神保哲生のレビュー一覧
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6人の論客が日本の問題点を明らかにする。
275ページの新書に6つの論文。
1人40-50ページと短い文章だが、
その中に鋭い視点を見た。
一番鋭いと思ったのは中島岳志氏。
「保守とリベラル」という対立軸に、新しい視点をもたらした。
「リベラルとパターナル」がそれ。
パターナルとは、家父長的、権威主義的。
そこにリスクの社会化、リスクの個人化という軸を合わせ、
4象限で自民党の政策の変遷を分析する。
田中大平のころの自民党はリスクの社会化+リベラルだった、
それが小泉で個人化、リベラルとなり、
安倍で個人化、パターナルとなったと。
自民は時代とともに鵺のように変遷していると。
ちなみに「民主 -
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(2012/7/10)
神保 哲生, 宮台 真司, 神野 直彦, 高橋 洋一, 野口 悠紀雄, 波頭 亮, 大野 更紗, 武田 徹
「日本の財政再建のためには消費税増税はやむを得ない」という輩が増えている。
お叱りを受けるかもしれないが、私はこれは官報複合体のなせる業だと思っている。
記者クラブメディアはいつの間にか増税やむなしを連発しており、
その記事の、放送時間の量に従って、増税やむなしが増えている。
物わかりがいいというかなんというか。
本当に国を憂いているのか、生活にゆとりがあるのか、増税デメリットがある立場にいるのか、、、
その真意はわからないが、そういう方々にはまずこの本を読んで -
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(2012/7/3)
ビデオジャーナリストでネットで鋭く世相をえぐる神保哲生氏が、
本当は自らが書きたかったテーマをポールロバーツにしっかり分析の上書かれてしまい、
仕方なく?翻訳をしたという本。
大著だがなかなか興味深かった。
出だしは人類における「食」の歴史。
肉食から始まり、植物を育てることを覚え、、、、
興味深く読み始めた。
マルサスの人口論。
やがてネスレが、ウォルマートが、マクドナルドが出てきて、
何やら食がシステム化され、暗雲がたちこめる。
補助金。
肥満ばかりのアメリカ人。
干ばつ、食中毒、鳥インフルエンザ。
なぜそうなっていったか。
500ページの大著でそれを記している。
食 -
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一つの事件をあらゆる視点で深く考察すると、こんなにも色んなテーマが出てくるのかと。新聞を浅く広く浚うような読み方をするのではなく、こうして掘り下げる事の意味を改めて感じた。
ウイルスで仕込まれた遠隔操作ツールにより、他人のパソコンから爆破予告や殺害予告を発信。その後、警察をおちょくるように、謎解きを仕掛け、江ノ島の猫の首輪にSDカードを貼り付けた男。確たる証拠を上げられず逮捕出来ぬままに、日々ニュースで放映されていた事を思い出す。2012年頃からの事件、あれから、10年が経つ。
ハイジャック防止法も適用され、再犯加重、併合罪を加味して実刑、懲役8年。ただの愉快犯にしては厳しい気もするが、他 -
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2020/10/06社会学のレンジの広さ 神保哲生氏・宮台真司氏
社会学者哲学者の視点は大きい
経済学は科学の装いーその代償に矮小化
アダムスミスは道徳哲学者
道徳感情論 同感能力が社会構成人に備る
国富論 神の見えざる手
経済学には市場の外部性の前提がある
社会学では経済学の主流争いは無意味=前提の違いだけ
日本社会の問題 中枢が空 空気・天皇
→「公」の概念がない
既得権益のシフトができない 社会のダイナミズムない
政治力=ゲバルトが機能せず 行政官寮に大ボス不在
コロナ・デフレの「大問題」には対応不能
グローバリズムの中で、市場主義に対抗して
「社会的共通資本」宇沢弘文・岩井 -
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【告白と沈黙の狭間で】殺人や航空機に対するテロの予告により,社会的に大きな注目を浴びたPC遠隔操作事件。この事件の全内幕を明らかにすることにより,現代の捜査制度や司法が抱える問題に深く迫った作品です。著者は,日本初のニュース専門インターネット放送局の設立者でもある神保哲生。
こういうニュースがあったなというのは覚えていたんですが,ここまで多角的に,かつ根幹的に現代司法の問題に切り込むことが求められる事件であったとは思いもよりませんでした。「なぜ今更この事件のことを?」と思われた方(=自分もそうでした)にはぜひ手にとっていただきたい一冊です。
〜今回の事件で一つだけはっきりしていることは,サ -
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パソコンを遠隔操作されて、何も悪いことしてないのに警察に逮捕された人たちが、致命的な被害を被っている。
警察がリークした情報を、記者クラブの飼い犬たちが、ろくに検証もしないまま、被疑者の実名まで晒して、ただただ間違った情報を垂れ流したために。
中でも、明治大学を退学に追い込まれた大学生や、仕事が忙しい真っ最中なのに犯人扱いされて多大な被害を負ったアニメーションの作家など、ほんとうにお気の毒だ。
無実の被疑者が、絶対に知るはずの無い、犯罪に使われたハンドルネームを、警察からムリヤリ自白させられている事実には笑った。
つまり、警察は、被疑者を、拷問してムリヤリ自白させたうえで、好き勝手に調書をデ -
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ネタバレ風化同然の当事件に様々な課題を見出して、このタイミングでの出版は評価に値するかと。
ただ、同じことの繰り返しは、本は戻って確認できる媒体なので、勘弁して欲しいものです。
片山氏が精神科を受診していたようですが、精神科医の存在意義に疑問を感じました。
検察、警察、裁判所、マスコミとみんなノーリスクだからやり放題なんですよね。野球で例えると、攻撃時は三振無し、守備時は四死球無しな感じで。
「社会的制裁」として量刑算定に斟酌するほどなのに、無罪判決時になんの賠償責任も無いのが通例ですし。
で、こんな刑事司法を放置する国会議員にどれほどの存在価値があるのかと。
ちょっと調べたら、村木厚子氏の証拠捏造事 -
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ネタバレ食とグローバリゼーションについて書いた大著。
500頁を越えるのに読みやすいのも良い。訳がいい。
自分の食べているものがどこで生産され、どこからやって来るのか?
自分はあまりにもそれに対して無知だったと思わざるをえない内容だった。
同時に自分がなにも生産せず、生産できず、貨幣との交換を通じてしか生きる糧を得られない存在なのだと実感した。
また「食」のほうも、いかにして貨幣と交換できるようにするか?つまり商品化の一途を辿ってきた。本書では「今や食品は、どんな高級食品でもただの一商品にすぎなくなり、これが価格の下落に拍車をかけてきたが、この傾向はその一方で、目に見えないコストも発生させて -
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読んでると暗ーい気持ちになる重たい一冊です。
現代の食システムはどんどん巨大なサプライチェーンがふくらみ慣性がついて抜け出せなくなる一方で効率とは裏腹に脆弱になっている。
生鮮食料品だけでなく冷凍食品もは0−157やサルモネラ菌の混入を防ぐことはできず、最後に消費者が適切な調理をするかどうかにかかっている一方で外食も含めて料理はインスタト化する。元々Oー157は胃酸で死ぬあまり問題の無い菌だったのが牛を早くするために餌が牧草から穀物に変わったことにより耐酸性の菌が生まれた。
食肉の解体も機械化され効率化されるが個体差によってうまく処理できず内蔵が混ざることで大腸菌などに汚染される。鶏も胸肉 -
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食システムの危機をいかにして乗り越えるべきか?
筆者は、食そのものは本質的に経済活動でない、としている。しかし今や、食が資本主義経済に取り込まれてしまい、さらにはグローバル化してしまっている。資本主義的な市場システムのもとで作動する食システム(食の生産から消費までの全体像)は、確かに効率的になり、より多くの食料を生産・消費することに成功してきた。しかし、それは資源の過剰消費や、外部コストの発散によってなされたものだ(これは単純な需要―供給モデルでは分からない)。従って、現在の食システムは全く持続可能的ではない。何かしらの「想定外」(大型ハリケーン、鳥インフルエンザ、石油産出諸国の政治動乱…) -
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経済のグローバル化がもたらした、食の危機的状況をレポートした本。
消費者としては、世界中から一番安いものが供給される巨大サプライチェーンの恩恵を享受しているわけだが、その安さを実現するために農場から食品メーカーまで大変なことになっている。その付けは、最終的には商品を選択した消費者に回ってくるわけだが。
食料自給率の低い日本にとって、今は何とか食料を確保できているが、産地が集約化されつつある現在、そこが不作だった場合、自国民を犠牲にしてまで輸出してくれるわけはなく、市況も高騰し、また円安に振れるリスクもあり、TPPがどうのこうの言っている場合ではない。そのような事態にも対処できるよう農業政策のビ -
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ネタバレ圧倒的な取材力のもとに、現在の「食」をめぐる様々な事象に多角的かつ深く切り込んだ本。
かなり読み応えのある本。
内容も濃いし、政治的な議題に関しても双方の意見を出して偏りをなくしつつ、自分のスタンスをきっちり表明できているのは見事。
悲観的な予想が並ぶけど、それが的外れかと言えばそうではなく、むしろ現実に即しているように思える。
その悲観的なシナリオを後押しする食のサプライチェーンでは、訳者の言葉にもあったけど、結局は「消費者」という実態の掴みにくい大きなモノが支配してるんやなーと実感。
ここでも「システム」の大きさに圧倒される。
やっぱりフードシステムの変換を促すのは、消費者一人一人の自覚 -
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破綻に向かう現代の「食」について書き上げた大著。
人類の食の歴史から、現代の食はいかにいて築かれてきたか、何が問題になっているのか、これからどんな問題がやってこようとしているのか、未来はあるのか。最悪のシナリオは?
著者は結局のところ「あるべき姿を考えた結果」ではなく、「緊急事態への対処」を繰り返した結果にしか期待できないのではないかと述べる。それは、解説で訳者である神保哲生さんが言うように色んな問題をずっと辿っていくと、最後には自分自身を見つけてしまうから。そしてそのことを自覚し、食を自分の手に取り戻すことからしか始められない。
3.11のあと、スーパーに何もないような毎日が少しの間、あっ