あらすじ
破滅に向かうとわかっていたのに……
迷宮入り事件に男女のもつれが楔を打つ!
風烈廻り与力の青柳剣一郎は、迷宮入りした事件の探索を任される。十年前に今戸で起きた男女の殺しだ。死んだ女の元許婚は消え、唯一の容疑者は江戸から姿を晦ましたあと殺されてしまう。
有力な手がかりもなく捜査が行き詰まるなか、新たな殺しが。
調べを進めると、意外な男女のもつれが事件を紐解く鍵に――犯人が命をかけてまで守りたかったものとは?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『風烈廻り与力・青柳剣一郎シリーズ』54巻。
これほど長い時代小説は、佐伯泰英の居眠り磐音シリーズ以来か?
このシリーズ、事件の謎解きも楽しめるが、登場人物たちへの作家の愛情が感じられ、実に丹念に人となりが描かれる。
今回は手先を務める太助が存在感。
幼い頃、苦労を重ね途方に暮れて川面で佇んでいた時に、そんな幼児も知る「青痣与力こと青柳剣一郎」が、優しく励ましてくれたことが、心の支えとなって、その後の太助の心の支えとなった。
偶然、一度青柳の捜査の手伝いをしたことから、青柳の手先として働くことに。素直な性格は息子が結婚し寂しさがあったしっかり者の妻、多恵にも、大いに気に入られ、何かと世話を焼きたがるほど。
青柳夫婦からは家族と認識されるほどだった。
猫の蚤取りや、いなくなった猫探しを生業としている太助。猫に感づかれぬよう気配を消す方法を身につけ、容疑者の追跡も特技が発揮される。
そんな太助が気になる娘が現れた。
10年前隣に住む商家の旦那と妾が殺された見解決事件を青柳が依頼されたことがきっかけで、
きりりとした青柳と、頭脳明晰で包容力のある妻の多恵、息子のように愛される天涯孤独の太助。
毎回ついニヤニヤしてしまうほど冒頭から面白い。