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高度な食料経済の構築により、農産物や食肉、加工食品を一年中どこでも買えるようになった。しかし、低コスト・大量生産モデルを世界的規模に拡大することで、私たちはその恩恵だけでなく、負の要素も世界中に広めてしまった。その負の要素とは何か、このシステムは持続可能なのか、膨大な取材をもとに明らかにする。
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Posted by ブクログ
食のグローバル経済の光と影を描いた作品である。世界をつなぐ食のサプライチェーン、ジャストシステム方式、農地を耕して食肉を育てるための牧草地を広げたり、畑を広げ過ぎて、病原菌と交差したり、遺伝子組み換え、有機農業まで、膨大な資料を調べて、整理しつくしたこの著書は貴重な資料文献と言っていい。2012年の...続きを読む作品だが、今も通ずる。 単純に人口が増えるに見合う食の増産を可能にするために、食のグローバル化がもたらした未来の悲劇を予想するだけでなく、限界がありながら、それを止められない現実、そして対案も限られてしまう現状を冷徹な筆致で描く。
(2012/7/3) ビデオジャーナリストでネットで鋭く世相をえぐる神保哲生氏が、 本当は自らが書きたかったテーマをポールロバーツにしっかり分析の上書かれてしまい、 仕方なく?翻訳をしたという本。 大著だがなかなか興味深かった。 出だしは人類における「食」の歴史。 肉食から始まり、植物を育てることを...続きを読む覚え、、、、 興味深く読み始めた。 マルサスの人口論。 やがてネスレが、ウォルマートが、マクドナルドが出てきて、 何やら食がシステム化され、暗雲がたちこめる。 補助金。 肥満ばかりのアメリカ人。 干ばつ、食中毒、鳥インフルエンザ。 なぜそうなっていったか。 500ページの大著でそれを記している。 食をこんなにした巨悪は「人間」。 一人一人の食生活が、安い食を求め、 ビジネスがそれを追求した結果、 こんな世の中になったという。 秀逸なのはエピローグののこの文章ではないか。 勝手に引用させていただく。 そこで私たちが目にするものは、来る日も来る日も、より新鮮でより多種多様な商品を、 市場の要求に応えて少しでも安く供給するために限界まで働き続ける巨大システムの姿だ。 それはたとえば、まったく同じ外見をした動物が何千頭も替われている飼育場や、 同じ植物が何エーカーもの土地を埋め尽くす広大な工場式農場。 農場に流れ込んではこぼれ出す大量の資料や肥料、 アトラジンやラウンドアップなどの農業用化学物質。 浸食が進む土壌、農薬体制を持つ害虫。 森が農地に変わり、農地がショッピングセンターに変わる姿。 低下する地下水面を追いかけるようにますます深く掘られる灌漑用井戸、 低賃金の労働力を求めてどこまでも伸びる貨物用航空路。 低い利益率や少ない在庫、そして時間当たりの処理能力の要求レベルがどんどん上がり、 失敗の余地がなくなっていく中で、細く長く伸びていくサプライチェーン・・・・ 引用終わり 最悪な事態はアジアで起こると予想している。 爆発的な人口増、さらに経済発展。 無理に無理を重ねて、鳥インフルや干ばつにやられるというのかもしれない。 なるべくまっとうな食事をとりたいが、昼が外食になれば、少しでも安くてボリュームのある食を求めているのは このブログからもばれている。 考えねば。 目次 プロローグ 食経済が抱える矛盾 破綻の兆候 限界を迎える食料生産能力 航図なき食の未来 本書について 第1部 食システムの起源と発達 第1章 豊かさの飽くなき追求 食の起源 農業と文明の始まり マルサスの予言 人口増加と食のグローバリズム 化学肥料の登場 アグリカルチャーからアグリビジネスへ 食料生産の近代化が変える社会 勝利の代償 第2章 すべては利便性のために ネスレの戦略 付加価値による差別化 市場を支える新製品 フレックス・イーティングがもたらす変化 添加物が可能にした大量生産 外食産業との戦い ブランド価値の下落 成長の可能性を秘める新興市場 第3章 より良く、より多く、より安く スーパーマーケットの反乱 小売業界を変革したウォルマートの功績 農作物に見るサプライチェーンの変革 鶏肉産業の犠牲者 一極集中化する食肉産業 畜産効率化の副作用 淘汰の果てに待つもの 第4章 暴走する食システムと体重計の目盛り 肥満化する人類 体重増加が招く健康リスク 自然進化の終点 大量摂取される高カロリー原料 スーパーサイズ化戦略 洗脳される消費者 大量低価格システムの副作用 第2部 食システムの抱える問題 第5章 誰が中国を養うのか 比較優位の原則 国家安全のための農業保護政策 自由化への転換とその失敗 制度化された過剰生産 中国農業の脅威 食の力関係を変えたワシントン・コンセンサス 多国籍企業のための食料貿易の自由化 食料貿易の自由化がもたらすリスク 「自由」を管理するアメリカの事情 中国という爆弾 新参国を育てる中国需要 激変する食糧市場のパワーバランス 第6章 飽食と飢餓の狭間で アフリカの農業生産者の憂鬱 中南米、アジアを発展させた「緑の革命」 アフリカの誤算 原因は土壌有機物の枯渇 コーヒー豆に見る過剰供給構造 輸出先導型農業の限界 広がる大規模農家と小規模農家の格差 自由化された食経済に伴うリスク 食料安全保障システムの崩壊 第7章 病原菌という時限爆弾 高まる汚染食品の拡散リスク 環境に鍛えられ毒性を増す病原菌 病原菌への政府の対応 HACCPシステムの限界 消費者頼みの病原菌対策 止められない汚染経路 困難な生鮮野菜の殺菌 自主規制のコストパフォーマンス 鳥インフルエンザの恐怖 大流行のXデー 安全より圧力で解決を図る中国 第8章 肉、その罪深きもの 飼料となる穀物生産の限界 飼料効率化の限界 増え続ける世界の食肉消費量 鈍化する収穫量 肥料の原材料と土地の不足 土中窒素の流出問題 農薬という麻薬 外部費用の顕在化 石油の限界が意味するもの 地球温暖化がもたらすリスク 深刻化する水資源不足 間近に迫る破たんのXデー 第3部 食システムの未来 第9章 遺伝子組み換えかオーガニックか 遺伝子革命の誕生 旧来型品種改良の限界 社会的要素としてのオルタナティブ農業 オーガニック産業と遺伝子組み換え支持者の戦い 遺伝子組み換え商品は安全か? 種子の特許保護と種子産業の統合 遺伝子組み換えでは解決できない開発途上国の問題 工業農業化するオーガニック農業 農業への新しい考え方が未来を変える 第10章 新しい食システムを求めて 持続可能な食システムへの乗り換えに必要なもの 古野の循環式生産モデル 複合農業回帰を阻むもの 持続的農業の成功例 脱「仲介業者」の成功条件 地産池消のメリット・デメリット 消費者心理というハードル 食料政策の現実 助成金の功罪と食の未来 エピローグ Xデー キューバの成功 地域重視の食システム 青の革命 肉の需要を減らせるか 「食」を自分の手に 訳者解説 原註 参考文献
人類のあるべき姿を現在の食のグローバル化に投影すると、かなりヤバい状況なことを思い知らされる。著者はそれでもこの危機的状況を乗り切る術はあると楽観的だが、根本的な部分で人類が進化しないといけないようにも思う。
読んでると暗ーい気持ちになる重たい一冊です。 現代の食システムはどんどん巨大なサプライチェーンがふくらみ慣性がついて抜け出せなくなる一方で効率とは裏腹に脆弱になっている。 生鮮食料品だけでなく冷凍食品もは0−157やサルモネラ菌の混入を防ぐことはできず、最後に消費者が適切な調理をするかどうかにかか...続きを読むっている一方で外食も含めて料理はインスタト化する。元々Oー157は胃酸で死ぬあまり問題の無い菌だったのが牛を早くするために餌が牧草から穀物に変わったことにより耐酸性の菌が生まれた。 食肉の解体も機械化され効率化されるが個体差によってうまく処理できず内蔵が混ざることで大腸菌などに汚染される。鶏も胸肉が好まれるため胸筋が早く発達するように改良される一方親鳥まではまともに成長できなくなっている。それでもこれは世界中が肉を求めた結果だ。100億人に人口が増え世界がイタリア並に肉を食べたとするとそれを支える穀物を作る農地は残っていない。中国の鶏や豚の生産を支えているのはアメリカ、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、オーストラリアとわずか5カ国から輸出されるトウモロコシなどの穀物で中国のCPIに占める豚肉価格の影響と必死でインフレを抑える中国政府の努力を見ていると例え肉の消費を抑えるのが唯一の解だとしても実行は難しいだろう。「誰が中国を養うのか」が第5章のタイトルだ。 10億人の飢餓人口がいる一方で10億人が肥満に苦しむ。肥満は比較的低所得者層で増えるのは安くカロリーを得る手段がファストフードやスナック菓子だからだ。スナック菓子は比較的利益率が高く消費者の好みに合わせて創られている。例えば単純に消費者を満足させる手段は糖分、塩分、脂肪分などを増やすこと。糖分は知らないうちにあらゆる加工食品に増やされている。 エネルギーや水の不足も大きな問題で例えば緑の革命で遺伝子組み換え植物は生産性の向上をもたらしたがそのために大規模な灌漑のため利用できる地下水は減り続けている。また肥料を撒いても養分は土壌にとどまらず表土は流出し農薬と肥料はもはや使わずに生産量を維持できなくなる。 利益を上げるために農場は大規模化し単一食物に走る。農家にコストダウンを迫る食品会社も同様にウォルマートの様なスーパーマーケットからのコストダウン要求にさらされる。ちなみにウォルマートのコストダウンの最も大きな物は安い給料で働く移民など人件費による物らしい。スーパーマーケットはマクドナルドなどのファストフードとの安売り競争にさらされ、結局はより安く、より豊富でな食品を求める消費者がこの巨大なサプライチェーンを生み出したと言える。しかしこの巨大な食システムは例えば天候の不順やエネルギー価格、食中毒から鶏インフル、狂牛病等何か一つ狂うだけで大きなダメージを受ける。タイの洪水で歯車が狂ったジャストインタイム方式を連想してしまった。 遺伝子組み換え技術や有機農法なども今の所は充分な解決策にはなっていない。特定の農薬に強かったり病気に強い遺伝子組み換え作物は作れても収穫を増やすにはもう限界が有る。小規模な有機農法と消費者を直結した取り組みで成功した例はある物の規模の限界を超える答えにはなっていない。どうも日常的に肉を食べるのをあきらめるしか答えが無さそうなのだがそんなことができるのか?
食システムの危機をいかにして乗り越えるべきか? 筆者は、食そのものは本質的に経済活動でない、としている。しかし今や、食が資本主義経済に取り込まれてしまい、さらにはグローバル化してしまっている。資本主義的な市場システムのもとで作動する食システム(食の生産から消費までの全体像)は、確かに効率的になり、...続きを読むより多くの食料を生産・消費することに成功してきた。しかし、それは資源の過剰消費や、外部コストの発散によってなされたものだ(これは単純な需要―供給モデルでは分からない)。従って、現在の食システムは全く持続可能的ではない。何かしらの「想定外」(大型ハリケーン、鳥インフルエンザ、石油産出諸国の政治動乱…)が起これば、すぐにでも大打撃を受ける。仮にそれらの擾乱がなくとも、いずれ資源が底をつき、食システムは成立しなくなる。 では、悪いのは誰なのか? 本書では、生産者、加工業者、流通(小売)業界、国家のすべてを調査の対象としている。ここから分かるのは、どこもかしこも問題だらけだということだ。大農場も悪いし、ネスレも、マクドナルドも、ウォルマートも、政治家もとんでもない大悪である。だったら改革しろ!でなきゃ潰せ!と息巻きたくもなる。ところが、それでは解決にならない。 そもそも、これらが激しい競争を推し進めているのはなぜだろうか?それは、消費者のせいである。そして究極的には、われわれ一人一人の問題なのである。競争を勝ち進めるために、分業と大規模化を進めざるを得ない。それはまさに、経済の法則に飲み込まれ、それに従っているだけの存在である。消費者が今と同じ効用の最大化(腹いっぱい旨いもの、特に肉を食いたい!)を期待している限り、企業は経済法則から逃れられないのである。
膨大なインタビュー、事実を基に世界の食糧、農業に関する問題についてまとめた良著。もっとも俯瞰的に諸問題を理解し、今後世界が進む方向性について考える上での必読図書
経済のグローバル化がもたらした、食の危機的状況をレポートした本。 消費者としては、世界中から一番安いものが供給される巨大サプライチェーンの恩恵を享受しているわけだが、その安さを実現するために農場から食品メーカーまで大変なことになっている。その付けは、最終的には商品を選択した消費者に回ってくるわけだが...続きを読む。 食料自給率の低い日本にとって、今は何とか食料を確保できているが、産地が集約化されつつある現在、そこが不作だった場合、自国民を犠牲にしてまで輸出してくれるわけはなく、市況も高騰し、また円安に振れるリスクもあり、TPPがどうのこうの言っている場合ではない。そのような事態にも対処できるよう農業政策のビジョンが必要。 また食品の中身についても、安全・安心なものを実現するには、それなりにコストがかかることを理解し、商品を選択していく必要がある。消費者も勉強が必要と思う。
破綻に向かう現代の「食」について書き上げた大著。 人類の食の歴史から、現代の食はいかにいて築かれてきたか、何が問題になっているのか、これからどんな問題がやってこようとしているのか、未来はあるのか。最悪のシナリオは? 著者は結局のところ「あるべき姿を考えた結果」ではなく、「緊急事態への対処」を繰り返し...続きを読むた結果にしか期待できないのではないかと述べる。それは、解説で訳者である神保哲生さんが言うように色んな問題をずっと辿っていくと、最後には自分自身を見つけてしまうから。そしてそのことを自覚し、食を自分の手に取り戻すことからしか始められない。 3.11のあと、スーパーに何もないような毎日が少しの間、あった。いま自分がスーパーに行って食材を選べる、外食はお金さえあればできる、そんな環境がものすごく薄い氷面でしかないことを突きつける、こわーい本。
読み応え満点!なだけに読むのにチョット苦労した。訳者・神保さんのあとがきを読めば大まかな本の内容はつかめるかも。
広範で綿密な取材から投げかけられる問題提起に、食べるということの価値観や罪深さを突き付けられる。もう一度読み返そう。
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