池谷裕二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
脳科学に楽しい!なんか人に話したくなる内容がたくさん書かれていてワクワクしながら読めた。
①HMという重度のてんかん発作の持ち主がいた。彼のてんかんは海馬から始まっていたことが分かったので取り除く手術が行われ無事に成功した。しかし記憶障害が残ってしまい、「毎日がその日一日で終わってしまう。どんなに楽しいことがあっても後には残らず、いつも夢から覚めたときのよう」と語っている。このことから海馬は記憶を司る場所ということが分かる。
②神経回路は電線のような連続体ではなく、線維と線維の間は途切れている。線維を伝わってきた活動電位は、その境目で次の神経細胞へ乗り継ぎをしなければいけない。その乗換駅のことをシナプスという。
③神経回路を走り回る情報は活動電位。活動電位はシナプスを飛び越えることができないため、いったん神経伝達物質という化学信号に翻訳される。シナプスは電気信号→化学信号→電気信号という変換を行う小さな工場。
④アメリカ初代大統領を知らない状態と知っている状態がある。この変化は生まれてからいままでのあるときのきっかけによって引き起こされている。ここ両者の状態を移行するとき、脳になんらかの変化が起こっている。つまり脳には、あるきっかけにしたごって変化を起こし、この変化を保ち続けるという性質がある。これを脳の可塑性と呼ぶ。
⑤もし見えているものをすべてもれなく記憶してしまうと、脳のメモリーはすぐに満杯になってしまう。記憶すべきものとそうでないものをきちんと選択することが、限られた容量を利用するための最低条件。シナプスには閾値(いきち)という記憶するために必要な最小の刺激量が設定され、それを超えた強い信号のみ選抜して記憶している。
⑥シナプスの可塑性を発見した研究者は、海馬歯状回のシナプスを高い周波数で刺激すると、シナプス伝達の効率は上昇し、この現象は刺激後長時間持続したと言っている。この現象のことをLTPと呼ぶ。このLTPこそが脳の記憶である。
⑦情動が絡んだ事象はよく覚えていることが多い。情動は扁桃体の部位から生まれ、この扁桃体が活動すると海馬のLTPが大きくなる。 -
Posted by ブクログ
「海馬」という本からこの本に辿り着いたので、思ってたより「薄っ!」「イラスト多っ!」という印象だったが
決して内容が薄いわけではなく、
4つのスイッチとマンネリについて
丁寧にエピソードを交えて説明している。
結果読みやすく、頭にも入った感じがする。
個人的には「本は一回読んだだけでは理解できないもの」という向き合い方をしてるので、
3章に分けて書かれていて
繰り返し読むのにも適した形になっているが有り難く感じた。
あと、解説とあとがきを読んで、同じ事説明していても、こんなに語る人が違うと入ってくる情報が違うんだなと思った。
なのでこの二人の名前で出された本という事にも凄く価値を感じた。
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書の終わりに、著者は、アウトリーチ活動について述べていた。アウトリーチ活動とは、研究者が、専門家ではない一般の人たちとの対話の場を持ったり、一般書を著したり、易しい講演を行ったりと、その労力をいわゆる社会活動についやすことである。
本書は、著者の出身高校の現役学生に対し、全校講演を行った内容と、その内容に特に興味を示した9名に対し、その後行われた3日間に渡る特別講義の内容を収めたものである。すなわち、後輩学生たちへのアウトリーチ活動の記録である。
アウトリーチ活動については、賛否あり、「一般向けにかみ砕く行為は真実の歪曲」などという否定意見もあるそうだが、本書を読む限り、科学的なテーマについて、実際に検証を行いながら真実を確認するやり方で行う講演であり歪曲に値するとは感じなかったし、さらに未来の科学者に対し、科学的課題究明のプロセスを体験してもらえるという教育的側面でもとても有効な取り組みであると感じた。
「ロウソクの科学」でファラデー氏が、子どもたち相手に実験を交えながら講演した光景とダブルものがあった。
本講義は、脳科学に関する講演であると思う。第一章では、「脳は本当はバカなのだ」というような話が、実例とともにたくさん紹介されていた。「ゲシュタルト群化原理」という脳の早とちりの話、能動的に視線を動かせば好きでないものも好きになるという「錯誤帰属」の話、長く接することで好きになってしまうという「単純接触現象」の話、というように専門的な内容を卑近な事例で紹介してくれる。
本書の中では、脳の不思議を体験できるような実験がふんだんに盛り込まれている。サブリミナル効果が無意識に働きかけているという事実が、データから証明される。まるで手品でも見ているかのように不思議でかつ、興味深い。
手首を動かす実験では、「手首を動かそう」と意識する前に、すでに脳が準備しているということが分かった。脳が「動かせ」という指令を発する前に、すでに実際に「動いている」という実験データであった。意識する前から脳が準備しているとはどういうことか?脳が指令を出す前にすでにアクションが起きているということはどういうことか?意識は、何者かに支配されているのか?
この実験結果は、受講した高校生にも非常に印象が強かった。自分としては、意識の前に無意識が脳をスタンバイさせたり、意識の司令前に無意識の指令があったのではと考えてみたくなった。
そのほか、講義の内容は多岐にわたり、初めて知ったことが満載である。例えば次のようなこと。
・「遺伝多型」というものが個性を生み出している事実(血液型の違いや、赤色を感じる受容体の違い、うまみを感じる受容体の違い、嗅覚の違いなど)
・生物進化の過程には、機能の「使い回し」があるという事実(今まで別の機能として役立っていたものを、全く異なる方向に転用し、新しい使い方を発見して、能力を開発していくこと)
・脳の働きには「ゆらぎ」があること。ゴルフクラブを握る握力は、脳のゆらぎによって異なり、それによってショットの成否が決まる。この「ゆらぎ」の仕組みの把握により、コントロールできる可能性があるということ。
・脳の可塑性について。これがあるから、遺伝子で決定されたデフォルトの状態から、さらに変化できる。学習や訓練によって能力を固めていけるのは、脳にこの可塑性というものがあるからだそうだ。
・脳のゆらぎ(ノイズともいわれる)には、3つの役割(①最適解への接近、②確率共振、③創発のためのエネルギー源)があるということ
・その③創発とは、数少ない単純なルールに従って、同じプロセスを何度も繰り返すことで、本来は想定していなかったような新しい性質を獲得すること。
本書のタイトル通り、脳はシナプスとニューロンの単純な働きによって機能している。ニューロンがやっていることは、シナプスを経由の入力を足し算し、その結果を次のニューロンへ出力するという単純なものだそうである。しかし、そのシナプス入力に「ゆらぎ」が発生し、創発が起こる。
最後にリカージョン(入れ子構造)ということについての講義があった。これが我々が心の不思議を感じる要素のようである。「複雑な私」とは、ここから来ているようだ。
脳の構造や働きについて、高校生と共に学んだが、まだまだなんとなく消化不良感がある。高校生たちの事後の感想にもまだ完全に理解しきれていない様子は感じられたものの、彼らの視点は鋭く、著者にドキッとさせる質問が飛び交い、科学の世界へののめり込みかたは、将来への頼もしさが感じられた。。
それと同時に、自らが脳の保有者であり、使い手でありながら、その機能について知らないこと(知らなかったこと)が多いということ、またその機能の不思議さに対する驚きがあったということも事実である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「自分では気づかない、ココロの盲点」(2013)が評判がよかったので、「完全版」に仕立て直ししたもの。30項目から80項目に増やしている。とは言え読んでものもある。脳のクセを科学的に分かりやすく書かれていて面白い。
[自我消耗]
『自制心や意志力は、筋力に似て、有限リソースです。がんばった後は、やる気や忍耐力、ときには道徳観さえも削がれます。若い人ほどこの傾向が強いことが知られています。
たとえば午後は、朝からの疲れが溜まっているため、午前よりもウソの頻度が20%も増えます。入試が終わると脱力したり(燃え尽き症候群)、重要な仕事が終わった後の打ち上げ会では飲みすぎて泥酔したり、旅行先で財布の紐が緩んだり、ダイエット中に怒りっぽくなったりするのも、同様の原理が働いています。車を買うという一大決心をした直後に、営業マンが「今ならカーナビを2万円の特価で追加できますよ」と畳み掛けるのは、消耗した精神の弱みをつく典型的な作戦です。大きな決断をした直後に別の問題について深く考えるのは難しいものです。なお、脳のエネルギーはブドウ糖です。消耗した自制心は、ブドウ糖を補給することで回復します。』
[モラル正当化効果~善行後の愚行]
『脳は自分をモラルのあるタイプの人間であると自認すると、それを埋め合わせするかのように反モラル的行動を正当化します。だから良い行動をとった後は、「次は少しくらいよいだろう」とモラルに欠ける行動をとる確率が高まるのです。
週末にたっぷり家族サービスした後は、翌週つい遅くまで飲んで帰宅してしまいます。
環境に優しいエコ商品を買った後は、つい利己的に振る舞いがちです。
カロリ-ゼロのダイエット炭酸飲料に合わせて、つい甘いケーキを注文してしまいます。
いつも忍耐強い人が、何かのきっかけで驚くほど激怒したりするのも、同じ心理が働いているのかもしれません。なお、この現象は、アメリカの企業で、黒人女性を採用した後に、非黒人系の男性を採用する傾向があることから発見されました。
[知識の呪縛]
「知る」とは世界の歪曲化。知識は判断を歪めます。脳は一度知ってしまうと知らない人の立場でものごとが考えられなくなります。その結果、自分の知っていることは相手も知っていると期待する傾向があります。
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