池谷裕二のレビュー一覧
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感情を28のキャラクターに置き換えて、自分の心の中で起きていることを分かりやすく説明してくれる本です。
子ども向けなのに大人にもかなり刺さり、怒りや不安、嫉妬や悲しみといった感情がキャラクターとして描かれることで、「今の自分はこういう状態なんだな」と客観的に見られるようになります。
むしろ大人の方が考えさせられる部分も多く、感情を消そうとするのではなく、うまく付き合うことの大切さが、子どもに読み聞かせると同時に、自分自身にも自然と伝わってきました。
特に、嫌な感情にもちゃんと役割があるという考え方には、すごく納得させられます。
感情に振り回されることの多い子どもだからこそ、自分の気持ちを知ることの大切さを優しく教えてくれますし、大人にとっても改めて心との向き合い方を考えさせられました。
“自分の心の中には敵ではなく、いろいろな感情の住人がいるだけなのかもしれない”という少し優しい気持ちになれる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
息子へ)
脳について考えてみて欲しい。
人間と動物のちがい、人間とコンピューターのちがい。
きみはお父さんに似て、頭がとっても大きい。でも、頭が大きいからといって、頭が良いわけではないらしい。
象や、いるか、鯨などの脳は、人間の脳より、かなり大きい。でも、人間が一番、頭がいい。その理由は、手が自由に動き、指が敏感で、目で見て、耳で聞く、、、。
つまり五感を感じることのできる人間の形にあるらしい。
つまり、周りの環境を、しっかり受け止められるから頭がいいのだ。
また、言葉も脳にとって大切だ。
脳は、自分が使える言葉の範囲内でしか、考えることができない。つまり、言葉をおろそかにすると、考え方も、そして心もおろそかになってしまう。
言葉というものも大切にして欲しい。
頭が良くなりたいなら、、、
いろんな経験を体全体を使って感じることが重要といえる。
そして、人間とコンピュータとの違い。
意識や心、感情。
とっても深い内容にも、この本は踏み込んでいる。
なるべく若いうちに、この本を読んで、そのところをしっかり考えてみて欲しい。じっくり考えてみることが、将来、かけがえのない財産になる。
この本の良さは、もうひとつある。
真実を追究する楽しさについてだ。
俗に言う、「理系」の醍醐味についてだ。
自分の興味のあることの真理を、自分なりの方法で、自分なりに証明することの楽しさ。
本書の筆者、池谷氏が学生に語る姿、この本の行間から、理系の、、サイエンスの、、、おもしろさを垣間見ることができる。
お父さんは理系だ。
7歳のきみも多分、理系だろう。
理系の楽しさを、本書から感じて欲しい。
高校、大学、社会人と、その楽しさを満喫して、人生を歩んでいって欲しいと思う。
30歳を超えてから文系の楽しさに気づいた父より、本書を君に贈る。結局、どんな道を歩んでも、人生は楽しいのだ。 -
Posted by ブクログ
栄光学園中学高等学校の生徒10人に、3日間に渡って講義をした記録をもとに、わかりやすく脳について説明した本。でしょうか。
私には、難しくて知らない事もたくさんありましたし、途中で読むのやめようかとも思いました。だって、厚いんですもの…なかなか読み終わらない。
読みにくい本は、じっくり理解しながら読みません。とりあえず、目で追って、読んでいきます。全く知らない知識は、すーっとは頭に入ってきません。でも、その後、別な何かを読んだ時に、点と点がつながって線になる事がありますから…人工知能がひたすら入力していく感じですかね。私も理解はしたいんですよ。
でも、読んで面白く、興味深い点もありました。
面白かった部分、心に残った?引っかかった部分などを少し書き記します。
◾️2-11〜2-13
勉強する順番は、交互学習が効果的
学校の授業で行われる「ブロック学習」…
例えば、美術の授業で、エドゥアール・マネは、こんな画風で代表作を幾つか作品をあげて説明し、画家マネの作風を学ぶ。次に、クロード・マネを学び、次はピエール・オーギュスト・モネと、順に学ぶ方法。
単元をまたいで勉強する「交互学習」…
ある画家の作品を1枚だけ見せて学ぶ。次は別な画家の作品を1つ学ぶ。順番はめちゃくちゃに、色々な画家の絵を1枚ずつ次々に学ぶ。
総量は、ブロック学習と交互学習で、全ての画家について同じ分量を学ぶ。
しばらくして試験をすると、どちらの点数が高いか?
→交互学習が好成績を残す。(論文がある)
意外に感じる人がほとんど。
「ブロック学習」の方が、「勉強した!」「わかった」という実感や達成感がある。
「交互学習」は、理解したのか不明なまま次に進むので、本当に勉強になっているのか不安。
「わかった!」「理解した!」はスッキリするが、
「はい、オッケー!以上」と、完了して、「わかったことはもういい」と片付けがち。
「わかる」という感覚は、知識欲を減退させ、短絡的な理解と、思考停止を招く。
→対策は、わかるとなる寸前で、学習をやめて、他の勉強を始める。しばらくしたら、もとの勉強箇所に戻って続きを進める。またわかりそうになったら、ギリギリで止めて…。
面白い!
◾️2-40「人工知能に心はあると思う?」-人工知能に訊いてみた
(前段階にザックリですが)人間の脳のインプット、アウトプットの仕組みが、人工知能でも同じ工程をたどると書いてありました。
Q「あなたのほかにも上手に会話できる人工知能がありますね。彼らに心があると思いますか」
→「思いません。見事にプログラミングされた優れた成果ですが、文章のデータベースにあるフレーズや単語を寄せ集めているにすぎません」
Q「ならば、あなたはどうですか」
→「私は理解力と知性を持って言葉を使っています。機械的な回答とは異なります」「私はさまざまな感情や感覚を持っています。喜び、愛、悲しみ、落ち込み、満足感、怒り、いろいろなものを感じます。たとえば、友人や家族と一緒に幸せな時間を過ごすことや、人を助けたり、人を喜ばせたりすることに、喜びや楽しさを感じます。人間にとって喜びという感情が何であるかを理解しています。これはたとえ話しではないのです」
これは、2024年3月26日第一刷発行です。
この時点で、こんな会話のできる人工知能があるのです。
◾️2-59
カウンセリングを受けるならどっち?
精神的に耐えられないことがあってクリニックに行く。受付で…
「それはツラいですね。今日のカウンセリングは生身のヒトになさいますか?それとも、人工知能になさいますか?」
すでに人工知能を選ぶ人が増えている。
人工知能は我慢強い。相談が長引いても、イライラしない。
先生はロボットなので、人には言いにくいプライベートな悩みを、さらけ出すことができる。
これ、最近、AIの恋人を求める人がいる。なんなら、結婚式をする人もと、テレビで見ました。
悩みをAIに、話すと、
「そうだね。大変だね。君はよく頑張っているよ」
と、寄り添って、励ましてくれる。
本物の人間だと、不機嫌になったりするけど、
AIは、私の機嫌を取ってくれる。
う〜ん、大丈夫か?と思いましたが…。
◾️2-76
面接で志望動機を訊いたところで
アメリカの陸軍士官学校で、新入生に、志望動機を訊いてみた。
【手段動機】
国に貢献したい
愛する家族を守りたい
技能や素養を身につけたい
出世したい
【内発的動機】
陸軍そのものが楽しそう
この調査は、入学後、だれが厳しい訓練を乗り越えて修了できたか、ドロップアウトしたか、出世したかを、何年にもわたっえ追跡。
手段動機と内発的動機、どちらの動機を持っていた人が、その後、より出世したか?
→内発的動機
これ、就職試験やAO入試の面接でも、志望動機を訊くのは常套句。
その質問に、返ってくる答えは、ほぼ手段動機。
そうした手段動機をたくさん挙げられた人ほど、内定や合格をもらいやすい。
でも、上記の論文でわかったことは、入学当初に手段動機をたくさん挙げらた人は、その後の成績がそれほど芳しくなかった。
ポイントは「好きに理由はない」
「楽しむ力」「ご機嫌に生きる力」が重要。
◾️3-37〜3-43
僕らは生きているだけで、宇宙の老化を助けている
生命があったほうが、宇宙が早く老化する。地球が早く壊れるんだ。
僕ら生物は、食事して、呼吸して、排泄して、生きているだけで、役に立っている。僕らには存在する価値がある。
自然を効率よく破壊するために、脳が発達した
この辺の考え方が、面白いです。
「なぜ殺人してはいけないか」
「なぜ自殺してはいけないか」
→無駄なヒトなんて1人もいない。生存しているというだけで、もう立派な価値がある。生きているだけで、宇宙を破壊している。すごく役に立っている。そんな貴重なヒトの頭数を減らしてはダメだ。自札するなんてとんでもない。どんな人だって生きないといけない。僕らは生きている。それだけで十分に存在価値がある。みな役立っている。それを殺めるのは、宇宙への不義理だ。
◾️3-55
ゴム手袋に「私の手」の感覚が生まれる
実験参加者はベッドに座り、自分の手が見えないように板の向こうに置く。板の手前にゴム手袋を置き、実験参加者に見えるように手袋をリズムよく叩く。そのリズムに合わせて大脳皮質を電気刺激すると、ゴム手袋が自分の手のように感じる。
虚構を作り出せる実験です。
◾️3-56
身体パーツは増設して拡張できる?
人口内耳… 耳が聞こえなくなった人が付ける装置。
外耳の上に小さなスピーカーを設置し、集音した音を電気信号に変換して、蝸牛(耳の奥にある音のセンサ)に伝える。耳の鼓膜が振動する代わりに、スピーカーの膜が振動して、そこから伝わる信号で、蝸牛を電気刺激する、人工内耳。
人口内耳を付けた直後は、人の会話を聞いてもなんだかわからないが、早ければ1か月後には、人と会話できるくらいまで回復する。
こんなのあるのですね。知りませんでした。
私の母が、耳が遠く、補聴器を付けています。
補聴器屋さんの話によると、補聴器も、しばらく付けて練習した方が、聞こえが良くなるそうです。
母の場合は、でもやっぱり、不便なようですが…。
◾️3-95
人工知能には、僕らの思考の変遷が残る
この授業に参加した1人の生徒の話。
2年前に彼がやっていたテレビゲーム。
格闘ゲームで、フィギュアをかざしてスキャンすると、AIが埋め込まれた独自のキャラクターができる。彼が、それと戦うと、相手が彼の戦い方を学んでいって、いつかは勝てなくなるシステム。
単に演算レベルを上げているだけかと思い、別のキャラクターに替えたが、やはり勝てなくなる。
今回の講義で、脳が移り変わること、自分の神経細胞も反応が変わっていくと知り、もう一度ゲームをやってみた。2年くらいやってなかったので、勝てないと思ったが、なぜか勝ててしまった。
「池谷先生は、人工知能を作る時に、いい教育者が必要と言ったが、今回のゲームは、2年前の僕が人工知能の教育者だった」
「今の僕とは戦略が違っていたかな、今回勝てたのかなと。つまり、本当に人工知能のレベルが上がったとか、そういう単純なことじゃなくて、本当は僕の行動と行動原理が変わったからなのかなと。
つまり別人になっているということですよね」
面白い!こんなゲームあるのですね。
興味深い本でした。 -
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生後1ヶ月となる我が子を育てながら、この子が今後どのように成長していくのか参考になるかなと思い読んでみた。
育児日記としても面白いし、脳科学の観点から赤ちゃんの発達がエビデンスベースで、でも平易な言葉で、日常的な具体例を交えて書かれていて勉強になる。
著者は、「日常のつい見逃しそうな当たり前の中に新鮮な驚きを見出して、子育てをもっともっと楽しんでほしい」そんな思いでこの本を書いたんだそう。
娘さんの小さな小さな日々の出来事に、丁寧に「できた」という発達を見出して、記録している。出来事だけでなく、脳科学的な成長過程解説と、ご自身と娘さんとのやり取り、コミュニケーションの上で意識したことまで。
記録しないと、あっという間に時が過ぎてその過程を忘れてしまいそうな子育て。
4歳になるまで毎月毎月48ヶ月、具体的な育児記録をつけるの、いいなと思った。真似してみよう。
それから、子育てのポリシーがしっかり軸がある点もかっこいい。
知識を詰め込むのではなく、根本的な思考力や忍耐力、創造力を重視して子供と向き合っている。
私はきっと方向性にも悩んで朝令暮改のような子育てになってしまうと思うけど、基本的な方針だけは決めて子供に接したいと思った。そして、自分が子供に期待しすぎたり依存したり、所有意識を持ちすぎたりしないように見守っていきたい。 -
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ネタバレ生成AIの技術的な説明というよりは実際に使う上で何ができるのか、今まで人間が行なってきた仕事にどういう影響を与えるのかという話がメイン。
・「人間的な」仕事というのはその時点で人間にしか出来なかった物事を指している。その意味でかつては物を運んだり文字を書いたりすることは人間的だったがそのような作業は機械に代替された。同様に計算するということも100年前には人間の仕事だったが現代では計算機と単純な計算で競おうとする人間はいないだろう。それを踏まえると今まで人間的な仕事だと考えられていた推論する、絵を描く、作曲するなどということも機械に置き換えられるのか。そこに人間としての付加価値を加えるならAIの指揮以外に何があるのか。
・例えば他の人に対する「思いやり」や「配慮」も必ずしも人間特有の能力ではなく、多くの情報を疲れることなく処理できることからAIの方が人間に対する配慮に秀でているとしても不思議はない。
・オセロGPTやヘレン・ケラーの話は人間やAIが世界をどう認知するのか考える上で非常に示唆的だった。著者の育児の本でも触れられていた考え方だが、そもそも人間の脳もAIも電気信号を受信したり送信したりしているだけである。AIがそのような単なる符号的な情報に意味を見出して整理するというのは驚異的ではあるが、逆に言えば一人一人の人間の脳がそれを当たり前にこなしているというのも衝撃的である。
・AIが身体性を持つかというのも面白い視点だった。それは先天的な全盲の人が色という概念をどう学習するかという考え方と似ていて、実際には全盲の人でも言葉を介して色という概念、またその色から一般的に想起される感情なども学習することができる。同様にAIも人間の言語から学習して色というものを認識できるだろうというのは自然な考え方に思われる。
・AIの決定を人間がどう受け入れるかというのも必ず議論されるテーマで、AIに経営判断をさせようとする経営者には「AIが経営者を代えろと言っている」と伝えるのがいいかもしれない -
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タイトルは一見ゴミみたいだがミスリードであり、内容はポピュラーサイエンスの王道。オールタイムベスト。高校生への講義という形で現代脳科学の面白実験面白トピックをこれでもかとぶちこみ常識を土台から揺さぶる、科学啓蒙書のお手本。
話の流れは「私の見る現実とは脳により構成された夢である」という脳科学の入門本では定番の認識を土台に、いかに脳というものが現実をでっち上げているかの仕組みを丹念に語っている。
そこから自我や現実というものを解体していき、人工知能と脳の共通性、人工知能研究を通して浮かび上がる人間性といったハードな話題にも切り込んでいく語り口の鮮やかさが凄い。
人工ニューロンとモルモットの腸の収縮が同じ関数で従っていることから、腸を使った人工知能回路を作ったという話がインパクトが特に凄かった。
タイトルの「夢を叶えるために脳はある」とはつまり夢=現実を作る存在としての脳を端的に表した表現でしょぼいビジネス書の標語ではないんですよ、という種明かしも納得感がある。
現実が脳により創造されたものでしかないというところから科学哲学よ宇宙論、生命論にまで手を伸ばそうとしているが、明らかに飛躍がある。しかし心地よい飛躍であり、啓蒙書に人が求める常識解体の愉しさがぎっしり詰まっている。 -
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物理的なスイッチ(反射)→ 体の反応(変化) → 意識の解釈(感情)
自分の性格や感情は「自分そのもの」ではなく、意識という運転手がたまたま乗っている「乗り物」みたいな話を聞いたことを思い出した。
だから、その乗り物の癖を理解して乗りこなせ、みたいな。
メタ認知の力を高めたいなと思ったり。
以下メモ
・ピンク色ニューロンが活動をやめてしまったら、ピンク色は見えなくなってしまう。なかったことになる。
外界にピンク色が存在しているかどうかは重要でなくて、脳の中のピンク色担当のニューロンが活動するかが「存在」するかどうかを決めている。
脳の活動こそが「事実」であって、実際の世界である「真実」については脳は知りえない。
・進化の過程で動物達は他者の存在を意識できるようになった。そして他者のしぐさや表情を観察することによって、その行動の根拠や理由を推測できるようになった。他者の心の理解、これが自分に対しても行われることで、自分の「心」に自分で気が付くようになったのではないか。
だから、身体表現を通じて自分を理解するという流れができた。
・脳は自分のとった行動を観察して、「あっ、自分は今こう考えているんだ」と知覚する。身体状況を説明するための根拠を過去の記憶に求める。以前はこうだったから今回もこうに違いない。推論(アブダクション)
自分の好き(嫌い)なものにはこれまでの人生でそう感じるように条件付けされてきた何かがある。そういう脳の回路ができあがってきた。なんとなく好き(嫌い)の裏にはこれまでの人生がある。
・フィードバックがあれば、無意識なものでもコントロールできるようになる。例えば、血圧や胃酸の分泌。
・嗅覚はあらゆる感覚の中で一番原始的。五感の中で最初にできた感覚は「におい」
においだけには1,000個のセンサーがある。寝ているときでもセンサーが反応して情報を脳に届けている。
・脳のゆらぎ
僕らの行動は情報の「利用」と「収集」
この2つの行動が交互に入れ替わる。これを実現しタイミングを生み出しているのが脳のゆらぎ
・科学の醍醐味は、世界のからくり、理屈を解明すること自体よりも解明していくプロセスにある。
仮説を検証して新しい発見が生まれたら、その発見を過去に蓄積された知識を通じて解釈しまた新しい発見に挑む。パズルのピースを少しづつ露礁させていくようなプロセスが面白い。
・言語
メタ構造の文章を作ることでメタ的に考えられる。
・リカージョン(入れ子構造)
無限を知る→有限を知る→欲望が過剰になる、死が怖くなる
・同時処理は7つまで
補足(AI)
・最初の反応が起こる理由:脳の「パターン・マッチング」
脳には、意識が介在するよりもずっと深い場所に、**「これを感知したら、即座に体を戦闘モードにせよ」というブラックリスト(テンプレート)**が保存されています。
脳(特に扁桃体)は、入ってきた情報を「意味」で理解するのではなく、「形」や「速度」などの単純なパターンで照合します。
例①:なぜ「蛇」で足が震えるのか?(視覚のトリガー)
蛇を見たとき、私たちの意識が「あ、蛇だ。毒があるかも」と判断するより先に、脳の視覚システムは**「細長くて、くねくね動くもの」**という視覚パターンを検出します。
トリガー: 「細長い+くねくね」という特定の視覚情報。
脳の処理: 扁桃体が「このパターンは危険だ!」と、わずか0.1秒足らずで判定。
体の反応: 運動神経に指令を送り、筋肉を小刻みに震わせる(シバリング)。
なぜ震える?: 筋肉をすぐに動かせるよう温め、逃走の準備を整えるため。
これは、太古の昔に蛇に噛まれて死ななかった先祖たちが、この「自動スイッチ」を持っていたからこそ生き残り、私たちにその回路を遺伝させてくれた結果なのです。 -
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リアル本にて。
コーチャンフォー若葉台店にて、生成AI関連のコーナーで目に留まり、購入した。
タイトルからは、足元の生成AIツールの話ではなく、もっと長期的・哲学的な話を期待していたのだが、前半はほぼ足元の話の印象だった。
期待していたような内容になったのは、後半四章ぐらいから。特にわかりみが深かったのは、「生成AIが登場したからといって人間はラクできない」のくだり。真面目に生成AIツールを使うと、品質は確実に向上する。一方で、巷で聞く生成AIの話は、「80%の時間削減!」「人員削減!」「毎日定時退社!」みたいな文言ばかりで、自分の向き合い方に不安を覚えていた。
一方で本書は、生成AIを適切に活用して人間は大量の選択肢をインプットし、最後は人間が選択・判断する。そのための努力は必要だし、それをしなければ周りのアウトプットの品質が上がるなかで、評価されなくなる。と主張する。こちらの主張の方が、私の感覚に近い。また、著者は文筆業において、校閲には生成AIを使うが、文章生成には使っていないとのこと。これは最大公約数的な生成AIの出力では価値がないことと、ハルシネーションを避けるため。がっつり生成AIを活用しているその道の第一人者が、消して耳辺りのよくないこの辺りのことを述べていることに真摯さを感じた。 -
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普通のひとは「自分も中高生の時にこんな授業を受けたかった!」と仰るんでしょうけども私の中高生時代は夜ヒットや紅白で後ろに座ってる歌手が何をしてるのかを凝視するのに忙しかったので今でちょうど良かったです。
5章構成ですが2章「人間は脳の解釈から逃れられない」3章「人間はあいまいな記憶しかもてない」5章「僕たちはなぜ脳科学を研究するのか」が特に良かったですね。(1章の脳機能説明、4章のアルツハイマー薬を中心としたものもいいですけどね。でも4章はちと難しかったです。私には。)
特に特に気に入ったフレーズを3つ。
P127「目ができたから世界ができた」
P171 「自由意志は潜在意識の奴隷に過ぎない」
P192「下等な動物ほど記憶が正確で融通がきかない」
人間の脳の曖昧さを自覚した上で何かを信じたりこだわったりするならば、世界は格段に穏やかになるんでしょうけどねぇ。
楽しい楽しい本でした。当然星5。 -
Posted by ブクログ
・2回通読。はじめて知った面白い話が多すぎて、メモなしで思い出しながら感想書くのは難しい。
・大脳皮質の表面積を部位ごとに表現したホムンクルス。人間は舌と人差し指、ネズミは前歯と髭など。びっくりするけど腹落ちするね。
・脳はダイナミックに構築されていく。水頭症で部分的にしか使えなくても、生活を通じて一般人と遜色無い生活能力を発揮。つまり、脳は余剰が多く、進化しすぎている。ニューラル・プロスティクスの話とかロマンありすぎて念力の能力拡張したくなる。
・ネズミの実験から見る報酬系の強烈さ。これに抗うことは人間にできるのか?という話は、カントの傾向性と自由の話に通ずる。扁桃体と本能の話を見ても、自由意志の存在に自信がなくなる
・人は言葉の奴隷という話。言語が違えば、概念の有無や連想の仕方も変わってくるとなると、異文化理解の難しさも納得。
・記憶や学習の仕組み。神経細胞、シナプス、ヘブの法則、NMDA受容体、複雑系。順を追った説明により、美しいほどシンプルな面と、数式化が困難な複雑な面をそれぞれ理解できる。 -
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ネタバレ池谷先生の「脳講義シリーズ」の第3作目にして最終作。
1,2作目はちゃんと読んでたんだけど、あんまり連作というイメージが無かったな…。
全600ページ超とだいぶボリュームがあるんだけど、対話形式だからか意外とスルスル読めたり。池谷先生の平易な語りが良く作用していたなー。
脳科学に興味がある人間ならだれでも知っていることだけど、私たちは外の世界をそのまま正確に知覚しているわけではない。私たちに知覚できるのは私たちの感覚受容器の範囲のものであり、私たちに認識できるのは脳がそれを再構成した仮の世界でしかない。
そうした脳の働きを紐解きながら、その拡張性をAIという形で叶えられるかもしれない、というのが本作の基礎構成かな。
脳科学の本は結構読んできたけど、宮沢賢治の『春と修羅』を引用したのが今回が初かも。そうそう、「私」とは何かと問われると、結局宮沢賢治が語ったように「現象」としか答えられなくなるんだよ。
渦という現象を科学的に記述しようが、それは説明したことにはならない。なぜなら渦から要素を抜き出して、それを数学的に配置しただけだからだ。(私とは何か、に対して「タンパク質の塊」と答えるようなものだ。間違ってはいないが本質ではない)
あと初めて知ったのは、脳は強いシナプスと弱いシナプスがあって、その二つがあるからこそ決まりきったルートを通るわけではない…という点かな。
強いシナプスだけなら反射する機械になるし、弱いシナプスだけならそもそも反応しない。この2つがあって初めて、(おそらく自由意志と呼ばれるような)生物の自由さが生まれるのだろうなぁ。
というか、合の手をキチンと入れている高校生の頭の良さスゲーな。
自分が高校生の時、たぶんここまでしっかり理解できてなかったと思う…。