瀬川貴次のレビュー一覧

  • ばけもの好む中将 六 美しき獣たち

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    怪異譚が大好きな近衛中将・宣能と彼に付き合わされ怪異の現場巡りのお供をさせられる右兵衛佐・宗孝コンビのシリーズ第六作。
    ついに人物紹介欄が出来た!十二人もいる宗孝の姉たちの整理も出来てありがたい。

    今回は九の姉君の話。
    七の姉君同様、夫は地方に赴任しているのだが、夫と同行した七の姉とは違って九の姉は一人都に残っている。
    夫からは最近文も贈り物も途絶え、地方に新しい妻が出来たのでは?と疑っている。
    そんな折りに宗孝に付き添ってもらって行った稲荷社で出会った老巫女集団に何故か付きまとわれて…。

    これまで登場してきた姉君たちの中では最も生々しいかも。自分で選んできた道なのに上手くいかなくなるとた

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    2020年10月07日
  • ばけもの好む中将 伍 冬の牡丹燈籠

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    容姿端麗、頭脳明晰、高貴な血筋で将来有望ながら怪異譚に目がない変わった趣味を持つ左近衛中将・宣能(のぶよし)と彼に振り回されつつも親しくなっていく右兵衛佐・宗孝(むねたか)コンビのシリーズ第五作。

    前作のお寺騒動から一息ついたところから始まる。
    いつもなら宣能が怪異譚を仕入れてきて意気揚々と宗孝を現場に連れていく…というパターンなのだが、今回は何故かそのお誘いがない。
    宗孝は怪異に近づく必要がなくてホッとするような、宣能との関わりが薄れていくようで寂しくなっていくような。
    実は宣能は、前作の騒動で人が殺害される現場を見たことから自分の立場を改めて突きつけられて塞ぎ込んでいたのだった。
    そのた

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    2021年05月09日
  • ばけもの好む中将 平安不思議めぐり

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    家柄も容姿も申し分ない上流貴族でありながら、何故か怪異を好む変人・宣能。
    姉が十二人もいることを除けば、とりたてて特技もない中流貴族の宗孝は、そんな宣能になぜか気に入られてしまったようで…


    フォローしているfukuさんのレビューを読んで、手に取った本。
    瀬川貴次さん、初読。
    平安時代を舞台にしたラノベのようなシリーズということで、期待通りの楽しい読み物でした。

    まさに解説にあったように、四半世紀前(!)に『なんて素敵にジャパネスク』を読んだ時のよう。
    コレをきゃあきゃあ言って回し読みしてる今の若い子たちも、「あなや」とか言って笑ってるのかな。

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    2020年09月19日
  • 百鬼一歌 菊と怨霊

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    後白河法皇のもとに桂木が召されることになり、桂木が男であることが分かってしまうのではないかと陽羽の心配をよそに讃岐は泰然自若たる様子。果たして、その夜、仙洞御所に雷が落ち、後白河法皇は崇徳上皇の祟りではないかと恐れる。そして、次から次へと怪しいことが起こり、寂漣の身にもいろいろと厄介なことが起こる。最後に解決に向け秘策を考え出したのは希家であったが、やはり後ろで背中を押したのは目をきらきらとさせる陽羽であった。実際の偏屈定家もこんな破天荒で陽性の陽羽を娶っていたならなあ。もっと楽に生きていたやかもしれない。式子内親王への思慕というのも後世のつくり話というか、興味本位から出たものだろうな。実際の

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    2020年08月11日
  • 百鬼一歌 月下の死美女

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    まあ、鎌倉時代が舞台だが、ラノベのミステリーって感じかな。主人公は藤原希家と中宮に仕える13歳の少女陽羽の2人だね。明らかに希家は藤原定家をモデルにしていて、歌にしか興味のない変人という設定だが、実際の偏屈定家よりよっぽど常識人だ。鵺が出るという怪異をこの2人と陽羽の叔母の讃岐(源頼政の娘)たちが何とかしようという話である。死人も出てしまう。鵺出現の裏にはなにやらきな臭い陰謀がありそうだ。希家は他人の和歌はいろいろ呟くのだが、ちっとも自分で和歌を詠まない。

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    2020年08月08日
  • ばけもの好む中将 参 天狗の神隠し

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    容姿端麗、頭脳明晰、高貴な血筋で完璧な左近衛中将の宣能は唯一怪異譚が大好きという困った趣味を持つ。その趣味に付き合わされている平凡な貴族・右兵衛佐の宗孝コンビのシリーズ第三作。

    今回のテーマは謎の茸と天狗の怪。
    食べると楽しくなって可笑しくなって踊りだす茸(ワライタケ?)により奇妙な体験をする者が続々現れる。
    その中には尼寺に住む宗孝の二の姉君も。
    そして中将仲間で一番のプレイボーイ・宰相の中将雅平が今のめり込んでいる恋もどうも怪しい。
    更には山寺にも天狗が現れる。
    今度こそ本物の怪異か?と息巻くが、宣能と宗孝が調べるとどうも裏がありそうで。

    『わたしはね、右兵衛佐、怪異を装う人間が大嫌い

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    2020年08月05日
  • ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼

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    平安怪異譚<ばけもの好む中将>シリーズ第二作。

    頭脳明晰で容姿端麗な貴公子なのに何故か大の怪異好き中将・宣能と、十二人もの異母姉たちがいるせいか怖がりで奥手ででも健気な青年貴族の宗孝コンビが今回やって来たのは『泣く石』の噂の現場。しかしそこには『泣く石』ではなく、『泣く赤子』がいて…。

    第二作にして怪異は少なめ。さらに宣能の出番も少なめ。
    逆に宗孝と、宣能の妹で不思議な能力を持つ初草の君とのコンビがクローズアップ。さらには宗孝の姉たちも。

    『泣く石』の現場で赤子を拾ってしまった宗孝は、その赤子の産着の間から出てきた和歌の書かれた紙を手がかりに両親探しを始めるのだが、初草の君がその手蹟は兄

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    2020年08月15日
  • 百鬼一歌 菊と怨霊

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     祟りをおそれ、闇におびえるよりも、笑っているほうがいいに決まっていると希家も思った。
    (P.91)

     寂漣を連れ戻す。最後に別れたときの「必ず戻るから」と言ったあの約束を、必ず果たさせる。それ以外のことは、とにかく寂漣に追いついてからだ。
     殴るもいいだろう。いっしょに歌枕の地に向かうのもいいだろう。どちらにしろ、顔を会わせてみないことには何も始まらない。
    (P.256)

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    2020年07月22日
  • ばけもの好む中将 平安不思議めぐり

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    ライトノベル風平安怪異シリーズ第一作。

    タイトル通り、怪談に目がなく、聞くと現場を確かめずにいられない佐近衛中将宣能(のぶよし)と、彼に振り回されるヘタレな右兵衛佐宗孝(むねたか)コンビが様々な怪異譚の謎解きに挑む。

    おびただしい血痕が残る建物、三本の角を生やした鬼女、四つ目の集団の行列。
    怪異と書いたが、実はいずれも物理的な解決が出来る。つまり怪異でも妖怪でも鬼の仕業でもなく、人によるもの。
    これは裏表紙の内容紹介にも書かれているのでネタバレにはならないと思うのでご安心を。
    しかしそこにはとある陰謀が見えてくる。げに恐ろしきは人の業なり、ということか。

    ライトノベルっぽくスルスルと読め

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    2022年10月29日
  • 百鬼一歌 都大路の首なし武者

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    亡霊が地上をさまよい、苦しみを訴えるだけならまだしも、無関係な生者に害を為すようになっては見過ごしにできない。生きていようが死んでいようが、やっていいことと悪いことが変わらずあると、陽羽は大真面目に考えていたのだ。
    (P.196)

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    2020年07月11日
  • ばけもの好む中将 九 真夏の夜の夢まぼろし

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    シリーズ第九弾。

    十郎太こと十の姉上は、まさに“ハート泥棒”といったところで、真白に続き今回は宰相の中将・雅平の心を乱していました。
    そして、毎回楽しませてくれる春若君の暴走ですが、ついに・・・!春若君の“告白”を聞いたとき、宣能がぐっと拳を握りしめたのってガッツポーズだったのですかね?
    宣能は初草の幸せを第一に考えているのだと思いますが(あ、ばけもの第一か?)、宗孝や初草といるときと、父親や狗王に対峙しているときとのギャップが彼の闇を感じさせます。
    何だか色々な思惑が入り乱れてカオスっぽくなっていますが、今後の展開が楽しみです。

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    2020年06月26日
  • 百鬼一歌 月下の死美女

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    自分が射落としたのはただの鳥ではなく、皆の心の底にわだかまっていた不安そのものだったのだということも知る。
    (P.244)

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    2020年06月19日
  • ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼

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    「また行こう。また探そう。今度こそ、真なる怪異を求めて」
     まるで天と地の間で楽しく跳梁跋扈する物の怪たちが見えているかのように、宜能は言う。その横顔は思わず見惚れるほど優しい。
    (P.81)

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    2020年06月13日
  • ばけもの好む中将 平安不思議めぐり

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    「捕らえるなんて、そんな無粋な」
     笑いを含んだ、やわらかな低音が返ってきた。
    「怪異は愛でるものだよ。遠くの月を眺めるように、手の届かぬ高貴な女人に恋するようにね」
    (P.33)

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    2020年06月13日
  • ばけもの好む中将 九 真夏の夜の夢まぼろし

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    シリーズ物新刊出てた~と購入。
    十郎太…惑わし過ぎじゃないか?いろいろな人を(笑)
    でも確かに一番オトコマエだもんな~ 気持ちはワカル。

    というわけで色々な人の関係が進展しているようなしてないような巻。春若の君はかわいらしいなぁ。

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    2020年06月04日
  • 百鬼一歌 菊と怨霊

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    定家と寂連を彷彿とさせる、というよりは、うまい設定の仕方をしているシリーズの最終作。寂連の全国行脚を上手に位置付けたなあ、と思います。
    鵺、義仲、そして、大魔王の登場に終の物語だな、という感を持たせるあたりが設定のうまさかな、と思います。
    作を追うごとに中心にいる少女の言動が面白くなっていくのだけれども、それが急速に鎌倉時代初めという時代の女性から離れて行って、それはそれで面白いのだけれども、うーん、と唸りながら、でも、面白いからいいか……、と思ったところです。
    3作品を通してみると、私には式子内親王とのやりとり、関わりがとても面白かったなあ。
    背景にあるものとしては、今作の崇徳上皇にあるいろ

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    2020年04月19日
  • 百鬼一歌 月下の死美女

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    ネタバレ

    ちょうど先日、平家物語の解説的な番組を見たので、時代背景がドンピシャで入り込みやすかったです。

    めでたしめでたしと思ったら、最後の最後に不穏な空気が。

    お兄様ー!!!

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    2020年03月29日
  • 百鬼一歌 月下の死美女

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    日本の平安時代にとてもよく似たパラレルワールドでのお話、という感じです。歴史の本に載っている実在の人物の間に、本作の主要登場人物が実在のモデルとなったであろう人物と良い感じのズレを伴って登場してくるのが楽しく読めました。
    怪異譚好きの宮仕え少女の造形は、森谷明子さんの紫式部のシリーズに出てくる女性の若いころを連想しました。
    分かり易い表現で貫かれていますが、それが、かえって、そこまで書かなくても読み取れますよ、という感じを持たせるところが、ところどころにあるように思わせました。人物が分かり易いのが、そんな感じにさせるのでしょう。
    最後の2ページも、やっぱりねえ、と思わせる感じで、次の1冊に進む

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    2019年12月27日
  • 百鬼一歌 菊と怨霊

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    陽羽がおとなしかったのが物足りない。宮中の妬みやら恨みやらありつつも、一段落したらしい。いい人なんだか悪い人なんだかはっきりしない人もそのまま退場してしまった。

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    2019年11月21日
  • ばけもの好む中将 平安不思議めぐり

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    陰陽師シリーズのライトノベル版という印象。

    宗孝の10番目の姉がまだまだ奥が知れなくて、この先が楽しみ。

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    2019年09月08日