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科学の進歩は“論文”にあり! 「ネイチャー」や「サイエンス」など世界的学術誌に掲載される最新の科学論文から、「毎日100本以上チェックする」という脳研究者が厳選。アルツハイマー治療、タコの利き足や母乳の意外な役割、幸福の条件など、その研究の「どこがすごいのか」「何が新しいのか」「どう役に立つのか」を丁寧に解説。長寿のヒントから最新AIまで、知的好奇心を大いに刺激する万能理系コラム!
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Posted by ブクログ
1日に少なくとも100本の論文は読んでいるという池谷裕二氏の著。これだけでも凄いと思うが、そのジャンルは氏のの専門である脳神経科学や薬理学に留まらない。いったいどのような頭脳を持っているのだろうか。若い頃からの努力の賜物なのか。また本書を読むと、氏は音楽や文学にも造詣の深いことがうかがえる。 専門分...続きを読む野の難しい論文を明快に解説してくれる、お勧めの一書。
「週刊新潮」連載の「池谷裕二の全知全能」(2023.6.15~24.12.12)、75回分を収録。 「ネイチャー」や「サイエンス」などに発表されたばかりの科学論文から、おもしろそうなトピックを紹介。1回3ページの読みきりなので、どの回からでも読み出せる。数時間読むだけで、最新研究のエッセンスを吸収で...続きを読むきる。 とりあげているトピックで断然多いのはAI、続いて動植物、進化、アルツハイマー病、人間行動など。恩師の先生について書いている回もある。 ただ、巻末の参考文献のページは極小文字。これがツライ。せめてもう1ポイント上げてくれていれば、ね。
著者は毎日100本の論文を読むらしい。超人的な読書量であり、知識欲である。その膨大な論文の中から、ユニークであったり、インパクトが強い内容の論文が紹介されている。論文というと専門的で取っ付きにくいというイメージがあるが、平易にわかりやすく面白さの要点がストンと理解できる。記憶力は完全であると不都合が...続きを読む起こる。視覚や聴覚は目や耳が二つあるため、奥行きという立体感があるが、穴が二つある鼻から奥行きある匂いを感じることができるか。世界最大の生物はキノコという驚きの事実。どこから読んでも、どこを読んでも新たな知見に満ちている。
かなり面白い話題が散りばめられていた。 いくつか挙げると、 ●全然別系統の進化で結果として同じ機構を有するに至る「収斂進化」は、それが適応の究極のように推測される。チョウと鳥の羽根、フクロウとクジラの暗所からの突然の明光暴露時にアレスチンを放出して失明を防ぐ機構、ヒトとタコのレク睡眠と夢を見る機能...続きを読む(これは何の役に立つのか未だにはっきりわからないが) ●石炭が残っているのは、当時の植物の大量死の際にこれを分解する微生物が不足していたため ●聴覚も視覚も可聴範囲、可視範囲が限られていて、世界の全てを知覚できていないが、嗅覚はほぼすべての浮遊化学物質を知覚できる。 ●困難な仕事に立ち向かう人は簡単なタスクを省力化して困難なタスクにリソースを集中させる技を持っているが、困難な仕事から逃げる人は簡単なタスクにリソースを使い果たして疲弊している。 ●最強の囲碁AIにも癖があり、その弱みをつくことに特化した別の対抗AIにぼろ負けするが、その対抗AIは人間にぼろ負けする。要は相性で、最強の囲碁AIは人間に対して相性が良いように作られただけ。 ●生物の進化の結果手に入れたDNAの構造は最適には程遠く、生成AIによるシミュレーションで現存しないDNA配列で、どの生物よりも効率的なパターンが複数発見された。
世の中にはいろんなことを考えたり調べたりしている人が大勢いる。 他とは違うテーマでないと論文になりにくいという事情もあるだろうが… 池谷氏は脳研究者であるが、科学全般に目を向けバラエティに富んだ話題を提供してくれている。 とはいえ興味は、どうしても(脳に関係する)生物とAIに行ってしまうようだ。 ...続きを読む 6つの章とその中で面白かったトピックスをいくつか挙げてレビューとします。 第一章 長寿のヒント 4.「麻酔」は意識の謎に迫るカギ 麻酔薬はいくつか見つかっているが類似性がなく、人工的に作り出すことができない。 どれも意識を無くす効能がある。 6.人生に訪れる「二大老化期」 老化の厳密な定義はないので、老化度の測定方法はない。 血液中のタンパク質の検査で年齢変化が分かるようになってきているようだ。 9.「ガンマ波」がアルツハイマー病を防ぐ 40Hzの刺激装置が認知機能の低下を抑制する? シオノギヘルスケアから、kikippaイヤホンとスピーカーが販売されているが、効果あるのか。 第二章 生物のふしぎ 1.「母乳」は生物界の大発明 ヒトは二足歩行を始めたため、哺乳類のなかでもユニークなおっぱいを持つことになった。 2.「一味違う」タコの足の秘密 タコは通常使う足はだいたい決まっている。足の付け根に脳に相当する神経節がある。 6.昆虫の「王座」はいつまで続く? 現在知られている生物の75%が昆虫。だが生物種の90%ほどが未発見と考えられている。 7.ネコの「ゴロゴロ」の正体 ネコがゴロゴロと喉を鳴らすのは、ヒトのいびきと同じ原理? 第三章 最先端科学の意外な発見! 2.匂いを嗅ぎ分ける最新AI 分子の化学式からヒトがどんな匂いと感じるか推定し、50万種類の匂いカタログが作成されている。 6.「生成AI」は透明な夢を見るのか 生まれつき目が見えない人に聞くと、日常的に言葉を聞いていれば「透明」をイメージすることができるそうだ。 8.脳にも“クセ”がある 複数のAIに脳波から誰の脳かを判別させたら、どのAIも成績が良かったが、脳波のどこに着目しているかは随分と異なっていた。 12.AIの価値観は欧米的か ChatGPTが作る文章は、英語の文章を多く学習しているから欧米の価値観に近い。 第四章 「定説」を疑え! 3.人類はみな“ブレンド”である ヒトにはネアンデルタール人の遺伝子のほか、絶滅した多様なヒト種が入り交ざっていることが分かった。 4.記憶力は悪いほうがいい 化粧品やダイエット食品と同様に、本当に記憶力を高める方法は見つかっていない。だから成り立つ記憶力ビジネス。 覚えたことを忘れない良すぎる記憶力には弊害も多いらしい。現状の「記憶力の悪さ」の程度こそがベストにチューニングされた状態か。 第五章 幸福へのカギ 6.香りに「奥行き」はあるか 目と耳が左右に2つあるのは立体感を感じるため。鼻の穴も2つあるが匂いに立体感はない。 11.「縄文土器」が変えた調理法 食材を焼いて食べることで、寄生虫や雑菌の除去ができる。火の使用に伴い人類の腸内細菌が変化した。 12.「演奏不可能」と言われた怪物曲の美 演奏不可能な曲は、聴くこともできないということ。 シャルル=ヴァランタン・アルカンの曲が弾けるピアニストが出てきたので聴くことができるようになった。 第六章 究極の思考実験 5.脳はどのように“数”を把握しているのか 1と2、2と3の違いは厳しく区別するが、5と6になると違いの反応は弱くなる。1~4までの数と、5以上の数を認識する脳の場所は異なる。 6.フェイクニュースがのさばる理由 誤情報に頻繁に出会うような人は、嘘か真か確かめようとオンライン検索をしても低品質の情報に行き着いてしまいがち。 9.「生物/無生物」を分けるもの 生物の定義が定まっていないのは、すぐに例外がみつかるから。生物と無生物の2つに分類しようとしていることが間違い?
覚えておきたい蘊蓄がいっぱい。 楽しく少しずつ読めた。 幸福の鍵は、アランによれば、「不幸な状況や困難に対してただ悲観的になるのではなく、積極的に抵抗し、前向きに対処しようとする“不幸の抵抗”が幸福の一つである」らしい。それが脳科学的にも真実を突いているっていうの、ジーンとした。 覚えておきたい...続きを読むいろいろ 哺乳類は母乳を飲むというのはカモノハシが例外だから、実際は、横隔膜類と言った方が良い 腹部に肋骨がないのは、2億5千年前のペルム紀大絶滅 地下鉄シベリアの火山が爆発して、低酸素状態が一億年も続き、地球上のほとんどの動物が絶滅した。 効率よく酸素を取り込むために、横隔膜を発達させ、胸腔と腹腔を隔離して内臓との連動を避けて、胸腔の容積を直接調節する腹式呼吸を始めた。 トビハゼは目を陥没させて瞬きする 2355のとびぃを見てるから、ほおーと思った笑 閉経する野生のチンパンジーの発見。しかも育児に参加しない。シャチやシロイルカは血縁選択説、つまり孫の世話をするが、チンパンジーはそのプログラムがない。 赤ザルの研究 社会的寛容性は死亡リスクを42%減少させる AIの研究 人の脳は乱数発生装置になることができない。こうした脳機能の個性のことを認知と呼ぶ。2021年にドイツの研究者によって適当に数字を115人の健康の参加者に並べてもらった。そうすると数字の並びには個性があり、誰がその数字列を作ったかを95%以上の高い制度でAIは識別できたと言う。 ガンマ波がアルツハイマーを防ぐという。 早速youtubeで検索したら、出るわ出るわ、たくさんありました笑 皆聞いてるのね。塩野義のガンマ波サウンド装置も検索しちゃいました。それは流石に買わないけど、YouTubeは聞きます!
久方ぶりに池谷氏の著作に触れた。相変わらず筆のノリは軽快で、パーソナルな部分が覗ける興趣もある。一方でなにか残るものがある類の書物でもないのも事実。
科学をオムニバスすると面白い! 子どもが手に取って欲しい一冊です。 AAEアフリカン・アメリカン・イングリッシュや日本人の魚への自負は初耳です。
<目次> 第1章 長寿のヒント 第2章 生物の不思議 第3章 最先端科学の意外な発見! 第4章 「定説」を疑え! 第5章 幸福へのカギ 第6章 究極の思考実験 <内容> 「週刊新潮」連載の記事をまとめたもの。見開き4ページの短いエッセイながら、最新の知見と本人の教養がミックスされて、な...続きを読むかなか面白い作品となっている。すべてが科学論文からの話ではないが、「へえ~」と思うものも数知れず。タコの知識の話や自然界で最大勢力が昆虫類ではないこと(菌類)など、直接役に立つ話ではないが、ちょっと話したいな、と思ってしまう。
脳科学で有名な池谷先生の論文エッセイ。ここ数年の最先端の科学論文をやさしく学べる。科学への興味を得てここから深堀っていくというのに適した本かなー。
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