小杉健治のレビュー一覧
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父親が失踪した女性と、殺人犯の男の二人の視点から物語が進んでいくミステリー
よくある構成で、徐々に話が交差していくのだが、やはりこういうのは面白い。
主人公の二人が、ああではないか?こうではないか?と考えを巡らせる場面が多く、少々うざったい。また、物語自体はそこまで複雑ではないのだが、小説の構成が少々複雑なので混乱するかも。
登場人物の名前が覚えづらいのも不満点。
序盤と終盤は面白いが、中盤が少しダレる印象
また、物語の重要なポイントである手紙に関するクライマックスの展開が想像通りだったのは少々残念。
小説の内容としては面白いのだが、書き方や構成が私には合わない部分があったので、個人的な -
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小杉健治『飛べない鴉』祥伝社文庫。
久し振りに読む小杉健治。
1993年に刊行された同名作品を加筆修正した復刊作のようだが、未読である。
変なミステリー小説である。仙台で殺人を犯した男が上京し、息を潜めて暮らしているうちに反原発運動に巻き込まれるというストーリーなのだが、全てに於いて消化不良なのだ。
むしろミステリー小説というよりも原発問題小説と言って良い程、チェルノブイリ原発事故やスリーマイル原発事故の話題が描かれている。
しかし、ある意味では、1993年時点で2011年3月11日に起きた東日本大震災による福島第一原発事故の発生を予言したような内容であることには驚いた。
仙台に -
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奥付を見ると「2018年 35版発行」とあおそらくおそらく6年ぶりくらいの読み返し。
途中までは全く記憶になかったが、残り4分の1くらいになったことろで「あ、これってこういうトリックだった」と思い出した。
文章は読みやすいし、3日ほどで読み終えるくらい集中して読めたのだから「面白い」作品なのは間違いないが、感動はしなかった。裏表紙や帯に「感動作」と書かれているので期待値が高くなりすぎたのだろう。3回目の読み返しはしなくてよい、という備忘録としてもこのレビューを書いている。
以下、印象に残った箇所。
■阿久津伸吉も麻美子も同じ大きな過ちを犯している。その過ちとは自分を犠牲にして大切な者を助けよ -
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この物語は、二つの事件が絡みながら進む。
⚫︎その一つの事件が⋯
資産家の老齢女性をハンマーで殺害し、800万円を盗んで逃走した事件で、栗林24歳の男が逮捕された。
警察は栗林の単独犯行としているが、栗林は闇バイトに応募し、初対面のもう一人の男と指示役に命じられるままに押し入り、もう一人の男が老婆を殺害したと主張している。
⚫︎もう一つの事件が⋯
清楚な美人である中越ちづえが一人でバーで飲んでいると、明らかに堅気ではない男から声を掛けられる。
彼は今川修三と名乗り、付き合っていた彼と別れて良かったと一方的にちづえに語る。
今川は、元彼が別の女とこのバーで飲んでいる姿を見ていたと話す。
今川は -
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久しぶりのこんなに小説で泣いた気がする。ラストパート、電車で読まずにお家で読んでよかった。
察しが悪いので中盤を超えてからも二つの事件がどう結びついているのか予想が全くつかなかったし、それぞれの人間関係もごっちゃになっちゃって読むのに時間かかったけど、途中で諦めて次の本にいかずに読み進めて本当に良かった。
P106「ひとはなぜ生きていくのだろうか。何のために生きていくのか」
生きる目的とは、幸せとは何か
家族・親子の絆、愛を通して伝えたかったことはこれだったのかなと思った。
いかなる困難や試練にも負けずに、歯を食いしばって生きていくことは難しいことだよなあ。
最後に麻美子が、今まで見ていた時 -
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ネタバレ初版が2006年ということもあってか時代の違いは感じたが、麻美子と圭一の話がテンポ良く交代して複数の事件が徐々に交わっていく展開は面白かった。
あとやたら天気のことを教えてくれる。なぜ。
婚約者の事件に対する麻美子の推理がそのまま正解なことには驚いたし、父親の死の真相も「胃癌は助かる確率が高いのだ」を読んで無常だと思った。(しかも胃癌疑いの病名がついたのみで精査していない)(が、この時代の中年男性は病院受診を避けることが多いとも聞いたことがある)
幸福であることと裕福であることは違うと語る手紙を父親はどんな気持ちで書いたんだろう。父親がとった行動はその発言に則ってはいないんじゃないか。だか