池谷裕二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世の中にはいろんなことを考えたり調べたりしている人が大勢いる。
他とは違うテーマでないと論文になりにくいという事情もあるだろうが…
池谷氏は脳研究者であるが、科学全般に目を向けバラエティに富んだ話題を提供してくれている。
とはいえ興味は、どうしても(脳に関係する)生物とAIに行ってしまうようだ。
6つの章とその中で面白かったトピックスをいくつか挙げてレビューとします。
第一章 長寿のヒント
4.「麻酔」は意識の謎に迫るカギ
麻酔薬はいくつか見つかっているが類似性がなく、人工的に作り出すことができない。
どれも意識を無くす効能がある。
6.人生に訪れる「二大老化期」
老化の厳密な定義はないので、老化度の測定方法はない。
血液中のタンパク質の検査で年齢変化が分かるようになってきているようだ。
9.「ガンマ波」がアルツハイマー病を防ぐ
40Hzの刺激装置が認知機能の低下を抑制する?
シオノギヘルスケアから、kikippaイヤホンとスピーカーが販売されているが、効果あるのか。
第二章 生物のふしぎ
1.「母乳」は生物界の大発明
ヒトは二足歩行を始めたため、哺乳類のなかでもユニークなおっぱいを持つことになった。
2.「一味違う」タコの足の秘密
タコは通常使う足はだいたい決まっている。足の付け根に脳に相当する神経節がある。
6.昆虫の「王座」はいつまで続く?
現在知られている生物の75%が昆虫。だが生物種の90%ほどが未発見と考えられている。
7.ネコの「ゴロゴロ」の正体
ネコがゴロゴロと喉を鳴らすのは、ヒトのいびきと同じ原理?
第三章 最先端科学の意外な発見!
2.匂いを嗅ぎ分ける最新AI
分子の化学式からヒトがどんな匂いと感じるか推定し、50万種類の匂いカタログが作成されている。
6.「生成AI」は透明な夢を見るのか
生まれつき目が見えない人に聞くと、日常的に言葉を聞いていれば「透明」をイメージすることができるそうだ。
8.脳にも“クセ”がある
複数のAIに脳波から誰の脳かを判別させたら、どのAIも成績が良かったが、脳波のどこに着目しているかは随分と異なっていた。
12.AIの価値観は欧米的か
ChatGPTが作る文章は、英語の文章を多く学習しているから欧米の価値観に近い。
第四章 「定説」を疑え!
3.人類はみな“ブレンド”である
ヒトにはネアンデルタール人の遺伝子のほか、絶滅した多様なヒト種が入り交ざっていることが分かった。
4.記憶力は悪いほうがいい
化粧品やダイエット食品と同様に、本当に記憶力を高める方法は見つかっていない。だから成り立つ記憶力ビジネス。
覚えたことを忘れない良すぎる記憶力には弊害も多いらしい。現状の「記憶力の悪さ」の程度こそがベストにチューニングされた状態か。
第五章 幸福へのカギ
6.香りに「奥行き」はあるか
目と耳が左右に2つあるのは立体感を感じるため。鼻の穴も2つあるが匂いに立体感はない。
11.「縄文土器」が変えた調理法
食材を焼いて食べることで、寄生虫や雑菌の除去ができる。火の使用に伴い人類の腸内細菌が変化した。
12.「演奏不可能」と言われた怪物曲の美
演奏不可能な曲は、聴くこともできないということ。
シャルル=ヴァランタン・アルカンの曲が弾けるピアニストが出てきたので聴くことができるようになった。
第六章 究極の思考実験
5.脳はどのように“数”を把握しているのか
1と2、2と3の違いは厳しく区別するが、5と6になると違いの反応は弱くなる。1~4までの数と、5以上の数を認識する脳の場所は異なる。
6.フェイクニュースがのさばる理由
誤情報に頻繁に出会うような人は、嘘か真か確かめようとオンライン検索をしても低品質の情報に行き着いてしまいがち。
9.「生物/無生物」を分けるもの
生物の定義が定まっていないのは、すぐに例外がみつかるから。生物と無生物の2つに分類しようとしていることが間違い? -
Posted by ブクログ
覚えておきたい蘊蓄がいっぱい。
楽しく少しずつ読めた。
幸福の鍵は、アランによれば、「不幸な状況や困難に対してただ悲観的になるのではなく、積極的に抵抗し、前向きに対処しようとする“不幸の抵抗”が幸福の一つである」らしい。それが脳科学的にも真実を突いているっていうの、ジーンとした。
覚えておきたいいろいろ
哺乳類は母乳を飲むというのはカモノハシが例外だから、実際は、横隔膜類と言った方が良い
腹部に肋骨がないのは、2億5千年前のペルム紀大絶滅
地下鉄シベリアの火山が爆発して、低酸素状態が一億年も続き、地球上のほとんどの動物が絶滅した。
効率よく酸素を取り込むために、横隔膜を発達させ、胸腔と腹腔を隔離して内臓との連動を避けて、胸腔の容積を直接調節する腹式呼吸を始めた。
トビハゼは目を陥没させて瞬きする
2355のとびぃを見てるから、ほおーと思った笑
閉経する野生のチンパンジーの発見。しかも育児に参加しない。シャチやシロイルカは血縁選択説、つまり孫の世話をするが、チンパンジーはそのプログラムがない。
赤ザルの研究
社会的寛容性は死亡リスクを42%減少させる
AIの研究
人の脳は乱数発生装置になることができない。こうした脳機能の個性のことを認知と呼ぶ。2021年にドイツの研究者によって適当に数字を115人の健康の参加者に並べてもらった。そうすると数字の並びには個性があり、誰がその数字列を作ったかを95%以上の高い制度でAIは識別できたと言う。
ガンマ波がアルツハイマーを防ぐという。
早速youtubeで検索したら、出るわ出るわ、たくさんありました笑
皆聞いてるのね。塩野義のガンマ波サウンド装置も検索しちゃいました。それは流石に買わないけど、YouTubeは聞きます! -
Posted by ブクログ
ネタバレ脳の活動は究極のところ脳細胞のなかでおきる電気反応だという話は知っていても、そこで「理解したつもり」になっていた自分が恥ずかしくなった。
本書は最新の脳科学や人工知能(機械学習)を平易に解説しながら、哲学的なところにまで切り込んでいく良書。
ヒトの脳は、五感というセンサーで読み取った情報を電気反応に変える。そしてその反応が繰り返し起きることで記憶し、判断とその結果を繰り返し経験することを通じて思考回路が生まれる。それが心だったり人格というもの。脳の中で電気反応が起きているだけに過ぎない。だとすると、心や人格とは何なのか。まったく同じ経路でできた人口知能に生まれる心や人格のようなものとは何が違うのか・・・。
わかったつもりのようになって、またわからなくなって、もう一度よんで、と何度も読んでしまう本。
夢を叶えるために脳はある、というタイトルも興味深い。夢は脳が作り出したもの。脳は現実を変えていくために、叶えたい未来を夢としてつくりあげているということなのか。あれ、ところで現実って脳の中で起きているただの電気反応じゃなかったっけ?あれ、いまこれを考えている自分ってなんだっけ?と、どこまでたどりつかない道にはまりこんでしまう。
またしばらくしたら読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレClaude3.5,chatGPT,Gemini、 llama の4つが争っている。
チャットボットアリーナでランキングがつけられている。
検索用のSearchLabsをオンにしておくと、いつものGoogle検索でオリジナルサイトを表示してくれる。
質問が悪い、無料版を使っていると効果は薄い。お願いする役割を明確にすること。
プロンプトも生成AIに書かせる事ができる。ゼロから書かせると誤情報を含みやすい。
プロンプトを二重にすると再確認ができて誤情報が出にくい。再確認差させるなど。
プロンプトを専用に生成するサイト=Playground
生成AIはディスカッション相手として適している。ネット会議に参加させるケースも増えている。
物語を書かせるときは、3回以上同じプロンプトで書き直させる。きちんとした指示をしないと、正確な物語は書けない。
GPTsに含まれるvideosummarizerで、動画を要約してくれる。
GoogleのノートブクLMは、長文資料の要約や分析、質疑応答の回答を行ってくれる。
プログラミングには、Claudeを利用する。githubと連携している。
Googleフォトでは有名な観光地をうまく修正してくれる。人がイなくなったり、青空になったりする。
画像生成AIは、Midjourney、Imagen3、Flux.1,DALLE・3、Firefly、Stable Diffusion、など。
写真や画像を採点してくれるサービス scoringAC、LAION Aesthetics Predictor など。
『MITテクノロジー・レビュー』
AIカウンセラーのほうが我慢強く、苛つかない。なんでも話せるという安心感。AIは、共感力がないとしてカンセリングには向かないといわれてきたが、医師を上回っている。
対話型AI。CHATGPT Adavansced Voice.
アイフォン用には、cotomo。GoogleはGEMINILIVE。
AIに心があるかは、問題ではない。人間よりも心を察知できれば、共感性は発揮できる。人間の心を理解するのは人間ではなくAI。スマートフォンのように一人一台のAI。
peperinterpriter=chatgptの論文要約ツール。
論文の読者はAiで人間ではない。プレゼンもAIが行い、それを見るのはAI。
チームで戦うゲームにAIが参加すると、サポート役として活躍する。そのほうがチーム力が上がる。人間は協力しているようで実はそうなっていない。AIの振る舞いを見ると、人間の足りないところがわかる。
AIの問題点。
ブラックボックス問題。プライバシーのリスク。公開前の論文を入力すると情報漏洩につながる。査読には使えないルールになっている。責任の所在。AIが自己犠牲のプログラムを持っている自動車を買おうとしない。ハルシネーションの拡散。著作権の問題。差別や偏見の助長。
スェーデンは、マイクロチップを指に埋め込む手術をする取り組みをしている。
検索技術の代わりに、プロンプト技術が必要になる。
記憶力よりも選ぶ力。
想像力や直感、気配りなどは人間が得意と思ってきたが実はそうでもない。それを得意だと、思いがちなのは、実は人間には苦手だから。
人間はお金じゃない、人は見かけではない、と言いがちなのは、実際はそうである自分を知っているから。
本当に人間らしい部分とは、意識せずに自然にできること。苦労しなくては実現しない能力は本来の力ではない。楽しむ、ことが本来の人間らしさ。
AIが進化すると、文系力が求められる。
オンライン投票は、ハッキングや不正のリスクのほかに、楽だが、身体的な緊張はないため、選択に違いがでることも考えられる。更に結果を受け入れられるか、が疑問。
AIは独自の価値観を持たない。大勢の価値観に従っているだけ。 -
Posted by ブクログ
小学校3年生から6年生の児童に「生活する中で、心がモヤモヤすること、思議なこと、納得がいかないと感じること」の相談を脳科学者の池谷裕二さんが解決するためのヒントを提示する。挿絵は、ヨシタケシンスケさん。
■僕の「やる気スイッチ」はどこ?
■本を好きになるには?
この2つのモヤモヤに対する回答が面白かった。実際にやる気スイッチ(淡蒼球)って脳の中に存在するんだ!でもそのスイッチは、自分の意思でオンにすることはできない。オンにするためには実は…。読んでからのお楽しみ。
古代ローマ哲学者キケロが語った本の魅力について、「現代と変わってないじゃん!」とびっくり。「書籍は青年には食物になり、老人には娯楽となる。病めるときには装飾となり、苦しいときには慰めとなる。内にあっては楽しみとなり、外に持って出ても邪魔にはならない。特に夜と旅行と田舎においては、良い伴侶となる」…紀元前の人が言っていることだよ⁈本筋とは離れて、キケロにめちゃめちゃ興味を持ってしまった。さて、本を好きになることについて。私の考えとしては、「読んだ本が、いかに自分の生活や思想に生きてくるか」の体験や経験が増えれば増えるほど、本を好きになっていくような気がする。「あぁ、こんな方法があったのか!」「私は〇〇と感じるけど、この主人公の優しさっていいな。こんなふうに考えてみようかな。」とか。本は人生を豊かにしてくれると思うけれども、実践力や実行力がある人は、本に頼らなくても自分の力で解決していけるんだ、とうらやましく思う時もある。
最後の「まだまだモヤモヤ」を読んでいると、学年別の傾向が見えてきて、特に大人に対する懐疑心が多くみられるのが6年生ではなく、5年生というのが興味深かった。今まで親や先生の言うことを疑いもせず信じたり聞いていたりしたことに、一旦立ち止まって自分で考える時期なんだろうなぁ。 -
Posted by ブクログ
生成AIの利用によって人間の知的能力がどのように変わり、それによって社会がどう変わるか、ということが知りたかった。のだが、本書の池谷氏の主張はベースとして肯定的であるため、否定的な視点から危険に備えるような直接的なアイデアは出てこなかった。
中立的というよりかは肯定的に寄っている印象を受けるが、圧倒的に生成AIの活用・研究の経験値が高いため、その立ち位置における現時点での結論は一般の読者レベルである私は到底批判し得ない。また実際に日常的に活用している身としては、実益の面でも哲学の面でも非常に学びに溢れているのは間違いない。
肯定的に捉えている部分にどこかモヤっとした気持ちを感じるのは、私の考えている危機感の核心部分はさらっとしか触れられていないからかもしれない。
現状分析と、ポジティブな未来感、著者の実例や考え方の紹介は確かに充実している。しかしリスク対応はどうだろうか。
仕事はなくならないが、仕事の内容が変わる、と本章では述べられている。
この表現はポジティブであり楽観的でもある。
要は置き換わる、ということで、誰もが働かなくて済むようになるわけではないことを言っているのだが、本書でも随所で触れられている通り、仕事の精度と速さがより求められて競争は激化する。
活躍できる一部の優秀な人と、AIを活用しきれないor AI以下の仕事しかできないor AIが出来ない高度な仕事についていけないといった「仕事にあぶれる人」という極端な格差がどうしても生まれてくるのだ。
そのためにじゃあどうするかと言えば、「AIを積極的に活用しよう」「身体を脳が緊密に統合することを要する仕事をしよう」「自分の仕事の将来がどうなるかをよく見定めよう」「楽しもう・失敗しよう」といった教訓になる。
うむ、あまり希望に溢れているとはいいがたい。
これは好みなのかもしれないが、私は難しいことに挑戦することが好きだ。頭を働かせて思考や想像力を働かせるのが楽しいのだ。しかし残念ながら、こういった身体よりも脳内の働きに頼る動きというのは、AIがまさに得意としていることである。
「優秀なAIにつまらない仕事しかさせず、パフォーマンスを活かしきれないのは残念」と著者はいう。一理はあるが、他方、仕事を楽しみたい方としては、つまらない仕事こそAIにさせたいのであって、楽しい仕事は明け渡したくない。
それを可能とするには、結局は「お金を絶対の価値観としてAIを活用し競争し続ける」ことや「AIを軍事利用して他者を攻撃する」という昔から変わらない愚かな価値観・修正を改めないと変わらないのだろう。
フォーカスを社会から人間個人へと当て直してみると、AIの登場によって思考を働かさなくなる人と、逆に高い思考が求められて思考力を鍛える人とに分かれていくと想像できる。
この差もまた、言語能力の有無よろしく、極端に開いていくに違いない。
「脳とAI」というタイトルであれば、AIを活用してどのように脳を磨くか、脳を鈍らせないか、といったトピックも深堀してもらえたら有難かった。