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検事の華岡は、殺人の容疑で元プロ野球選手を起訴したが、ある男の証言により一審は無罪となる。控訴に向けて事件を調べ直す華岡は、病院で起きた安楽死事件も担当しており、その事件に、証言をした男の息子が関わっていたことが判明する――。複雑に絡み合う事件に、自身の過去を重ねる華岡。安楽死をめぐり、終末期医療のあり方を問うヒューマンミステリー。
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Posted by ブクログ
検事の華岡徹(はなおか とおる)が抱える二つの事件の間には奇妙な繋がりがあった。 プロ野球選手の妻が殺害された事件と、マンションの十階から転落した青年を医師が家族の希望で安楽死させた嫌疑。 調べるほどに、関係者が複雑に絡み合っていることが分かってくる。 そして、どちらの事件にも、駒形惇一郎(こまがた...続きを読む じゅんいちろう)という凄腕の弁護士が立ちはだかっていた。これがなかなかの悪者で。 しかし、弁護士との対決よりも、関係者に対する聞き取り調査の様子が詳しく描かれる。 会話が綿密に再現される。 何度も繰り返し同じ質問をし、相手は何度も否定する。 一見、同じやり取りを繰り返しているようだが、ちょっとした反応や、言葉の選び方により、人物像がどんどん立体的になっていく気がした。 特に、最初は頑固で鉄仮面のように思えていた山中医師が、どんどん、芯のぶれない立派な人物に思えてくる。 転落した田中淳(たなか あつし)の父親・田中真司は医師に息子の安楽死を頼んだのか? 華岡自身も、幼い頃に病死した父親の死に方に疑いを持っており、家族とうまくいっていない。そして今、末期癌の母親の終末医療について選択を迫られている。 山中医師に尋問を繰り返すうちに、華岡の方も気付かされることがあったようだ。 安楽死問題は、簡単には答えが出ないものである。
ただのミステリーかと思いきや、バックに「安楽死」というテーマがありました。 悩めば悩むほど解がないように思えます。 本人の希望通りにと思いますが、そう簡単には割り切れませんね。
元プロ野球選手の妻の殺人事件とニートの自殺。この二つの事件が関係している事に気づいた検察官の捜査。安楽死問題が最初から最後まで重奏低音で響いていて、こちらの方がテーマのようだった。
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