瀬川貴次のレビュー一覧
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怪異譚が大好きな近衛中将・宣能と彼に付き合わされ怪異の現場巡りのお供をさせられる右兵衛佐・宗孝コンビのシリーズ第六作。
ついに人物紹介欄が出来た!十二人もいる宗孝の姉たちの整理も出来てありがたい。
今回は九の姉君の話。
七の姉君同様、夫は地方に赴任しているのだが、夫と同行した七の姉とは違って九の姉は一人都に残っている。
夫からは最近文も贈り物も途絶え、地方に新しい妻が出来たのでは?と疑っている。
そんな折りに宗孝に付き添ってもらって行った稲荷社で出会った老巫女集団に何故か付きまとわれて…。
これまで登場してきた姉君たちの中では最も生々しいかも。自分で選んできた道なのに上手くいかなくなるとた -
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容姿端麗、頭脳明晰、高貴な血筋で将来有望ながら怪異譚に目がない変わった趣味を持つ左近衛中将・宣能(のぶよし)と彼に振り回されつつも親しくなっていく右兵衛佐・宗孝(むねたか)コンビのシリーズ第五作。
前作のお寺騒動から一息ついたところから始まる。
いつもなら宣能が怪異譚を仕入れてきて意気揚々と宗孝を現場に連れていく…というパターンなのだが、今回は何故かそのお誘いがない。
宗孝は怪異に近づく必要がなくてホッとするような、宣能との関わりが薄れていくようで寂しくなっていくような。
実は宣能は、前作の騒動で人が殺害される現場を見たことから自分の立場を改めて突きつけられて塞ぎ込んでいたのだった。
そのた -
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家柄も容姿も申し分ない上流貴族でありながら、何故か怪異を好む変人・宣能。
姉が十二人もいることを除けば、とりたてて特技もない中流貴族の宗孝は、そんな宣能になぜか気に入られてしまったようで…
フォローしているfukuさんのレビューを読んで、手に取った本。
瀬川貴次さん、初読。
平安時代を舞台にしたラノベのようなシリーズということで、期待通りの楽しい読み物でした。
まさに解説にあったように、四半世紀前(!)に『なんて素敵にジャパネスク』を読んだ時のよう。
コレをきゃあきゃあ言って回し読みしてる今の若い子たちも、「あなや」とか言って笑ってるのかな。 -
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後白河法皇のもとに桂木が召されることになり、桂木が男であることが分かってしまうのではないかと陽羽の心配をよそに讃岐は泰然自若たる様子。果たして、その夜、仙洞御所に雷が落ち、後白河法皇は崇徳上皇の祟りではないかと恐れる。そして、次から次へと怪しいことが起こり、寂漣の身にもいろいろと厄介なことが起こる。最後に解決に向け秘策を考え出したのは希家であったが、やはり後ろで背中を押したのは目をきらきらとさせる陽羽であった。実際の偏屈定家もこんな破天荒で陽性の陽羽を娶っていたならなあ。もっと楽に生きていたやかもしれない。式子内親王への思慕というのも後世のつくり話というか、興味本位から出たものだろうな。実際の
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容姿端麗、頭脳明晰、高貴な血筋で完璧な左近衛中将の宣能は唯一怪異譚が大好きという困った趣味を持つ。その趣味に付き合わされている平凡な貴族・右兵衛佐の宗孝コンビのシリーズ第三作。
今回のテーマは謎の茸と天狗の怪。
食べると楽しくなって可笑しくなって踊りだす茸(ワライタケ?)により奇妙な体験をする者が続々現れる。
その中には尼寺に住む宗孝の二の姉君も。
そして中将仲間で一番のプレイボーイ・宰相の中将雅平が今のめり込んでいる恋もどうも怪しい。
更には山寺にも天狗が現れる。
今度こそ本物の怪異か?と息巻くが、宣能と宗孝が調べるとどうも裏がありそうで。
『わたしはね、右兵衛佐、怪異を装う人間が大嫌い -
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平安怪異譚<ばけもの好む中将>シリーズ第二作。
頭脳明晰で容姿端麗な貴公子なのに何故か大の怪異好き中将・宣能と、十二人もの異母姉たちがいるせいか怖がりで奥手ででも健気な青年貴族の宗孝コンビが今回やって来たのは『泣く石』の噂の現場。しかしそこには『泣く石』ではなく、『泣く赤子』がいて…。
第二作にして怪異は少なめ。さらに宣能の出番も少なめ。
逆に宗孝と、宣能の妹で不思議な能力を持つ初草の君とのコンビがクローズアップ。さらには宗孝の姉たちも。
『泣く石』の現場で赤子を拾ってしまった宗孝は、その赤子の産着の間から出てきた和歌の書かれた紙を手がかりに両親探しを始めるのだが、初草の君がその手蹟は兄 -
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ライトノベル風平安怪異シリーズ第一作。
タイトル通り、怪談に目がなく、聞くと現場を確かめずにいられない佐近衛中将宣能(のぶよし)と、彼に振り回されるヘタレな右兵衛佐宗孝(むねたか)コンビが様々な怪異譚の謎解きに挑む。
おびただしい血痕が残る建物、三本の角を生やした鬼女、四つ目の集団の行列。
怪異と書いたが、実はいずれも物理的な解決が出来る。つまり怪異でも妖怪でも鬼の仕業でもなく、人によるもの。
これは裏表紙の内容紹介にも書かれているのでネタバレにはならないと思うのでご安心を。
しかしそこにはとある陰謀が見えてくる。げに恐ろしきは人の業なり、ということか。
ライトノベルっぽくスルスルと読め -
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定家と寂連を彷彿とさせる、というよりは、うまい設定の仕方をしているシリーズの最終作。寂連の全国行脚を上手に位置付けたなあ、と思います。
鵺、義仲、そして、大魔王の登場に終の物語だな、という感を持たせるあたりが設定のうまさかな、と思います。
作を追うごとに中心にいる少女の言動が面白くなっていくのだけれども、それが急速に鎌倉時代初めという時代の女性から離れて行って、それはそれで面白いのだけれども、うーん、と唸りながら、でも、面白いからいいか……、と思ったところです。
3作品を通してみると、私には式子内親王とのやりとり、関わりがとても面白かったなあ。
背景にあるものとしては、今作の崇徳上皇にあるいろ -
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日本の平安時代にとてもよく似たパラレルワールドでのお話、という感じです。歴史の本に載っている実在の人物の間に、本作の主要登場人物が実在のモデルとなったであろう人物と良い感じのズレを伴って登場してくるのが楽しく読めました。
怪異譚好きの宮仕え少女の造形は、森谷明子さんの紫式部のシリーズに出てくる女性の若いころを連想しました。
分かり易い表現で貫かれていますが、それが、かえって、そこまで書かなくても読み取れますよ、という感じを持たせるところが、ところどころにあるように思わせました。人物が分かり易いのが、そんな感じにさせるのでしょう。
最後の2ページも、やっぱりねえ、と思わせる感じで、次の1冊に進む