あらすじ
誰かを想うとき、人は嘘をつくのかもしれない――
下町を舞台に静かな筆致で人の情を描く、傑作ミステリー集。
信号のある交差点で男が車に轢かれ命を落とした。唯一の目撃者千賀和子は、運転していた会社役員熊谷の信号無視を証言。
しかし裁判直前、被告の弁護士結城の許に、匿名の手紙が届く。手紙は和子の偽証を示唆していた。結城は法廷で手紙の内容を突きつける。動揺する和子はやがて真実を語り始める(「赤い証言」)。
偽りの証言の裏にある心の闇を鋭く描いたミステリー集。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
小杉氏が綴った『偽証』は、人の心の動き、迷い、悩みなどが絡み合った物語となっている。
人を救うための偽りの証言、人への八つ当たり的な恨みの証言、嘘の証言を皆で胸に仕舞って事実を隠す、皆の穏やかな生活のための嘘などなど、
自らの保身からだけではなく、人の為に偽りの証言をしてしまう心の動きなどを小杉氏は描いている。
人の心の弱さや迷いなどを考えると、『偽証』を悪と一言で済ますことは難しいのではと考えさせられた。
『嘘』・『偽証』と無縁の人生ってあるんでしょうかね⋯。
Posted by ブクログ
昭和62年の本の新装版。短編集。
さすがに時代を感じさせる作品だが、話の根底にある「なぜ嘘をついかた」を解き明かす過程は鮮やか。時代背景の古さも短編集なのであまり気にならずに読めます。
ドライブレコーダーや監視カメラ等がそこかしこにある現代だとでていない作品もあります。
隠し絵、絵の証言はおすすめ。