Posted by ブクログ
2014年10月07日
凝縮された人生を俯瞰するかのような社会派小説。事件の被害者と加害者、被害者の仕事関係の知人の人生までもが、この一冊に凝縮されているかのようだった。
家庭内暴力をふるう不登校の中学生の息子を何者かに殺害された父親。被害者であるはずの父親に息子殺しの嫌疑が及ぶ。しかし、犯人は息子の同級生だったのだ…少...続きを読む年法、マスコミ、警察、会社、家族からまで攻撃を受ける被害者の父親…
同じような系統の傑作を数々輩出している作家に薬丸岳が居る。薬丸岳の作品も非常に好きで、殆んどの作品を読んでいるが、薬丸岳が描くならば、ここまでの材料であるはずだ。しかし、小杉健治はさらなる展開を見せてくれる。
事件により転落していく人びと…僅かな光が大きな光に見えるのは、一重に小杉健治の力量なのかも知れない。