あらすじ
『しびれるくらいに面白い!』
最新の脳科学の研究成果を紹介する追加講義を新たに収録!
あなたの人生も変わるかもしれない?
『記憶力を強くする』で鮮烈デビューした著者が大脳生理学の最先端の知識を駆使して、記憶のメカニズムから、意識の問題まで中高生を相手に縦横無尽に語り尽くす。
「私自身が高校生の頃にこんな講義を受けていたら、きっと人生が変わっていたのではないか?」と、著者自らが語る珠玉の名講義。
メディアから絶賛の声が続々と!
『何度も感嘆の声を上げた。これほど深い専門的な内容を、これほど平易に説いた本は珍しい』――(朝日新聞、書評)
『高校生のストレートな質問とサポーティブな池谷氏の対話が、読者の頭にも快い知的な興奮をもたらす』――(毎日新聞、書評)
『講義らしい親しみやすい語り口はもちろん、興味をひく話題選びのうまさが光る』――(日本経済新聞、書評)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白いので、読んで欲しい本。脳と身体がいかに密接に関連しているのかの良くわかります。SFで脳だけの人間が存在するような描写を見たことがありますが、余り現実的ではないことが分かります。
Posted by ブクログ
学生向けの内容だが、私にはちょうど良い。
能力のリミッターは、脳ではなく体だという話では、身体の一部を事故などで欠損した人の脳の影響を解説しながら、脳の可能性を探る。この話の中で、人間は100%脳を活用できていない事の意味を理解する。
他にも、イルカの脳の大きさについて。超音波を使うためだったらイルカのような大きな脳は要らず、コウモリ程度で十分なはずだと。そうした具体的な事例や身近な疑問に繋がる話が多い、端的に言えば話し上手なので、本自体が面白いのだ。
ー そこにコード化されている情報はどんどんと複雑になり、巧妙になってきたけど、基本単位としてのDNAは古代の生物と一緒。その一貫性と似てるような気がする。動物が進化のどこかの過程で、6層というきわめて便利な構造を持った脳を備えるようになった。その性能があまりにもよかったので、その後は6層構造の表面積を増やすことで進化できたのだろうね。
ー たとえば肝臓はものすごく増殖能力が高くて、肝臓を80%取り除いてしまっても、数ヵ月のうちにすっかりもとに戻る再生能力がある。これは、肝臓のどの部分もだいたい同じような役割をしているからこそできる荒技だ。でも、脳は違う。場所によって役割が違うんだ。これだけ働きがそれぞれの場所に分かれて専門化しているのは、脳以外にない。しかも、視覚/聴覚/触覚と分かれているだけではない。これは音を認識する場所、聴覚野だね。でも、この場所の中でさらに役割が局在化してるね。音のヘルツ数にしたがって、聴覚野の働く場所が違う。音の低い方から高い方へと、反応する場所がきれいに分かれて並んでいる。これを調べるには、電極を脳に刺して、いろいろな高さの音を聞かせて、脳の反応を観察する。ここら辺の脳はこれくらいの音の高さに反応してる、じゃあ隣の細胞を刺してみたらどうかとか、そうやって少しずつ調べていく。すると、同じ聴覚野の内部でも、漠然と音に反応するというわけではなくて、さらに細かく調べるとヘルツ数順にきれいに並んでいることがわかる。
ー なんで錯覚が生まれてしまうのか。これはしかたがない。一種の宿命なんだ。なぜかというと、世の中は三次元なのに、網膜は二次元だからだ。目の前にあるものが三次元の光情報として目に入ってきても、目のレンズを通して網膜というスクリーンに映されると、二次元に次元が減ってしまう。結局、脳が感知できるのは写真と同じ薄っぺらい写像でしかない。それをなんとか脳ががんばって三次元に解釈し戻さなくてはならない。そのためにいろいろと不都合なことが起こってくるということなんだ。しかも、錯覚というのは、見てわかるとおり、本当は同じ線分長だぞと強く念じても、どうしても一方が長く見えてしまう。まったく意識ではコントロールできない。
どうだろう。私にはワクワクする話ばかりだ。脳が可視化され理解される程に、人間と機械の境界線が次第になくなっていくような気がするのだ。
Posted by ブクログ
高校生との対話形式のため、わかりやすく脳科学の専門的な内容が理解できる。いわゆるサイエンス的な内容だけでなく、心とはなにか意識とは何かといった捉えどころのない領域にもエビデンスベースで独自の解釈を加えながら、説得力のある説明をしているため、かなり腹落ちのする内容だった。2007年に出版とのことだが、内容はまったく色褪せないもので、この本を起点に少し情報をアップデートさせるので十分なほどクオリティが高かった。
Posted by ブクログ
”中高生と語る”とあるように、中高生向けの少人数講座の講義録のような形でまとめられており、すごくわかり易く、また興味を持ちつつ読み進めることができる。わかり易いものの、書かれている内容は大脳生理学の一部とはいえ本質で最先端だと思う。
こういう書籍が、新しい分野に関心を持つきっかけになると感じた。あらゆる分野で、このような位置づけの書籍なり、講義録なりが揃うと嬉しいし、酔いたいと思う。
Posted by ブクログ
じゃんけんの手など、一見ランダムと思われる選択をするとき、ニューロンに作用するナトリウムイオンの一時的な量が決定を左右している話が面白かった。意識とは何か
Posted by ブクログ
脳科学の一般書で最も有名といっても過言ではない本にも関わらず、なかなか読めていなかったので読んでみました。全体的に色々なジャンルで脳の面白さを研究の紹介も交えて伝えられており、とても楽しめました。
脳が身体の制約を受けて、能力をフル活用できていないというのは興味深かったです。その点でコンピュータに意識が芽生えた場合にも身体の違いから同じような意識ではないという推測も納得感がありました。
環境に適応できない個体が子孫を残せないのが本来の進化の原理なら、現在の医療技術は環境を変化させることで個体を生存させている"逆進化"とも言えるかも知れないというのも考えたことのない発想で面白かったです。
また、視覚情報処理の初期段階での網膜→視床(外側膝状体)→1次視覚野の流れの中で、網膜から上がってくる情報は単純計算で3%ほどしかないというのは、脳での再帰的な活動が占める割合の大きさを示す面白い例えだなと思いました。
終盤の意識や心を科学的に解明できるのかといった内容では話がとっちらかっている印象がありましたが、結論のない話なので仕方がないかなとも思いました。脳は自発発火による活動の影響が大きく、再現性がないため再現性を重視する現代の科学と根本的に合わないのでは?という視点は興味深かったです。ただ、意識や心の話は哲学書の方が定義をきちんとしてから議論をしてくれる気がします。
Posted by ブクログ
意識も脳という物理的モジュールが生み出す現象に過ぎないと思ったので、私の悲しみや苦しみもいずれ解体して単純な反応の関数と化することに希望が持てた
Posted by ブクログ
中高生のころにこんな話を聞く授業があったら、脳の研究をしたいと思っちゃうかもしれないなあ。私のころは、当時はコンピュータもまだまだだったし、こうした研究も2000年前後から急速に発展しているのかもしれない。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い
脳の活動の説明が、専門的な単語をなるべく省き、高校生でも分かるように書いてある
なぜ人の記憶は曖昧なのか?
人間しさとはなぜ出るのか?
脳がどんな機能を持ってるのか?
意識とは何か?
なぜ心が生まれるのか?
Posted by ブクログ
高校生向けの講義という事もあり、中高レベルの生物の知識が有れば難なく読める為、脳科学の入門に最適だと思う。
トピックはどれも興味深く、語り口調の為非常に読みやすい。
Posted by ブクログ
高校生向けの講義とは言え、なかなか難しい部分もあったのですが、脳が想像以上に複雑なことをしていること、そして自分が見ている世界は脳によって作り出されている部分が多く、現実とは何かということを考えました。
続編も読みたいです。
Posted by ブクログ
脳の基礎知識について、大雑把に分かった気がする。言語化できない意識下にここで学んだ脳のつくりの情報が埋め込まれた気がして、性格がちょっと変わったような気さえする。半年前に読んだものなので、あまり具体的に書けないが、難しいことをわかりやすく書いてる本だと思った。
自分の性格というか、知識というか、教養というか、そういうものを根底から変えたし、そう実感できるほど納得感のある内容だったし、今後の読書の時の予備知識としてすごく役立っているという事から、俺の読書人生における、分岐点とも言えそうかもしれん。
特にシナプス結合については眼福ですな。アドレナリンとかそういうものの構造がミクロで理解できたのは今後の人生において重要な気がする
Posted by ブクログ
フィクションばっかり読んでいたので、気分転換にノンフィクションを読んでみる。
脳に関して知りたいと思っていた訳ではなかった。
ただ、心って、意識って何??っていう問題には興味があったし、今もある。
心って、意識って、考えていくと結局は脳なのかなぁと。哲学の本とかも読んでみたいけど、難しいしなぁ。
この本に関しては、非常に読みやすく脳に興味が持てた。興味を持つのも脳なんだけど。
じゃあ、興味って何なんだ。
Posted by ブクログ
「脳」というものを研究するということは、神経学や医学の分野だけではない。心理学や哲学、倫理学なども結束した総合的な学術であることを改めて認識した。刊行から20年経った今、脳科学は人口に膾炙するところとなり、メディアでも沢山の学者が意見を交わしている。著者の先生は本書では、高校生にもわかりやすいように、しかし、肝心な箇所は誤魔化しなく脳の面白さを語ってくれた。人類にとって1番身近で1番未知数な、脳は興味深いと感じた。
Posted by ブクログ
ほぼ同時期に心の盲点の方も読んだので内容はうろ覚えだし心の盲点とごっちゃになっているかもしれないがどちらも面白かったし、認知バイアスがあることに気が付くきっかけとなった記憶。科学の難しいことはわからないが池谷さんがわかりやすく興味をもてるように書いてくださってる。もっと脳科学について知りたいと思わせてくれた本。
Posted by ブクログ
自分の頭の中ってどうなっているのだろうと思い読みました。
中高生と授業形式のやりとりが書かれていて、学生時代を思い返す懐かしさを感じました。
内容は、正直に言うと高校の生物を履修していないとついていけないかと思います。
内容は、生物を履修している人なら教科書で習ったことは、こんな感じに繋がっているんだってことがわかりとても楽しいと思います。
この中で一番面白かったのは、人間の意識、無意識についての記載のところです。
彼女が好きになった理由に書かれているのですが、私が嫁に聞かれて答えた内容と全く同じで爆笑しました。
Posted by ブクログ
第1章まではワクワクしながら。
それ以降は難しかったので、もう少し簡単な本を読んでみてから、読み返そうかな。
池谷さんのテンポ感など含めて、とても良い本。
Posted by ブクログ
池谷裕二先生はコメンテーターのイメージが強いが、物凄く頭が良くて物凄く誠実な方ということが伝わってくる。脳の仕組みを非常に分かり易く解説している。高校生に対して端折ったり誤魔化したりするのではなく、抽象的かつ専門的な話を具体例に落とし込みながら分解し論点整理しながら必要な要素を漏れなく端的に講義している。また講義に対する高校生の理解度や質疑応答が凄い。第3回の講義のときには、確実に私の知識レベルは高校生たちに負けている自信がある。その反応を見ながら池谷先生が説明を変えたり新たな気づきを得たりする様子がわかる。まさに脳内神経の仕組みのような講義。読みやすく、科学的探究心と知識刺激を満たしてくれる一冊だ。
Posted by ブクログ
仕事の関係で池谷先生の講演を聴いた際に、あぁこんなに楽しく聴いていられたのは初めてだな、本もきっとおもしろいんだろうと思い、手に取った。
この本自体も中高生向けの4回の講義+出版後の大学院生向けの1回の講義をまとめているものであり、まるで出席しているかのような臨場感があった。
化学に弱いのでイオンの話はきつかったのはさておき、脳という壮大な営みのテーマを楽しく学ぶことができたと思う。
Posted by ブクログ
著者30代での中高生への講義の書籍化で、内容も若々しく溌剌としている。
ブルーバックス初版2007年、2023/3は40刷。帯には朝日、毎日、日経新聞の書評があり、朝日書評は「何度も感嘆の声を上げた。これほど専門的な内容を、これほど平易に説いた本は珍しい」と絶賛。20万部突破。
内容は盛り沢山。科学的な神経細胞やシナプスの話から、・意識や感情とは、・「見る」と脳の解釈、・言葉と抽象思考、・記憶のあいまいさの理由、等々、話はどんどん広がり、理解はしきれないが大脳生理学の先端とその広がりに触れた気がする。
読み終えて、人間の脳って、意識って、とても不思議と改めて感じた。
Posted by ブクログ
講談社 ブルーバックス
池谷裕二 進化しすぎた脳
中高生に行った大脳生理学について講義録。脳と体、脳と心、意識の条件など 大脳生理学の立場から説明
脳と体の関係性は意外。環境に適応する以上に進化してしまった脳と 脳をコントロールする体という意外な関係性
驚いたのは、人差し指と唇が異常に大きく描かれた 人間のホムンクルス(大脳との関係性から感覚器として重要なものを大きく示す図)。人差し指と唇の重要性を意識したことがなかった
科学者の倫理観を超えた脳解明の野心に執念を感じる。戦争により脳を欠損した兵士の症状研究やネズミにラジコンを埋め込んで自由自在に操る実験から 脳科学を進歩させている
大脳生理学の立場から、意識の条件(表現の選択、短期記憶、可塑性)を提示し、動物の行動や植物人間の反応から 意識の有無を検証している
心とは
*脳が作った精神作用
*人に心がある理由は言葉があるため
*人に心がある目的は汎化(共通のルールを見つけ出す、一般化する)するため
人は 心を活用して、抽象的な思考をして〜共通ルールを抽出して〜環境に適応していく
「世界があって、それを見るために目を発達させたのではなく、目ができたから世界が世界として初めて意味を持った」
Posted by ブクログ
とても複雑な"脳"に関しての内容を、筆者が高校生との対話という形式をとって、分かりやすく伝えてくれる内容
脳の働きに関してざっくりとしながらも、概要を何となく想像することが出来そうな一冊であった
Posted by ブクログ
この著者の本はどれも簡単に噛み砕いた文章で書かれており、専門知識のない人でも読みやすいなと思う。
章が細かく分けられているのでスキマ時間に読める。
Posted by ブクログ
テンポのよさ、潔さ、自信と勢いをもとに脳科学講義を行った本。
記憶が曖昧だから別々の記憶がポンと繋がったりする。
【関連書籍】
シンプルで合理的な人生設計、科学は人格を変えられるか、失敗の科学
Posted by ブクログ
中高生との対談でわかりやすくはなってるものの
それでも難解でした。
脳をうまく働かすためにはどうすればいいか
などの改善策やメソッド等は残念ながら記載ありませんでした。
Posted by ブクログ
脳という対象について、中高生と語り合うことを通してその性質の全体像を概観する。
対話形式で進められる4日間の講義では以下のことが語られた。
①脳の機能における身体の重要性
②ヒトの解釈は身体構造・言語・経験によって有限的な領域に限られる
③神経細胞による記憶の仕組みとその曖昧性
④ヒトがその知的能力を行使して生体自体をコントロールすることで自然淘汰に任せる進化論のくびきから逃れていくという転換
このように書くといささか仰々しいが、池谷先生の解説は正鵠を射ており非常に理解しやすく良書。(またそれを聞いている中高生の能力もその補助になっていると感じる)
巻末付録のニューロンの記憶を模倣した行列は人工知能開発においても基幹となるものであり、この解説がここまで簡潔かつ美しくまとめられていることには驚くばかりである。
池谷先生の解説のすばらしさは、重要な概念を平易な言葉で過不足なく伝える技術にある。プレゼンテーターとしても見習うところが多い。