神保哲生のレビュー一覧

  • 食の終焉

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    広範で綿密な取材から投げかけられる問題提起に、食べるということの価値観や罪深さを突き付けられる。もう一度読み返そう。

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    2012年04月15日
  • IT時代の震災と核被害

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    ルポから思想まで豪華布陣だが、宮台さんの激憤しながらの筆致が鮮やか。『「ファストフードからスローフードへ」と同じく「原子力から自然エネルギーへ」も日本的に勘違いされるでしょう。〈食の共同体自治〉の問題が、食材選択の問題に短絡したように、〈エネルギーの共同体自治〉の問題が、電源選択の問題に短絡するでしょう。(略)原発災害からの学びがその程度で終わってしまうのですか。』pp.384-385. まさにそこなのだ。設計の悪い世論調査と内閣支持率に翻弄されて愚昧な二択に落とし込んではいけない。そこで一般意志2.0の登場なんだろうな。東さんと宮台さんと津田さんは全く方法論が違うけど、震災をきっかけに議論が

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    2012年01月23日
  • DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機~

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    「夢の鎮痛薬」と宣伝されたオピオイド。販売攻勢を仕掛ける標的に、空洞化したアメリカの田舎や山間部を選んでいる。そうした地域に住む、労働事故で怪我をして失業中の人や障害者の認定を受けた人たちの多くは、低所得者用の公的医療補助「メディケイド」の対象となっていたため、ほとんど自己負担なしで処方を受けることが可能だったからだ。その他、アメリカ全土に蔓延していった。

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    2025年04月07日
  • PC遠隔操作事件

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    詳細を記したドキュメント。
    読み終えるまで結構疲れたが、おそらくの全容を知ることができ、改めてこの世界の危うさ、警察の対応など、怖さを実感する図書でした。

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    2022年04月05日
  • PC遠隔操作事件

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    2000年代小泉政権で「構造改革路線」を提唱。
    なんでも政府が面倒を見てくれる日本従来の護送船団方式から新自由主義路線、つまり自己責任の社会へ政策転換された。
    終身雇用、学歴、結婚、を通じて安定した居場所を提供してくれていた社会が壊れ、自分で自分の居場所を見つけなければならなくなった。
    「誰かに自分の存在を認めてもらわないと不安でたまらない」という強い「承認欲求」を持つ状況が生まれた。
    そこにその心の穴を埋めてくれる理想的なツールとして登場したのがインターネットだった。
    リアルの世界で悩み、ここに現実逃避した人々がバーチャルの世界に入っていく。
    ということか?
    とすればまだまだこういう輩が出て

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    2019年08月01日
  • 食の終焉

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    1.最近海外の農業形態について読むことが減ったので購入しました。

    2.キーワードとなるのはグローバル企業による搾取と消費者の気づきの2つです。経済効率を優先する社会を作りあげたのは両者であると著者は述べています。食料を商品としてしまい、大切なこたを見失ってしまっているのが現代の食経済の悪い部分で、どのように悪いのかを調査によって述べてくれている本です。

    3.大方の予想通りの内容でしたが、読み応えがある本でした。
    食料増産による人口増加という悪循環やグローバル企業によって搾取と利益を受ける立場の人間という複雑に絡んだ状況が現代を取り巻く環境の事実なので、消費者側は、なにが自分に出来るのかを

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    2019年04月14日
  • 食の終焉

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     取り上げられている個々の事象はある程度知っているつもりだったが、それらがこんな風に繋がっているという提示に驚いた。サプライ・チェーンならぬ「サプライズ・チェーン」。

     訳者解説の「食を見ればグローバリゼーションの本質が見える」が本書を端的に表している。

     地球上を網羅する巨大資本のサプライチェーンは大規模小売店に食材を豊かに溢れさせながら、反面、再生産能力に限りのある大地からの強引な搾取と化している。「もっと大量に、もっと安く」を目指す、生物としての本来能力を超えた食物の無理な大量生産は、土壌の疲弊、化学合成品の混入、環境汚染、耐性細菌の拡散、遺伝子組み換え作物同士の意図せぬ交配の危険

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    2018年11月04日
  • 反グローバリゼーションとポピュリズム~「トランプ化」する世界 マル激トーク・オン・ディマンドvol. 11~

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    ネタバレ

    トランプ大統領の誕生は、米国における白人のマイノリティ転落に対する恐怖(白人によるアイデンティティ・ポリティクスの行使)、急速なグローバル化やインターネットの登場による中間層の没落(豊かだったものが貧しくなったという感覚、インタネットの登場による生活様式の共有への不信)といったより大きな問題を表象しているに過ぎない。こうした社会の流れや急速な変動への揺り戻し、(移民に対して非同化政策を採ったことに起因する)共有できる敵を常に必要とする従来のアメリカン・ウェイという観点から、トランプ政権が徹底して自国第一主義に走ることは当然の予想である。政治的正当性への不信も含めた民主主義の劣化、享楽化(ポスト

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    2018年07月08日
  • 暴君誕生―――私たちの民主主義が壊れるまでに起こったことのすべて

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    面白かった。著者は雑誌(ローリングストーン』で長く人気のコラムを担当しているジャーナリストだそうだが、皮肉の効いた筆致で、それを日本語に訳した訳者の表現もこなれていて読んでいて苦笑すること多数。
    本書は後付けのトランプ論ではなく、大統領選〜当選後まで、その時々に書いていた長編コラムの再編集版らしいので、まさにリアルタイムで当時の雰囲気が少なくとも著者の目を通した形で窺え、とても興味深い。(実際、著者は選挙戦の終盤近くまで「それでもさすがにトランプにはならないだろう」というスタンスで見ていたようなので尚更)
    トランプ現象とは何だったのか?何なのか?アメリカ人の目から見た肌感覚の一端がリアルに感じ

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    2018年02月17日
  • PC遠隔操作事件

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    他人事の世界を、自分のところに引き寄せる。
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    もう多くの人が忘れているのではないか、というPC遠隔操作事件。
    550ページ超の大作であり、その多くが事件の顛末を追っているのだが、つまるところ、本書が語るべきことは2つだろう。

    ひとつは、真犯人とされる男(片山)は、なぜこんな事件を起こしたのか。
    もうひとつは、この事件によって露呈した報道や警察・司法のあり方、である。

    まったく見に覚えがないのに、ある日突然警察が礼状をもって訪れて、パソコンを押収し、逮捕されてしまう。自分がやられたら怖い、と考える人が多いだろうけれど、僕はむしろ、自分がやっちまったら怖い、側にいる。となると、

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    2022年06月01日
  • PC遠隔操作事件

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    知っているようで知らなかった事件。500頁超の大作でよく調査されていることには敬意を表したいです。ただ、同じことを何度も繰り返し述べている部分が多すぎて余りにも冗長でノンフィクション作品の出来としては今ひとつ。色々な問題提起がされているが提起して終わっているのも残念(そもそも他メディアは問題があることすら忘却の彼方なので提起だけでも特筆ものだが)。筆者の考える今後のネット犯罪の対処方法まで踏み込んで書いて欲しかった。11章の動機部分が醍醐味。10章まではプロローグで、150頁程度にまとめられると思うなあ。力作なだけに残念。

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    2017年08月01日
  • PC遠隔操作事件

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    この本が出版されたとき、何故今更この事件をという気持ちがあった。
    事件発生から、片山が自供し逮捕されるまでは、テレビや神保氏の運営するインターネットメディア『ビデオニュース』でも長い期間、日々のニュースの上位にあったような記憶がある。神保氏は当初から、大手メディアの興味本位の報道とは違っ視点「司法プロセス」にスタンスをおいて、この事件を追っていた。
    簡単にいうと、テレビや新聞は片山祐輔が‘犯人として相当疑わしい’という前提で、視聴者の興味をそそる情報を小出しに流し続けていた印象がある。のに対して、神保氏は警察・検察及び裁判所を含めた一連の司法プロセスの姿を炙り出しながら、これで良いのか?と読

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    2017年07月18日
  • 「衝動」に支配される世界

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    今年の上半期に読んだ中でいちばん良い内容だった。

    極度に「自分化」された生活、支払いはあとまわしにして欲しいものを今すぐ手に入れる決済手段を得たことでパワーを増した(ように感じられる)消費者、倫理観なくオンラインで転がされる企業の株式、市場化する政治……
    近視眼的で他者を顧みないマネー・ゲーム的社会への警鐘を強く鳴らす1冊。
    アメリカについて語られた本だが、日本も同じような道筋をたどりつつあるのではないだろうか。

    ……と、内容はとても良かったのに、初刷りを読んだらくだらない誤植だらけで実にもったいなかった。脚注のまとめかたも雑。大急ぎでそれこそ「衝動的に」翻訳・出版しないで、じっくり腰を据

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    2016年05月30日
  • 食の終焉

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    私達が普段食べているものには添加剤・保存剤・着色剤等、様々な用途に応じて使われています。私達が毎日食べている、米や小麦等も様々な品種改良がなされています。

    遺伝子組み換え食品などがそれに当たりますが、それらを提供している会社、お店は「危険である」という事はできますが、この本の凄いところは、そのようなことを全部解説したうえで、そもそもそれを求めている我々が一番問題あるのでは、という提起をしています。

    正にその通りだと思いました。食物にカビが生えたり傷んだら自分の目で選んで処分して以前と比べて、消費者はカビの生えない、傷まない、形の綺麗なものを求めているからこそ、それに対応した結果が今の状況を

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    2016年06月19日
  • 「衝動」に支配される世界

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    「衝動」に支配される世界 ということで、アメリカにおいては金融資本主義が消費者を巻き込み、次々と商品・サービスを購入させてしまう「市場」を政府も取り込み創ってしまった。
    古き良き時代の市民・消費者が保有していたキャラクターはパーソナリティへと変質してしまった。
    行きつくところまで、社会関係資本は破壊されてしまった。
    膨大な選挙資金が必要なアメリカの選挙民主主義。ウォール街に席巻されたしまった政党。
    如何ともしがたいようだが、第Ⅲ部で「再びつながり合う社会へ」第9章 私たちはどこへ向かうのか
    小さな動きだが、古き良き時代のアメリカに戻そうという諸活動を紹介している。
    著者は、明確な方向性は述べて

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    2015年11月08日
  • 食の終焉

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    食の工業化、遺伝子組換え食品、土壌流出、ジャンクフードなど米国が抱える問題を中心に食システムの問題点を解き明かしていく名著。
    数年前の邦訳された本なのだがドル円が76円くらいで一々計算されていてテーマ内容とは別に絶望的な気分になる。ドルはドル表記だけにした方が無難ですな。

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    2015年07月01日
  • 食の終焉

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    経済合理性を食物まで拡張するとどういうことになるのか、読んでいる間は本当に食欲がなくなった。今の食べ物は安すぎる。
    そして、今食べているものが、一体どれだけの犠牲の上に成り立っているのか。生物として、来てはならない状態に来ている気がする。
    この問題は、誰が悪い、というものではなく、システムがもたらした結果である。皆、期待効用を最大化する行動をとり、結果として持続的でない状況になった。問題を解消するには、効用の式を変える、つまり価値観を変えるしかない。
    この点で筆者はドライである。外部の危機がなければ変わらないだろうと述べている。だがそれではあまりに諦観している。
    むしろ、本書で紹介されている古

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    2014年05月30日
  • 食の終焉

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    究極的には、
    自分自身の食管理を
    自分自身の手に取り戻す事だ。

    森に移り住んでナッツやベリーを食べる生活を提唱しているわけでもない。
    産業化以前の食経済を目指すべきではない。

    食生産を他者に任せたことや
    食べるものの特性や優先事項を
    遠く離れた経済モデルによって決められてもかまわないと思ったがゆえに、食の衰退を加速させ、人生にとって重要な何かを失ったのではないか。

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    2013年08月13日
  • 増税は誰のためか

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    身近な税金である消費税。この税率アップが妥当かを旧財務官僚や経済学者等が分析している。
    消費税の増税をめぐる議論の中で、政治をいかに私達が、政府に丸投げしていたか気付かされた。

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    2013年02月06日
  • 食の終焉

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    500ページ以上の超盛り沢山&濃い内容。スーパーには当たり前ように食材が溢れているけど、それが簡単に崩れ去る日が来る可能性が高いことを実感。

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    2012年09月29日