小杉健治のレビュー一覧
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吉原の花魁、小紫と恋仲になって脱藩した武士、油木新次郎。今は向島の芸者、お葉の箱屋、新吉だ。
今回新吉の謎が解ける。
そして小紫への思慕の決別。
今回の事件は、おさんのいう取手の女性。
娘を女衒に売ったのだが、夫が亡くなり、取手から上京。
死ぬ前に一眼娘に会いたいと。
ところが女衒は強盗に娘が殺されたという。
話に信憑性がなく、江戸でそのまま娘のおさわを探すことにしたおさん。
新吉と老船頭の茂助は事件を探る。
このシリーズも3巻目。
小説のテーマの中に、無闇に人を殺さないことを、いれたようだ。
町人も、武士も命を粗末にはしない。
話し合いで、互いに歩み寄りより良い未来へと、主人公は -
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『風烈廻り与力・青柳剣一郎シリーズ』54巻。
これほど長い時代小説は、佐伯泰英の居眠り磐音シリーズ以来か?
このシリーズ、事件の謎解きも楽しめるが、登場人物たちへの作家の愛情が感じられ、実に丹念に人となりが描かれる。
今回は手先を務める太助が存在感。
幼い頃、苦労を重ね途方に暮れて川面で佇んでいた時に、そんな幼児も知る「青痣与力こと青柳剣一郎」が、優しく励ましてくれたことが、心の支えとなって、その後の太助の心の支えとなった。
偶然、一度青柳の捜査の手伝いをしたことから、青柳の手先として働くことに。素直な性格は息子が結婚し寂しさがあったしっかり者の妻、多恵にも、大いに気に入られ、何かと世話を焼 -
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風列廻り与力・青柳剣一郎シリーズも、早52巻。
今回も痺れるほどかっこいいのが主人公。
ボロ布のようになり、生気のない表情の物乞いがいた。
そのものが首をつれと約束を迫るという。
折しも2度首吊りが起こったために、死神かとさわがれる。
かたや盟友、清左衛門の親戚筋の美しい娘が、問題のある大身旗本からの縁談に苦慮してるという。剣一郎に相談がある。
自分の娘も同じような悩みがあったが今ではあいぼれの相手と幸せに暮らしている。同じ境遇に同情した主人公はふたつの事件に忙しい。
解決の談判に向かう主人公の心意気は、敵対する相手をも動かす。あっぱれ! -
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四日市と聞いてまず思い浮かぶのが「公害」。
水俣市の水俣病、新潟の新潟水俣病、富山のイタイイタイ病、そして四日市の四日市ぜんそく。教科書に載ってあり、当時身近でなかったネットを使ってまで調べた記憶がある。この国にそんな時代があったのかと幼いながら衝撃を受けた。発生時期や原因物質、症状もバラバラだが、背景は高度経済成長期の急激な重化学工業の拡大である。
裁判員制度で殺人事件の裁判に参加した貝原。被告人の癖や顔つきに、四日市のヒーローの面影と重なる。本当にいま目の前にいる被告人は、大企業相手に訴訟を起こし、原告や被害者たちに叱咤激励してくれたヒーローなのか?物語が進むにつれ容疑は深まるばかり。こ -
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ネタバレ花嫁が鬼に喰われた?
芥川の有名な話をもじった様な事件が起こる。
密室の部屋から忽然と消えた花嫁。
時を同じくして、22〜3才の職人風の男の遺体が
船に横たわり、蓆をかけられて大川に迷い込む。
なかなか事件が解決しない。
そして、有能な藩主として名高い隠居した友人からも
別口の謎の解明の依頼をされる。
またしても青柳の推理が冴える。
今回は事件解決の糸にもう一つの事件が絡む。
50巻目のますます冴える、青痣与力!大活躍。
なんでもできる有能な兄を羨んでいた
若い頃の青柳剣一郎は、
押し込み強盗に出くわし、半分やけで、
応援が来るまで待ちきれずに、事件現場に乗り込んだ。