小杉健治のレビュー一覧
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栄次郎は、気配を消して釣りをしている老人を見かける。しかも、釣り上げた魚は皆、川に返しているのだ。なぜ?
なんども見かけるうちに、どうしても気になり、住まいを見つける。
ある日、料理屋で女中を追い回し大きな声で文句を言い、刀を手にかけた武士たちを見つける。部屋住みの次男三男を中心にする「刃桜組」という狼藉をしたい放題の旗本の息子たちであった。その仕返しを怖がり、幾つも事件を起こしてるのだが、立件できないでいる。
偶然見かけてしまった栄次郎は、その時に刃桜組に対して、剣を抜かずに、止めに入った老人を見て驚く。
相手は、その佇まい隙のなさに対して、何もできず脂汗を流すのみだったのだ、しかも、それ -
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川開きの花火大会を見ようと老朽化した永代橋を渡ったオボ正しい江戸町民が橋の落下とともに命を落とした。
それから十数年後、その時の孤児になった男たちから、一橋家が脅迫された。
その事故で、商家の主人が丁稚と手代三人で落下。主人はなくなり丁稚と手代は生き延びたが。
その手代が跡取り娘と今の主人となったが、ある日殺された。あと四人の名前が書かれた紙懐に残されていた。
天誅と書いてあった。
その事件は関係ない事件のようであったが、今ある事件はその大事故から派生した事件でもあったのだ。
大きな謎解きや、栄次郎の誠意ある説得で、後味よいエンディングに。 -
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名取のなった栄次郎はこの頃師匠と一緒に舞台の地方として出演が多くなっている。
座席では、役者ではなく、栄次郎こと仵屋吉栄に女達からの熱い視線が集中するほど、人気ぶりだ。
ともすると常軌を逸した贔屓筋がいる。
このところ、後をつける女がいたり、度々会う機会を作る女も出てきた。
そんな中、栄次郎から呼び出され行方不明になった女が三人も続くという事件が。
妖気漂う美女ではあるが気味の悪いお染という女がいた。鬼女であると師匠でさえ近づくなと、助言を。
心の師匠と仰ぐ春蝶に相談すると、芸人というのは芸が作る色気が出て、それは女を虜にするのだ、と。
栄次郎自身はそんな風には感じてなくとも、芸の域が高まっ -
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伊勢で見かけたものがいたと聴き、栄次郎は旅の目的地を伊勢と決める。
途中、東海道を荒らし回った極悪非道の大黒屋三太夫という盗人集団と巡り合った。
お露を知っていたお染は大黒屋の仲間。お染だけでも足を洗わせてやろうとするが。
新八と栄次郎は大黒屋の次の目的は岡崎の大きな庄屋を襲うことだと推理し、一網打尽に。
伊勢へ行くと春蝶と巡り会えた。
春蝶も、心に残っていた昔の恋人が幸せに暮らしていると知り、思い残すことなく江戸に帰る決断を。
あれほど思い悩んだ悲しい恋も、永遠の大きな目標とする春蝶の歌を聴き改めて悩みが消えるのを実感する。
一回り成長した栄次郎であった。