、第Ⅲ部で「再びつながり合う社会へ」第9章 私たちはどこへ向かうのか
小さな動きだが、古き良き時代のアメリカに戻そうという諸活動を紹介している。
著者は、明確な方向性は述べていない。
考える主体はアメリカ国民である。
私にすれば起こるべくして起こっている現象だと。
それは、佐伯啓思氏が、一貫して警鐘をならしてくれていたからだ。
「自由とは何か」『「欲望」と資本主義』「自由と民主主義をもうやめる」『新「帝国」アメリカを解剖する』
「大転換」他多数、彼の本を読み続けていたことにより、「衝動」にしはいされることなく淡々と読めました(笑)。 -
Posted by ブクログ
経済合理性を食物まで拡張するとどういうことになるのか、読んでいる間は本当に食欲がなくなった。今の食べ物は安すぎる。
そして、今食べているものが、一体どれだけの犠牲の上に成り立っているのか。生物として、来てはならない状態に来ている気がする。
この問題は、誰が悪い、というものではなく、システムがもたらした結果である。皆、期待効用を最大化する行動をとり、結果として持続的でない状況になった。問題を解消するには、効用の式を変える、つまり価値観を変えるしかない。
この点で筆者はドライである。外部の危機がなければ変わらないだろうと述べている。だがそれではあまりに諦観している。
むしろ、本書で紹介されている古野さんの農法や、それに類する農法を最後の手段として、、皆で本気で取り組みたい。