小杉健治のレビュー一覧

  • それぞれの断崖

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    凝縮された人生を俯瞰するかのような社会派小説。事件の被害者と加害者、被害者の仕事関係の知人の人生までもが、この一冊に凝縮されているかのようだった。

    家庭内暴力をふるう不登校の中学生の息子を何者かに殺害された父親。被害者であるはずの父親に息子殺しの嫌疑が及ぶ。しかし、犯人は息子の同級生だったのだ…少年法、マスコミ、警察、会社、家族からまで攻撃を受ける被害者の父親…

    同じような系統の傑作を数々輩出している作家に薬丸岳が居る。薬丸岳の作品も非常に好きで、殆んどの作品を読んでいるが、薬丸岳が描くならば、ここまでの材料であるはずだ。しかし、小杉健治はさらなる展開を見せてくれる。

    事件により転落して

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    2014年10月07日
  • 家族

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    裁判員に選ばれた人たちの葛藤や、裁判員制度についても書かれていて、興味深く読みました。実際にみな子のような言動を取る人は、まず居ないのでしょうが。でも、一般市民であるみな子が、裁判員として真実に迫っていく様子はとても面白かったです。

    そして、主題とも言える介護問題。
    自分も数年後には当事者かもしれない・・・
    みな子の現状を見ていると、暗澹とします。高齢者はお金がないと生きにくい現状。そんな中で家族としてどう
    暮らしていくのか。自分が介護される側ならどうか。考えさせられます。

    重いテーマですが、とても読みやすくて一気読みでした。

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    2014年09月09日
  • 家族

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    法廷ミステリーと家族愛を描いた作品。小杉健治らしい二転三転のストーリー展開と行間から滲み出る人間愛が素晴らしい。

    ホームレスによる認知症の老女の殺害事件。裁判員制度により、裁判が始まるのだが…

    法廷では、殺害された老女と犯人のホームレスのそれぞれの家族の物語が少しづつ明らかになる。

    事件の結末は如何に。

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    2014年08月23日
  • 原島弁護士の愛と悲しみ

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    社会派ミステリーの短編集。表題作の『原島弁護士の愛と悲しみ』『赤い記憶』『冬の死』『愛の軌跡』『牧原博士、最後の鑑定書』の5編を収録。

    いずれの短編も、ひねりの効いたミステリーであり、登場人物の背景、人間模様に面白さを感じる。中でも、表題作が秀逸だった。

    『父からの手紙』を読み、小杉健治という作家を知ったのだが、なかなか上手い作家だと思った。

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    2014年08月19日
  • 保身

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    こんなことはあってはならない。
    警察があるキャリア警官の保身のために、ウソにウソを重ねていく。
    もう絶対にありえない。いやもしかしたらあるのかも…。
    それほど「組織」って大事なのか。
    それほど「キャリア組」は尊重されてるのか。
    正義はどこへ行ってしまったのか?
    ラストはちょっとスッキリしなかったが、正義ある刑事さんもいるんだなと知ってちょっと安心できました。

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    2014年02月20日
  • 秘剣 音無し 栄次郎江戸暦11

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    第十一弾
    栄次郎の周辺に怪しげな人物が?
    二つの事件を加えながら事件の本質へ
    かつての想い人お露の影をひく二人の対決
    そして、その陰には新八とおすまの想いも

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    2014年02月17日
  • 黒猿 風烈廻り与力・青柳剣一郎[25] 風烈廻り与力・青柳剣一郎

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    第二十六弾
    無垢な人と火付、背後に潜む悪
    火盗改めとの犯人探し対決、本当ははなから問題になっていない。盗難事件と御家人の不正事件ともに明らかになって、ハッピイ。時代物はこのパターンが!

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    2014年02月14日
  • 詫び状 風烈廻り与力・青柳剣一郎[14] 風烈廻り与力・青柳剣一郎

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    今回はお坊ちゃんが酒井の町で活躍する話があります
    別々の事件とおもいきや・・・父親が密に苦境に達して
    いたのを救った剣之介って強運かも

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    2013年11月16日
  • 絆

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    タイトルやジャケットの見た目より、
    数段おもしろい。裁判ものです。

    障害をもつ子どもの家庭に起こった悲劇が
    書かれています。家族の愛ってすごい。

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    2013年09月14日
  • 絆

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    法廷のみで事件の真相を追究していくミステリーです。被告人が自白しているのに対し、弁護士は無罪を主張します。しっかりと筋道を立てて覆していく過程は読み応えがありました。
    その被告人ですが、兄弟思いで情の深い人物かと思いきや、自分の娘には無感情。「殺人犯の娘」として今後一生を過ごさなければならない娘に対して何とも思わない母親の姿は、どうも矛盾している気がして、感情移入できませんでした。

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    2013年07月26日
  • 質屋藤十郎隠御用

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    シリーズ第一弾?
    複数の事件が緩やかに関連を持ち進行していく。
    最近私の好きな構成。
    お家騒動に絡む事件を、江戸の実直な人々を絡めながら進行
    設定が質屋「万屋」-実家の富豪「大和屋」の力をかり、事件解決に

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    2013年07月25日
  • 絆

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    ネタバレ

    作者の著作は、2冊目です。「父の手紙」が、とてもよかったので読んでみました。法廷劇です。目の前で裁判が行われているという緊迫感が伝わってきます。面白かったです。

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    2013年07月02日
  • 白牙 風烈廻り与力・青柳剣一郎[24] 風烈廻り与力・青柳剣一郎

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    第二十四弾
    罠にはめられた男を救うため、病死と偽り、背後の悪を引きずり出す
    現在に通じるストーカーの話にそっくり
    今回も剣之助が最後に活躍

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    2013年06月27日
  • 大川端密会宿 栄次郎江戸暦10

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    第十弾
    話の内容はよくできている
    お秋の初めての恋?の行方は?
    色々な事柄が絡むが終われば無事解決?

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    2013年06月27日
  • 冬波 風烈廻り与力・青柳剣一郎[22] 風烈廻り与力・青柳剣一郎

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    第二十二弾
    息子の剣之助の活躍がメインかと思えばやはり剣一郎が活躍
    とは言っても、おいしいところは結構他に譲っている。
    今回は家族愛がテーマ?
    時代劇のハッピーエンドはやはり楽しい
    今後は文七の素性か?

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    2013年05月05日
  • 朱刃 風烈廻り与力・青柳剣一郎[23] 風烈廻り与力・青柳剣一郎

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    シリーズ第二十三弾
    シリーズ新展開か?
    今後のいわくのありそうな展開の前触れか?
    青柳親子に対しての挑戦か(火盗改めとしての)
    事件の方はうまく登場人物が繋がりあい解決?
    しかも息子の剣之助の活躍で

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    2013年04月18日
  • 二重裁判

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    獄中で無実を訴えながら自らの命を絶ってしまった兄のため、妹は無実を立証しようとします。妹がとった行動は唯一それを可能とするものですが、兄には黙して語らなかった真実があったのです。兄妹の思いが交差する人間ドラマの名作です。

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    2013年04月06日
  • 火盗改めの辻 栄次郎江戸暦9

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    第九弾
    栄次郎の兄弟子が家にふりかかった災難に立ち向かう。
    主人公と同じく、結構腕は立つようである。
    全編ほぼ一人で活躍、最もフォローは受けているが

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    2013年03月31日
  • 明烏の女 栄次郎江戸暦8

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    シリーズ第八弾
    栄次郎の芸も磨きがかかったか?
    彼の追っかけ、ストーカーの女と結構面白い設定
    極めつけは盗賊と女房に後継者にと策をめぐらさせる

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    2013年03月27日
  • 灰の男

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    1945年3月10日、米軍による約2時間半の空襲で、東京下町一帯は壊滅状態、犠牲者は10万人以上となりました。
    この小説は2人の男の人生を中心に、戦前から平成まで、何人かの人物を織り込み、それらを点と線でつないで描いていきます。
    歴史にifを言ってもどうしようもありませんが、せめてサイパン陥落時に降伏していれば、東京大空襲も原爆投下(2度も!)もなかったろうと思うと、暗澹たる気持ちになります。
    東京大空襲については、原爆ほどは注目されず、また近年は3.11東北大震災の陰に隠れてしまった感は否めません。
    空襲の犠牲になった方の無念さ、生き残った人の苦しさに少しでも思いを馳せられるように生きていき

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    2013年03月13日